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2013年3月分

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2013/3/31


今日は関西フィルと大阪中之島の中央公会堂でコンサート。

前半のソリストは二村英仁君。ブルッフは以前も共演したことがあったが、名器ストラディバリウスもよく鳴るようになってパワーアップして品格の高い素敵な演奏だった。

後半のブラームスの1番も関西フィルが集中力高くよく鳴っていて関西フィル&藤岡らしさをだせたと実感できるコンサートでした。
チケットも完売で皆さんありがとうございました!

さてさて明日31日は関西フィルとお馴染みの城陽定期(京都府)。
前半は須川さんの美しくも強烈なサックスを楽しんでいただきます。
後半の幻想交響曲ではどこまで狂えるかが勝負。文化パルク城陽は音響も素晴らしいので明日も楽しみです(まだチケットあるそうです)。

それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!



僕を兄貴と慕ってくれる二村くんと。来年の関西フィルとのニューイヤーでまた共演します。



中央公会堂は重要文化財で、内部もまるでヨーロッパのホールのようで大好き…!


   藤岡 幸夫





※3/30 中央公会堂特別演奏会のevent reportはこちら
2013/3/28


今日から関西フィルと30日のブラームスの1番のリハーサル。これまでに関西フィルと何度も取り上げてるが、昨日までの幻想交響曲のリハーサルといい意味で(どちらも大傑作で)コントラストが強烈で楽しい…!

奇想天外なベルリオーズの幻想交響曲が生まれたのはベートーヴェンの死後たったの4年後。


そしてベートーヴェンの10番と呼ばれる傑作ブラームスの1番が生まれたのは、幻想交響曲が生まれたなんと45年後なのです。ちょっと意外ではありませんか…?


いずれにせよ、関西フィルとの30日と31日がとっても楽しみです!

それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!


   藤岡 幸夫





<管理人より>
2010/6/2付From Sachio「幻想交響曲の話」はこちら
2008/8/22付From Sachio「ブラームス交響曲第1番の話」はこちら
2013/3/26


今日は関西フィルと31日の城陽(京都府)の初日のリハーサル。

須川さんのサックスのカッチーニのアヴェマリアは何度やってもその美しさに指揮台で泣きそうになります…。


幻想交響曲を関西フィルと取り上げるのは久しぶりだけどこれまでに何度もやってるので大枠はできてる。 31日はギリギリ(この曲は崩壊するくらいでなきゃと思ってる)まで突っ込んだ演奏を目指します。

お楽しみに!



須川さんはデビュー以来最も共演してきたソリストの1人でお互いを知り尽くしてる。先日も東京で吉松さんのサイバーバードは強烈なパフォーマンスでした。今回もスリリングで楽しい。


   藤岡 幸夫


2013/3/25


東京の桜の満開をぎりぎり楽しんで関西に帰ってきました。一歩間違えると東京が満開のときは大阪にいて、大阪が満開のときは東京にいるなんてこともあるので良かった…!


さてさて今週末は関西フィルと30日がレトロの香りいっぱいの重要文化財の中之島公会堂で前半は二村英仁くんとブルッフのヴァイオリン協奏曲で後半はブラームスの1番。


31日は城陽(京都府)の素晴らしい音響の文化パルクで前半は須川さんのサックスでカッチーニのアヴェマリアや誰も寝てはならぬなどの名曲集で後半は幻想交響曲。幻想では関西フィルも僕も狂います…!

今からどちらもすごく楽しみ!

それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!


PS 大阪の方が暖かいのになんでいつも東京の方が1週間早く満開なんだろう…?



東京で近所を散歩。富士神社。



こちらは文京区の吉祥寺。


   藤岡 幸夫



2013/3/22


「中学生時代」の話…2


昨日は母校の中学の器楽部(オーケストラ)の定期演奏会に行って来た。


部員106名の大オーケストラで前半はスラブ舞曲1番、威風堂々、トトロ組曲(ナレーション付き)に後半はブラームス交響曲1番という本格的なプログラム。

僕の時代は部員もこんなにいなかったし、学校の行事として半日かけて行われた音楽会が発表の場だった。

このときはまずコンサート前半は各クラスが合唱を披露するのだけど、僕は毎年指揮したりピアノ伴奏したり、編曲して合唱と一緒にトランペットのソロを吹いたりと今思うと歌うのがイヤでとにかく目立ちたかった。

音楽会後半は合唱部、マンドリンオーケストラ、器楽部の演奏が続き、僕は2年生から器楽部の指揮をしてて指揮台で暴れてた。


そんな僕の時代に比べると昨日の器楽部定期演奏会はたいしたものだった。


前半は部員3人が指揮を分担して、スラブ舞曲を指揮した女の子は振るのが難しい曲だけど上手に指揮してたし、威風堂々を指揮した女の子はすごく個性的で面白かったし、トトロ組曲を振った男子はメリハリが効いていて、女の子のピアノのソロとコンサートミストレスのヴァイオリンソロもすごく良かった。


後半のブラームスは音楽の高柳先生が指揮してよくまとめてた。2楽章のコンサートマスターのソロが素晴らしくてびっくりしたし、4楽章はトロンボーンの難しいコラールも綺麗で、ブラ1の雰囲気がちゃんとでてた。


これだけのプログラムを中学生が1年間で形にするのは至難の技だろうけど、前半も後半もみんな本当によく頑張ってた。
定期演奏会は4回目だそうだけど、高柳先生をはじめ先生方がよくここまで成長させてくださったと感激してしまった。


以前も書いたけど、中学生時代って子供から大人になる中途半端で多感な大切な時代だと思う。

僕も当時は超生意気で、とにかく指揮者になる夢を朝から晩までみてて、今でもこのときの想いを忘れたら自分は終わりと思って大切にしてる。


先日の吉松さんも中学生の時にベートーヴェンのスコアに感激して作曲家になる決意をしたと同時に、当時彼にとって神様のような存在だったプログレッシブロックのスター、キースエマーソンのような音楽をクラシックに取り入れることを夢みた。


吉松さんはその時の熱い夢を持ち続けて作曲家になり、遂に吉松さんのCDに感激したキースエマーソンは先日の吉松さんの還暦コンサートを聴きにわざわざ来日して、コンサート最後にはキースがステージで吉松さんのためにハッピーバースデーを弾く夢のようなことまで実現したわけだ。


昨日は中学生時代のいろいろなことを思いだしながらみんなの演奏を楽しんだ。

ブラ1のあと最後は3年生部員とのお別れの儀式。
オーケストラが演奏するパッヘルベルのカノンをバックに、3年生が一人づつ前に呼び出されて下級生からプレゼントが渡される素敵なセレモニー。


そういえば僕は3年生の三学期に、校舎の屋上で好きだった同級生の女の子に告白して交際を申し込んだ。

スポーツ万能でピアノも上手だった彼女は
「いい友達でいようよ。その約束に握手しよう…!」と手を差し出し、僕は彼女と握手をして撃沈した…。

諦めきれなかった僕は彼女のために想いを込めてチェロソナタを作曲して卒業前にその楽譜をプレゼントした(ソナタ形式を書けるワケ無いが僕はその曲をソナタと呼んだ。そのハ短調の「愛」の主旋律は今でも口ずさめる)。

結局彼女の伴奏で演奏することも出来ず、卒業してすっかりそのことを忘れていたが、20年後の僕の日本デビューコンサートに彼女が来てくれて、「あの楽譜まだ持ってるわよ〜」 と言われ、以後僕は同窓会などて彼女に会うたびに「お願いだから燃やしてちょうだい!」とお願いしてる。


セレモニーにジーンとしながらそんなことを思い出してた。


最後は3年生部員を代表する3人の挨拶(実はキャプテンの女の子は僕の親友の娘さん)。
3人とも涙で声をつまらせながら、ちょっと生意気でカッコよい素敵なスピーチで客席のお父さんやお母さんはみんな泣いていて、いつの間にか僕の目からも涙が流れていた…。
そして何よりみんな昭和の青春時代っぽいのが嬉しかった。


後輩の皆さん、これからも青春時代を熱く時には恥ずかしいくらい謳歌してください!


コンサート後はその親友の家族と近くのイタリアンで久しぶりにゆっくり飲みながら食事。青春時代を懐かしんで楽しかった。


というわけで昨日はとても癒される一日でした…。


長い文章でごめんなさい。
それではまた!


(写真をクリックで拡大します)



葛飾シンフォニーヒルズで。慶応義塾中等部器楽部の定期演奏会。


   藤岡 幸夫



<管理人より>
2013/1/22付From Sachio「中学時代の話 その1」はこちら

2013/3/21


昨日の吉松隆さんの還暦コンサート、チケット完売で凄いコンサートになりました。


プログラムは3部構成で3時間50分、最後のタルカスが終わったときは物凄い歓声でお客様総立ちで客席で聴いていた吉松さんとキースエマーソンはステージへ。キースが突然ピアノでタルカスをまじえながらハッピーバースデーのメロディを弾きはじめ、最後は打ち合わせ通りオケとキースとでハッピーバースデー。盛り上がりに盛り上がったコンサートになりました。

東京フィルも、青春時代からキースが神様というコンサートマスターの荒井さんを筆頭に強烈な集中力とパッションで尋常じゃなかったです。コロンビアの岡野プロデューサーもあまりに凄いパフォーマンスだったのでまたCDにするそうで、皆さんに喜んでもらえて本当に良かった。


最後にステージ上でロックコンサートのように総立ちのお客様から歓声を受けている吉松さんの姿を見て、僕が20年間(もちろん他の方々も)ヨシマツ!と言い続けたのが報われた気がして本当に幸せな気分になりました。そしてキースエマーソンと夜中まで祝杯を上げた時間はみんなにとって夢のような時間となりました。


吉松さん!今までありがとうございました!そしてこれからまた新しいスタートですね!楽しみにしています。


東京フィルの皆さん、凄いパフォーマンスをありがとうございました!キースもすごく感動していました。それからコロンビアのスタッフの皆さんありがとうございました。CD楽しみにしています!


それから舘野泉さんをはじめ豪華なソリストの皆さんお疲れ様でした。一部の室内楽は客席で聴けず残念でした。
最後にジャパンアーツの皆さん大成功おめでとうございます!特に2年前からこのコンサートを企画してた大沼千秋さん!大沼さんの熱意が大成功につながったと思っています。


皆さん本当にありがとうございました!コンサート模様はNHKで短縮されて放映されるそうです。


PS 昨日初めて指揮した吉松さん25歳のときの「ドーリアン」 夢と生命力溢れる素晴らしい作品で感動してしまった!早速関西フィルとも取り上げようと思ってる。



ソリストの皆さんと。(写真をクリックで拡大します)



終演後に。僕の隣がキース、その隣は聴きに来てくださった富田勲先生。キースはトミタの大ファンだそう。



二次会で。前例左から吉松さん、キース、エマーソン夫人、で後ろはサイバーバードで共演した(凄いパフォーマンスでした)小柳さんに須川さん、僕の右が大沼さん、荒井さん、岡野プロデューサー。



右がコンサートマスターの荒井さん。素晴らしいリーダーシップでオケを引っ張ってくださるので毎回すごく楽しい。昨日はマッドになってました。
左は吉松さんのマネージャー(デビューから15年以上僕の担当もしてくれていた)ジャパンアーツの大沼さん。今回は本当に大沼さんの熱意が実った素晴らしい仕事でした。


   藤岡 幸夫


<管理人より>
この日コンサートが放送されます!
番組名:NHK BSプレミアム「クラシック倶楽部」
放送日時:2013年5月1日[水]6:00〜6:55


※3/20 吉松隆還暦コンサートのevent reportはこちら
2013/3/19


昨日から20日の吉松隆さん還暦コンサートのリハーサル。2日とも本番と同じオペラシティのホールで練習できるのが嬉しい。


プログレッシブロックのスーパースターのキースエマーソンが見学に来たり、最初にサプライズで吉松さんにオーケストラがハッピーバースデーを演奏して(昨日が誕生日)すごくいい雰囲気。


タルカスや吉松さんの25歳の時のドーリアンなど難しいけど東京フィルのレスポンスが素晴らしく、明日はチケットも完売で本番がすごく楽しみです。



タルカスのリハーサルを聴いて休憩中にご機嫌でピアノを弾くキースエマーソン。



今回は出演者が多くて吉松さんと舘野泉と僕の3人が同じ部屋。3人とも慶応義塾高等学校の同窓生で話しが尽きなくて楽しい。


   藤岡 幸夫


2013/3/17


今日は毎年恒例の高島公演。今年で8年めになるが毎年お客様との距離が近くなってる気がして嬉しい。 関西フィルも熱演で新世界が新鮮だった。


オーケストラの皆さん、司会の福山さん、地元のスタッフとしがぎん経済文化センターの皆さんありがとうございました!
今年の秋の高島公演を楽しみにしています!


さてさて明日から東京で東京フィルと20日の吉松隆さんの還暦コンサートのリハーサル。


なんとキースエマーソンが僕と東京フィルとで録音した吉松さん編曲のタルカスのCDに感動して、わざわざ来日して聴きに来てくれるそうで関係者の間では大変なことになってます。


チケットも完売間近で吉松さんの還暦を盛大にお祝いできそうで楽しみです!


それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!



高島市民会館と地元のスタッフの皆さんと。
本当はボランティアで手伝ってくれた地元高校の吹奏楽部のみんなとも写真撮ったのだけど学校の掲載許可が間に合わなくてごめんなさい!。


PS たまに大阪駅でみかける僕の大好きな昭和の特急電車「こうのとり」号が3月いっぱいで見れなくなるそうです。寂しい…



先週鳥取に行くときに大阪駅で撮ったこうのとり号。


   藤岡 幸夫


※3/17 高島公演のevent reportはこちら
2013/3/16


今日は関西フィルと明日の毎年恒例の高島公演のリハーサル。


ドビュッシーのオーケストラ版の「月の光」の美しさに息を呑む…。


後半は新世界だけど、演奏前にオーケストラに音を出してもらいながら解説します。新世界では初めての試み。

高島は去年台風で明日に延期になったのだけど、日程が合って良かったです。 毎年コンサートはもちろん琵琶湖の西を走る湖西線の景色を楽しみにしてます。

それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!


   藤岡 幸夫


2013/3/13


今日は関西フィルのスタッフと毎年公演をさせて頂いてる鳥取に行って平井知事にご挨拶してきた。
次回の鳥取公演がすごく楽しみ。


帰りがけに以前から行きたかった岡山県津山市にも寄ってきた。


この歴史ある素敵な城下町には思い出がある。渡邉暁雄先生の内弟子だった30年近く前に、第1回津山国際総合音楽祭で、先生のカバン持ち兼運転手でお供したことがあっていろいろ思い出して懐かしかった。今日はいきなりの訪問にも関わらず現地の文化を支えてる方々にお会いしていろいろお話ができて嬉しかった。


実は津山駅の前に箕作阮甫(みつくりげんぽ)さんの銅像があって、この方は僕の母方の祖父のそのまた祖父で、つまり津山は僕のルーツでもある大切な街なのです。


次回はゆっくり津山に滞在するつもり。


さてさて今週末は関西フィルと去年台風で延期になった高島(滋賀県)公演ですごく楽しみ!


それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!



今回初めて見る箕作阮甫さんの銅像。この人がいなければ僕は生まれなかった訳か…。


   藤岡 幸夫


2013/3/11


ブログでは普段はあえて音楽関係の話しかしませんが、皆様もご存知のように今日はあの日からちょうど2年になりますね。


被災者の方々の今まだ続く苦痛は我々の想像をはるかに絶するものだと思います。そんな中でテレビなどで伝えられる被災者の方々の必死に生きようという姿には本当に心を打たれます。


去年の3月に関西フィルのプレイヤーと被災地を訪ねましたがその時は言葉を失い、そして復興のスピードが遅いと感じました。被災者の方々がいくら頑張っても、あと何年も自分の家で生活できないなんて我慢の限界があるでしょう。
少しでも早く復興が進むことを心から願います。


今日のテレビで被災地の町長さんの「心が折れてしまうかどうかこれからが正念場」という言葉が心に残ります。


我々音楽家に出来ることは限られているかもしれないけれど、いつも決して東北の皆さんのことを忘れてはならいと思っています。


そして行政の皆さんに何より東北を優先して日本の底力を見せて欲しい!!


   藤岡 幸夫



2013/3/9


エルガー「威風堂々」の話


僕は最初は英国でデヴューして英国を本拠地としていたせいかよく「威風堂々」(第1番から第5番まであります。ここでは有名な第1番の話をします)の指揮を頼まれる。というか近年威風堂々はテレビなどで使われて人気が上がったので単に演奏回数が増えただけかもしれない。

エルガーはイギリス人にとって特別な作曲家でデヴュー当時はなかなか振らせてもらえなかったので振らせてもらえるようになったときはすごく嬉しかったなぁ・・。


日本ではよく関係者の方に「フジオカさんの最初の部分のテンポ速いですよね」といわれる。特に日本では邦題が「威風堂々」なので最初から堂々としたテンポをイメージしてる人が多い気がするが、冒頭の作曲者の指定はAllegro con molt fuoco (すごい火の玉のように速く) なのだ。

また最後に2度目のトリオのテーマ(有名な旋律)が出てくるところではセカンドヴァイオリンとヴィオラに全ての音の弓をダウンボーイング(下げ弓)で弾く指定があるが僕がこれまで指揮したほとんどのオーケストラは弓を上下に返してた。これは普段やってるテンポが速すぎて全部ダウンにできないか、全部ダウンだと奏者がすごく疲れるからなのだけど、僕はいつも作曲者指定の全部ダウンのボーイングに変えてもらう。ここはMolt Maestoso の指定があるので全部ダウンにするとまさしく威風堂々のサウンドになるからだ。

関西フィルとはこの14年間数えきれない回数をやっていて僕のやりたいことを知り尽くしてるのでもちろん問題ないし東京フィルも何度も共演してるので僕がお願いする前に変えてくれる。


またこの有名な旋律には歌詞がついて合唱付きで演奏されることもあるが、歌詞は後からつけられた国威的なもので、本来の持ってる本質(僕は高貴な人間の持つ愛を感じる)とはちょっと違う。


ところで「威風堂々」の原題は「Pomp and Circumstance」でPomp は「壮麗な」とか「華麗な」とかいう意味でcircumstanceは「儀式」とか「状況」で堂々という意味ではない。

ちなみにこの原題はシェイクスピアの「オテロ」の3幕3場の台詞から来てる。これは部下に騙され嫉妬に狂ったオテロが放つ激しいセリフで威風堂々のイメージとは全然違う。


「The sprint stirring drum, the ear piercing fire, The royal banner, and all quality Pride, pomp and circumstance of glorious war !」

「心を躍らす太鼓の響き、耳を突裂く笛の声、軍旗の荘厳、その誇り、名誉、手柄、輝かしい戦場の全て・・」(新潮文庫)

と翻訳を見ても「威風堂々」という言葉はでてこない。つまりこれは意訳でしかも素晴らしい訳だと思ってる。この「威風堂々」というタイトルのおかげで日本での人気も高いと思うし、原題より素敵だとも思う。実はクラシックの名曲で日本ならではの素晴らしい意訳は結構多い。

ヴェルディの「椿姫」(La Traviata)もいい例の一つ。もし直訳して「道を踏み外した女」なんてタイトルだったら・・・? 


ところでエルガーといえば愛妻家で「愛の挨拶」も有名だがこれはエルガーが婚約したときに婦人になるアリスに捧げた曲で2人が周囲の猛反対を押し切って結婚したときエルガー32歳でアリスは40歳!だった。

若いソリストの方がこの曲をよく速めのテンポでサラサラ弾くとき、僕はエルガーの話をして「もうちょっとゆったりやらない?この曲にこめられた想いは深いんだよ」とお願いする。

ちなみにエルガーの傑作チェロ協奏曲の冒頭の悲しく美しいヴィオラのメロディは愛妻が病気で余命わずかとエルガーが知った時にスケッチされた旋律なのです・・・。


というわけでいろいろ話だすと止まらないので今日はこの辺で・・・。  


   藤岡 幸夫


<管理人より>
2012年大晦日に生放送された「東急ジルベスター」の映像がYouTubeでご覧いただけます。
エルガー「威風堂々」です。(約7分)



※Youtubeリンク先はこちら


2013/3/8


昨日は東京フィルとオペラシティで株式会社テクノスジャパンの株式上場記念コンサート。


ローマの松や威風堂々にヴィヴァルディの四季やパイプオルガンのソロ他の豪華プログラムに朝岡聡さんの司会という贅沢なコンサート。


東京フィルは色彩豊かで歌ってアンサンブルするのでメカニックにならないのが何よりの魅力。昨日の演奏もすごいテンションでリハーサルから本番まですごく楽しかったです。


テクノスジャパンの皆様おめでとうございました。そしてオーケストラの皆さん、朝岡聡さんありがとうございました!東京フィルとは今月20日のオペラシティでのコンサートを楽しみにしています!


それではまた!



本番前にコンサートマスターの荒井英治さんと。昨日の荒井さんの弾き振りの四季は大きな編成のオケを強烈にドライブして素晴らしかった。実は僕も先日日本フィルと大きな編成でヴィヴァルディのトランペット協奏曲を指揮したけど大編成のヴィヴァルディってかなりイケる。曲や作曲者によるだろうけど、これから大編成のバロックもやってみようと思う。
荒井さんとは20日にまたお会いするが、2人とも今から気合いが入っててタルカスがどうなるか楽しみ。


   藤岡 幸夫


2013/3/4


今朝から久しぶりにレスピーギの「ローマの松」のスコアを読んでる。真っ青な空に優しい風、夜空に浮かぶ美しい満月…スコアを読んでるだけでイタリアの空気の匂いが本当にしてくる。

ところでローマの松のスコアを読んでると必ず思い出すのが大好きなヘミングウェイの「海流の中の島々」。
この小説を読んでると潮の香りと西風の匂いがしてくる…。


錯覚とはわかってるけど本当に匂いを感じる…。


ローマの松は木曜日に東京フィルとのコンサートで指揮するのを楽しみにしているけど残念ながら一般非公開なのでごめんなさい。


話は変わって、先日会いたいけどもう二度と会えないと思ってた人に30年ぶりに奇跡的に再会できた。


大学生時代に僕たち親友仲間が正一兄さんと慕ってたバスの運転手さんで、学生時代正一兄さんのサロンバスでスキーやら海やらに散々連れてってもらった。
15歳年上の正一兄さんは遊び上手で人情味溢れみんなに慕われてたけど突然音信不通になり僕たちはずっと心配してたし、この世にもういないのではと思ってた。


話を聞くと、生死をさまよう重い病気にかかり長野で2年間療養しててその間に連絡先を無くしてしまったのだそうだ(携帯なんか無い時代だった)。体調が戻ったあとはなんとプロのハスラーをしてて5年前に観光会社の偉い方に頼まれてまたバスの運転手さんをしてたそうだ。


先週僕の仲間のひとりがロータリークラブのスキーツアーに参加したら運転手さんが正一兄さんで鳥肌がたつほどびっくりしたらしい。

30年ぶりの正一兄さん全然変わってなかったけど以前よりずっと優しい目になってた。10年以上前に最高の女性(6つ歳上の4度目の奥さん!)に出会えたそうだ。

久しぶりの衝撃的に嬉しい出来事で、正一兄さんと仲間たちと夜中まで30年ぶりの再会に酔いしれて心がすごく温まりました。



向かって左が正一兄さんで右が発見者のトシキです。


   藤岡 幸夫


2013/3/3


昨日は渋谷のオーチャードで日本フィルオールスターガラコンサート。


日本フィルは僕にとって産みの親(ヨーロッパに留学する前の4年間指揮研究員として毎日リハーサルに通って団員さん達にたくさんのことを教わったし、ヨーロッパでデビューした後定期演奏会で日本デビューさせてもらってその後7年間指揮者をしてたのです)のような存在で、今回は日本フィルのスタープレーヤーの皆さんが次々にソロやアンサンブルを披露。3時間近い長いコンサートだったけど、素晴らしいパフォーマンスの連続でメリハリが効いててやってて楽しかった。
最後はフィンランディアで客席の大合唱と共演(日本語歌詞カードが配られ、客席には日本フィル協会合唱団と宇都宮第九合唱団の皆さんがあちらこちらに座ってた)日本フィルならではの素晴らしい企画だった。

皆さんありがとうございました!次の共演を楽しみにしています!


さてさて今日はやっとちょっと一息。久しぶりに家で映画でもみるか…。



コンサート後はレセプションパーティー。向かって右が20年以上の付き合いになるコンサートマスターの木野さん。左は日本フィルの田辺理事で、25年前に田辺さんが事務局長だったときに僕のために指揮研究員のポストを新設してくださった。田辺さんがもし僕を拾ってくれなかったら、僕は指揮者になれなかったと思ってる。僕の大恩人です……!


   藤岡 幸夫


※3/2 日本フィルオールスターガラコンサートのevent reportはこちら

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