2014年5月分
過去の一覧へ
←つづき(過去) | つづき(先)→ |
2014/5/31 昨年から東大阪と野田市長のおかげで新しい絆が生まれてる。 今日は東大阪市内の中学校高校の各吹奏楽部、器楽部、合唱部、ギター、マンドリン他音楽関係のクラブ活動をしている約1000人の生徒さん達が対象のコンサート。こういう企画は初めてで素晴らしいアイデアだと思うし生徒さん達もすごく集中して聴いてくれてとっても楽しかった! 演奏会後は生徒さんの代表がロビーや楽屋で関西フィルメンバーのクリニックを受けてる。 今日の演奏会で新しい関西フィル&クラシックファンが生まれてくれることを心より願います。 昨年あっという間にチケットが完売した関西フィル東大阪シリーズは今年は8月31日です。 是非とも関西フィルのコンサートに気軽に来てください。待ってます! さてさて東京に戻って来週6月7日は東京シティフィル定期で、疾風怒涛のハイドン49番に、ラフマニノフパガニーニの主題による変奏曲にメインは僕の愛するヴォーン・ウィリアムズ交響曲5番です。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫
|
|
2014/5/27 「仕事部屋」の話 「音楽の友」の先月号で僕の仕事部屋を記事にして下さったが、これは紹介出来なかった大切な写真。 左端がイギリスでの師匠だったサー・チャールズ・グローヴスで隣が作曲家のサー・マルコム・アーノルド。このお二人とは良くご一緒する機会があって英国の作曲家達やオーケストラの逸話をいろいろ教えて頂いて本当に楽しかった。 サー・マルコムは英国では人気作曲家で僕もBBCフィルやユースオーケストラのドイツ旅行他取り上げる度に聴きに来てくださって凄く嬉しかった。 彼の口癖は過去の作曲家の多くが口にしたセリフで、「好きにやっていいよ」だった。 ブラームスもこのセリフをよく口にした事で知られるが、これは実は楽譜をよく読んで自分のやりたい事をしっかり明確にもって欲しいという意味でもある。 サー・マルコムは客席にいるときは、演奏中に良くお客様の表情を観察していて凄く頭の回転の速い方だった。 リハーサルで細かいことを練習してると「サチオ、細かいことより雰囲気を大切に!」と言われたのが凄く印象深い。実はこれと全く同じ事をフランスの作曲家のフランセにも言われた事がある。 サー・チャールズの笑顔はいつも僕の心に焼き付いてる。ロンドンのご自宅でレッスンしてもらう時はいつも交響曲や管弦楽曲を連弾しながらいろいろな事を教えて下さった。毎回あっという間に3時間くらい経って最後にラヴェルのマメールロアをよく楽しんだ(僕も大好きな作品!今でもこれを振れる時はわくわくする)。 2人で弾き終わるとサー・チャールズがいつも僕に優しくにっこり笑って「完璧な作品だよ…」と呟いたのがとっても懐かしい… 僕の仕事部屋は25年以上殆ど風景が変わらず、デビュー前の指揮者を夢見てたあの頃にタイムスリップさせてくれるが、部屋に飾ってあるこの写真は懐かしい英国時代を思い出させてくれるのです… 6月7日の東京シティフィル定期で取り上げるヴォーン・ウィリアムズの交響曲5番のスコアを読みながら、留学したての頃サー・チャールズに「サチオ、今はわからないだろうけどヴォーン・ウィリアムズの5番は素晴らしい傑作だよ」と言われたのを思い出してこの文章を書きました。 東京シティフィルの定期もとっても楽しみです。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 取材の時に記念に撮った写真。 追伸 実際ヴォーン・ウィリアムズ交響曲5番は若い頃はよく分かって無かった。ロンドンにいるマネージャーのニックに当時「本当の悲しみを知った時この作品の素晴らしさを理解出来るよ…」と言われた事がある。 第2次世界大戦時に書かれたこの交響曲の本質は平和への祈りと悲しむ人々への優しさだ。また生で聴かないと分かりにくいが、ヴォーン・ウィリアムズの立体的なオーケストレーションも大きな魅力で、6月7日はこの曲の崇高な品格高い美しさが伝わる演奏にしたい。 悲しみが多い今の世の中だからこそこの作品の持つ優しさが胸を打つ… 藤岡 幸夫
|
|
2014/5/25 佐賀アルモニア管弦楽団の本番素晴らしかったです。 元都響のVmの久原さんが定年で地元に帰られて発足して13年目になるアマチュアとは呼べないレヴェルの高いオーケストラ。 団員の7割が元N響のVlaの川崎さんをはじめ佐賀を中心に九州にゆかりある現役のオケマンやプロの音楽家達で、ラフマニノフ交響曲2番素晴らしい演奏でした。 前半のチャイコフスキーピアノ協奏曲を弾いた唐津出身の古賀大路さんも若々しくダイナミックな演奏で、いやはやこんなプロアマ関係なく地元を愛した人達の集まるレヴェル高いオーケストラがあるなんて凄い文化だと感激してしまった! リハーサルから本番までとっても楽しかった。皆さんありがとうございました! 都響の久原さんが2000年から手塩をかけて育ててきたオーケストラ。ご自身も2ndトップサイドで素晴らしい演奏されたがなんと今年で75歳!と伺い驚愕!!お人柄も素晴らしくご一緒できてとても楽しかったです。ありがとうございました! 藤岡 幸夫 |
|
2014/5/24 昨日は東京の阪急の事務所で、来月6月21日に関西フィルの梅田芸術劇場阪急ゆめ・まちコンサートで共演する野々すみ花さんと打ち合わせ。 元宝塚スターの素敵な方でした。写真撮り忘れた… チケット完売間近なのでお早めに。 今日はこれから佐賀アルモニア管弦楽団とリハで明日が本番。何度も書いてるけど、元都響や元N響、元東響他オケマンや現役のオケの方に加えて九州各地から集まってきた音楽家が半分以上いるオケでとてもアマチュアとは呼べないレヴェルの高いオケで楽しい。 メインはラフマニノフ2番でとっても濃厚な演奏。前半のチャイコフスキーピアノ協奏曲を弾く地元唐津出身の古賀大路くんも若さ全快でダイナミック。 近くにお住まいの方は是非ともお待ちしてます。 藤岡 幸夫 |
|
2014/5/22 一昨日は関西フィルと雲雀丘学園で中高生の皆さんとコンサート。とっても素敵な雰囲気の学校で新しいクラシック&関西フィルファンが生まれてくれればと願います。 阪急の最寄り駅。なんとも雅ですね。 コンサートの後はこの10年お世話になっている吹田メイシアターの古矢事務局長と飲み会。今後の関西フィルとの新しい企画が決まって楽しみ! この10年一緒に吹田の演奏会を盛りあげてきた熱い方です。これからもよろしくお願いいたしたます! 昨日はこの9月に関西フィルとマーラーの6番で招待してくださってる津山国際音楽祭のプレイヴェントのシンポジウムに参加して、夜は関係者の皆さんと懇親会でとっても楽しかった! 1987年に僕の師匠の渡邉暁雄先生が岡山県の美しい城下町津山を日本のザルツブルグと呼んで音楽祭をはじめ、毎回マーラーをテーマに今年が19回目で3年に一度の街を上げたお祭り。クラシックだけでなく今回はJAZZの老舗ビッグバンドカウントベーシーオーケストラが来日したり毎日他分野の音楽芸能で盛り上がる。 観光がてら是非ともお薦めです。
それではまた! 岡山駅から快速ことぶき号で66分。快速といっても単線!!車窓からの景色が最高です。 津山駅前の箕作阮甫(みつくりげんぽ)さんの銅像。実はこの人の孫の菊池大麓(きくちだいろく)という人が僕の母方の曾祖父でつまり僕のご先祖様なのです。 この方がここにいなかったら僕も生まれて来なかったわけで…感無量ですね。 当時作陽音楽大学が津山にあって日本の代表的名指揮者だった僕の師匠の渡邉暁雄先生が学長をしていらした。鞄持ちと運転手で何度か先生と津山を訪れたが、いつもこの宮井川を眺めながら「日本のザルツブルクだろ」と自慢していらしたのが懐かしい。 観光にも素敵な城下町です。 藤岡 幸夫 |
|
2014/5/20 日曜は日帰りで佐賀アルモニア管弦楽団とリハ。半分以上の方々が佐賀を中心に九州にゆかりのある音楽家の皆さんでとてもアマチュアとは呼べないレヴェルの高いオケ。大友さんや広上さんが振りに来るのも納得。来週5月25日の本番が楽しみ! 昨日は関西フィルとリハの後夕方からシンフォニーホールで機関誌「シンフォニア」で親友の飯森範親と対談。久し振りに一緒に夕飯食べられるかと思ったら用事があるといなくなってしまい残念でした。 今日はこれから関西フィルと雲雀丘学園でコンサート。新しい若いクラシックファンが生まれるよう頑張ります! 藤岡 幸夫 |
|
2014/5/18 昨日関西フィル定期補助席まで出てチケット完売でたくさんのお客様ありがとうございました。(土曜2時だったので企業後援会関係の空席が残念でしたが)。 さてさてドヴォルザークのレクイエムは素晴らしい手応えだった。 関西フィルコアは関西フィルと兄弟関係の合唱団として昨年発足して今回僕は初共演。 厳しいオーディションで選ばれた精鋭80人が畑儀文先生(毎回ソリストとしても出演して頂く)の素晴らしい指導で厳しく鍛えられる。 今回は最初の練習から進化を続け昨日の本番では、パイプオルガン、鐘まで鳴り響くオーケストラの大音響に全く負けないパワー、ヴィブラートを控えめにした美しい歌唱から生まれるハーモニーで倍音も随所でよく鳴っていた。男声の難しいアカペラもクオリティが高くて気持ち良く(リハの方が完璧だった箇所もあったが)これは将来もの凄い合唱団になる可能性充分! ソリストの皆さん(朴瑛美さん、谷地畝晶子さん、畑儀文さん、小玉晃さん)の素敵なソロと美しいアンサンブル。関西フィルも一体感ある演奏で我々の新たな素晴らしい兄弟関西フィルコアとの思い出になるコンサートになりました。 これから関西フィルコアとは定期演奏会だけでなく色々な形で共演していきたいと思います。 皆さんありがとうございました! さてさて今日はこれから日帰りで佐賀アルモニア管弦楽団とリハーサルで明日は関西フィルとリハーサルです。 それではまた! 畑儀文先生とはこれまで、「天地創造」「ヴェルディレクイエム」「四季」「ミサソレムニス」他 何度も共演させて頂いてきたが、本当に素晴らしい。宗教曲、ドイツリートの第一人者でノンヴィブラートを完璧に使える数少ないテナーの1人。 素晴らしいアンサンブルでした!左から朴さん、谷地畝さん、小玉さん、畑さん。 藤岡 幸夫 ※5/17 関西フィル定期演奏会のevent reportはこちら |
|
2014/5/15 ドヴォルザーク至高の傑作「レクイエム」の話・・・その2 17日の関西フィル定期で関西フィル合唱団とドヴォルザークの最高傑作レクイエムを取り上げる。 レクイエムは大きく2つの部分に分けられる。 前半は祈りや懺悔、悲嘆…と色調は暗いが後半は慰めや優しさに溢れ音楽の色調がかわり魂の浄化へと向かって行く。 また冒頭の短い旋律はバッハのロ短調ミサの第二キリエから(敬意を持って)とられたとされ、死の思想の動機と呼ばれ全曲を通して至るところに形を変えて現れる。 また全体的な大きな特徴としては時にパイプオルガンや鐘が鳴り豪華絢爛な響きがするが、その一方で合唱のアカペラ(伴奏無し)の部分が多く、随所で無駄を削ぎ落とした大胆なオーケストレーションと斬新な和声進行で素晴らしい音色を生み出していて、時に息をのむほど美しい…。 第1部 第1曲 REQUIEM AETERNAM 冒頭弦楽器で静かに死の思想の動機が奏され合唱によって「主よ彼らに永遠の安息を与えたまえ…」と歌われはじめる。荘厳な楽章。 第2曲 GRADUALE 冒頭ソプラノソロがアカペラで死の思想の動機の旋律で「主よ彼らに~」を繰り返す事から始まり、女声合唱が加わり「そして絶えることのない光が彼らを照らしますように」と歌われる。 ここまで伴奏は木管パートが最低限あるだけの斬新な手法で特別な響きを生む。(コールアングレがこの曲をはじめ全曲を通して随所で主要な役割を与えられている)。 弦楽器も静かに加わりソプラノが美しいソロを歌った後のアカペラの男声合唱がたまらなく素晴らしい… (前半の女声だけのアカペラとの見事なコントラスト!) 第3曲 DIES IRAE よく使われるグレゴリオ聖歌の怒りの日の旋律は使わずオリジナルのメロディで激しく歌われ途切れずに第4曲につながる 第4曲 TUBA MIRUM 前曲から途切れず、冒頭トランペットが死の思想の動機を奏でて始まる。静かに鳴るタムタムが異様な空気を生む。全曲を通じてタムタムと3・4番トランペット(たった3小節!!)が登場するのはこの箇所だけ。 続くアルトのソロの後に現れる男声合唱が効果的。力強いバスのソロの後に木管が素敵なメロディ(メロディメーカーのドヴォルザーク!)を合唱の伴奏で奏でるが展開させない(通俗的になるのを避けている)。最後にチェロが静かに死の思想の動機を奏でテノールの弱々しいソロに続く。 ここも管楽器だけの削ぎ落としたオーケストレーションと素晴らしい転調で歌詞にあった独自の空気感が見事に描かれている。 続いて第3曲の怒りの日の音楽に戻りパイプオルガンや鐘まで鳴り響き(ピッコロやコントラファゴットがこの曲だけ登場する)壮大なクライマックスを築いたあと静かにまた男声合唱が短く効果的に現れ第5曲に続く。 全曲に渡って度々現れる男声合唱は教会的な色調を素晴らしく表現している。 第5曲 QUID SUM MISER ホルンだけのEsの強調ではじまり今度は女声合唱が静かに歌う。前曲の男声合唱との対比で修道院的な色調が見事でバスクラリネットの響きが効果的。続いて木管の死の思想の動機で導かれるソプラノソロと男声合唱の繊細な絡みがなんとも美しい…! 後半の「恐るべき権威ある王よ」は主にソプラノとアルトの二重唱で時に泣き叫ぶかのように効果的に歌われる。 第6曲 RECORDARE JESU PIE ソロの四重唱で情緒豊かに歌われる。個人的には90小節めからのフルートが効果的に使われていて凄く興味深い。 最後に4人がアカペラで「身のほど知らずなお願いではありますが~」と歌った後のヴァイオリンと木管で歌われる旋律(冒頭木管が奏でる主題)がなんともボヘミア的で美しい!これぞドヴォルザーク! けれどここでもその素晴らしい旋律は制御され通俗的にならず宗教的な秩序が守られる。品格の高さよ! 第7曲 CONFUTAIS MALEDICTIS 冒頭「呪われた者たちが口をふさがれ~」と激しく歌われた後に混声合唱で静かに美しく「私たちを呼びたまえ」と歌われるが、素晴らしい和声進行が効果的で、また混声を使う事で民衆の願い的な色調をだしている。 第8曲 LACRIMOSA 激しい減7の和音の効果的な3連符のリズムにのってバスと合唱のバスパートで歌われる「その日は涙溢れる日~」ではじまる。 見事な転調を繰り返しながら(時に息をのむほど美しい…!)音楽は発展し、最後は管弦楽が死の思想の動機の断片を奏ではじめソロに続いて合唱がアーメンを何度も繰り返し、フォルテでドラマティックにアーメンを叫んだ後、管弦楽に死の思想の動機が現れティンパニが怒りの日で使われたリズムを叩きながら諦めるように静かにレクイエムの前半が終わる。 第2部 第9曲 OFFENTORIUM ドヴォルザークの個性が遺憾なく発揮されたなんとも優しさに満ちた楽章。 第1部とは対象的な穏やかな音楽が木管で奏でられた後合唱のバスパートがグレゴリオ聖歌のように「栄光の王、主イエスキリストよ~」 と歌いだし続いてハープと弦楽器が優しく奏でだす…なんと美しい、斬新で素敵な魅力的なアイディア!と驚いてしまう。 ソロ4重唱と合唱の絡みも素晴らしく、音楽は明るく力強い。「旗手聖ミカエルが聖なる光のうちへと~」の箇所では合唱団にはここは笑顔で歌っていいですよと伝えてある。 続く「かつてあなたがアブラハム~」はチェコの中世から伝わる讃歌「楽しく歌え」をもとにしているといわれ、このレクイエムの唯一のフーガで音楽が生命力溢れる。 第10曲 HOSTIAS 前曲と対象的にここでも削ぎ落とされたオーケストレーションでバスクラリネットやソロヴァイオリンの伴奏が独自の空気感を出した後、男声4部合唱の素晴らしいアカペラが、美しいソロパートを挟みながら繰り返し現れる。 この男声合唱のアカペラが高い歌唱力を要求されて凄く難しい。このレクイエムで最も印象的で崇高な音楽…!合唱団にとってはレヴェルを問われる勝負箇所でもある。 続いて「かつてあなたがアブラハム~」が再び繰り返され力強く終わる。 第11曲 SANCTUS 冒頭「聖なるかな~」がバスのソロと少人数のアルトで歌われる新鮮なアイディアではじまり、合唱団が人数を増やして音楽が高揚した後、突如ソプラノソロと女声合唱のアカペラで「天地はあなたの栄光で~」が歌われる。ここでも前曲の男声合唱のアカペラとの見事なコントラストと新鮮なコード進行で特別な響きが生まれる。 音楽が高揚した後見事な転調で静かに優しくBENEDICTUSが合唱で歌われはじめる。 高貴な美しいテノールのソロが他のソロや合唱と絡みあいながらここでも素晴らしい転調を続けて音楽は発展し最後はオザンナを叫んでクライマックスを築いて終わる。 第12曲 PIE JESU 第8曲の涙の日の後半が独立してPIE JESU と単独で扱われ抜群の効果を発揮してる(ケルビーニやフォーレ他の作曲家もとっている手法ではある)。 管楽器の静かな序奏の後に「慈悲深い主イエスよ~」が男声合唱のアカペラで歌われた後、ここでも削ぎ落とされたオーケストレーションの伴奏が加わりなんとも品格高くひっそりとして美しい。 実はここは男声合唱だけでなくアルト合唱が隠し味のようにテノールと全く同じ旋律を歌っていて!!特別な響きがするのだ。素晴らしいアイディア! 続いてバス無しのソロパートが繊細なアンサンブルをアカペラで歌ったあと、先と同じアルト合唱付きの男声合唱がまた現れ、最後の最後でアルトが独立した旋律を歌ってその姿を現す…なんて優しい響き…ここはもう鳥肌です。ドヴォルザークの真骨頂…!このレクイエムの最も素晴らしい瞬間の一つ…。 第13曲 AGNUS DEI 序奏で再び死の思想の動機が姿を現し以後随所でこの動機の断片が見え隠れする。 そしてここでも前半はソロと合唱のアカペラの響きと斬新な和声進行が素晴らしい効果を生む。例えば「栄光の光」~に入る直前の転調の美しさには何度も鳥肌がたつ。 後半音楽はソロと合唱と管弦楽が発展して尋常ではない凄い和声進行を繰り返し素晴らしい劇的なクライマックスを築いた後終結へ向かう。再び「主よ永遠の安息が~」が静かにアカペラで歌われはじめ、最後は死の思想の動機が管弦楽に現れ消えるようにレクイエムは終わる…。 いやはや、大胆な発想や斬新な和声進行、テクストの変更(長くなるのであまり書かなかったけど)など普通じゃない事だらけの、でも本当に素晴らしい奥の深い大傑作なのです。 長い長い文章読んで下りありがとうございます! それではコンサートでお会いしましょう! S・A席は売り切れでチケット完売間近なのでお早めに。06 6577 1381(関西フィル) 藤岡 幸夫
|
|
2014/5/14 昨日は関西フィルとオリックス劇場でオリックス50周年記念の盛大なガラコンサート(非公開)。 宮内会長が以前より関西フィルの理事をしてくださりコンサートのスポンサーもしてくださっているご縁で出演させていただいた。 関西フィルはオリックスに日頃からお世話になり大変感謝しております。 昨日は2400席満員のお客様で米團治さんの司会で、前半は並河寿美さんと松本薫平さんをソリストに迎えてアリア集、後半は威風堂々、ボレロに外山雄三先生のラプソディー他豪華絢爛プログラムで関西の一体感を感じる素敵なコンサートだった。 学生時代に親に隠れて12年落ちの中古車をオリックスのおかげで手に入れることができて凄く嬉しかったのが今でも懐かしい。 オリックスの皆様本当におめでとうございます。 そしてこれからもどうぞよろしくお願いいたします! さてさて今日から17日関西フィル定期のドヴォルザークのレクイエムのリハーサル。 チケット完売間近なのでお早めに。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
|
2014/5/12 昨日の広島交響楽団のコンサートとっても楽しかったです。 前半のメンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲を弾いた世界中で活躍のムターの愛弟子イェウン・チェさんはとにかくテンポの幅をいっぱいに使ったダイナミックな演奏で素晴らしかった。 後半のベートーヴェン交響曲6番「田園」はオーケストラが生き生きとよく歌い、管楽器のソロもとっても素敵で生命力溢れる演奏だった。 リハーサルから3日間とっても幸せでした。皆さんありがとうございました! 今日は関西フィルとリハーサルで明日はオリックスの華麗なる記念ガラコンサート(一般非公開)、今週17日は関西フィル定期で関西フィル合唱団とドヴォルザークのレクイエムと続きます。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
|
2014/5/11 今日は広島交響楽団とコンサート。2日間のリハーサルもとってもいい感じにきていて本番が凄く楽しみです。 広響はまだ僕が留学する前の1989年に僕にチャンスをくれた最初のプロオーケストラでその時大失敗してしまった(メインは新世界だった)。デビューしてからまた度々広響を振るようになって、5年ほど前に失敗した時と同じホール同じ曲でリベンジさせてくれたのです。 広島に来る度に昔を思い出しながら街をぶらぶらする。僕にとって初心に帰れる素敵な街とオーケストラなのです。 今日フィガロの結婚序曲にメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲にベートーヴェンの田園。オーケストラも生き生きとしていてやっててとっても幸せになります! ホテルの部屋からの眺めに癒される。 世界的に活躍するイェウン・チェさんはスケール大きく素晴らしいです! 藤岡 幸夫 |
|
2014/5/6 今日は関西フィル弦楽アンサンブルと非公開のコンサート。お客様が最高に明るくて関西ならではのノリで笑った笑った!ステージでこんなに笑った(団員さんも)コンサートは多分初めて。最高に楽しかったでス。皆さんありがとうございました! 我が関西フィルコンサートマスターの岩谷祐之くんの名器グァリネリから放つモンティのチャルダッシュ今日も凄かった!鳥肌たちました。 新しい関西フィル&藤岡ファンをがっちり掴めた手応え。 コンサートでお待ちしてます。 一昨日は滋賀県大津で毎年恒例の関西フィル滋賀シリーズの宣伝をかねたしがぎん経済文化センター会員向け雑誌用に、この10年以上お世話になっている皆さんと座談会。 左から野洲の山本さん、長浜の北村さん、高島の中川さん、しがぎん経済文化センターの宅間さん。毎年各地チケット完売で盛り上がり本当に感謝です。今年も楽しみ! 藤岡 幸夫 |
|
2014/5/5 ドヴォルザーク至高の傑作「レクイエム」の話・・・その1 5月17日の関西フィルの定期で昨年結成された関西フィル合唱団と共にドヴォルザークの最高傑作(と僕は思っている)レクイエムを取り上げる。 同時代の作曲家例えばヴェルディやブラームスに比べてドヴォルザークのレクイエムも肩を並べる真の傑作にも関わらず余り知られていない。何故か? 前者2人に比べてドヴォルザークは敬虔な本当のクリスチャンだった。 それが故に、(旋律の宝庫 といわれる交響曲8番の直後に作曲されたにも関わらず)通俗的にならないように溢れでる旋律の展開をあえて制御して(それでも魅力的な旋律が随所にでてくる)、その代わりにあらゆる手法を駆使して言葉を引き立たせ深遠でどこまでも美しい世界を拡げている。 それだけに、レクイエムの教典を理解していないと親しみにくいので一般的に有名にならなかったが実は凄い傑作なのだ。 このレクイエムを作曲した当時ドヴォルザークは一人の作曲家としてあるいは人間として地位も栄誉もあり充実していた。その一方で50歳を前にして、いずれ受け入れなくてはならない死と向き合った作品といえる(時に悟りの境地すら感じる)。 また教典のテクストを自由に反復したり区切ったり並べ変えたりする事で見事な効果をだしていて、ドヴォルザークの死生感が伝わってくる。 レクイエム全体の大きな特徴は合唱のアカペラ(伴奏が無い)の箇所が多く、宗教的な素晴らしい効果をあげている。 特に随所で男声合唱と女声合唱に分けられそれが教会的修道院的な空気を生んでいて、またパイプオルガンや鐘が鳴り響く豪華絢爛なオーケストレーションをする一方で、無駄を削ぎ落としたオーケストレーションと斬新な和声進行、大胆な発想で教典のテクストの言葉の意味が掘り下げられ音楽は奥深く崇高な凄い傑作となっている。 余談になるが例えば新世界の何が凄いかといえば(メロディも素晴らしいが)実は和声進行で、このレクイエムでは自身のメロディメーカーとしての才能を制御して通俗的になるのを避けて、かわりに和声における才能を存分に発揮してあらゆるアイディアを大胆に取り入れることで時にこの世のものとは思えない特別な響きを生みだし、作曲者の敬虔な信仰心を現すかのような品格高い美しいレクイエムが生まれているのだ。 僕はドヴォルザークの最高傑作だと思ってる。 また合唱団にとって歌唱力を問われる超難曲で、昨年結成された関西フィルコアが本来もつクオリティの高さをどこまでさらに伸ばしてくれるのか5月17日の定期をとっても楽しみにしています。 本当に素晴らしい作品なので次回は各曲の解説をします。 S・A席売り切れで残券少なくなっているのでお早めに。06 6577 1381 藤岡 幸夫
|
|
2014/5/3 5月17日の関西フィル定期で関西フィル合唱団とドヴォルザークのレクイエムを取り上げる。 敬虔なクリスチャンだったドヴォルザークらしい至高の傑作でこの作品の話は改めてするとして、同じレクイエムでも全く違う性格のヴェルディを思い出す。 ヴェルディのレクイエムは人間臭い。ソプラノパートは愛人ストルツのために作曲され、初演の連続公演では各地の新聞が2人のスキャンダルを騒ぎ立て、その一方でヴェルディは妻を苦しめている自分自身を憎んでいた。 興味ある方はヴェルディのレクイエムの話で…! 藤岡 幸夫
|
←つづき(過去) | つづき(先)→ |