2011年4月分
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2011/04/29 シベリウス「交響曲第5番」の話 …3 宣伝するのすっかり忘れてたけど今月初めに関西フィルとのシベリウスの交響曲5番のCDが発売になった。 去年の夏に吹田のメイシアターでセッション録音したもので、関西フィルとこの5番を取り上げるのは4度目だったのでしっかり掘り下げた演奏ができたと思うし、コジマ録音のレコーディングも素晴らしいので是非とも多くのかた達に聴いて欲しい。 ちなみにジャケットの個性的な写真は当サイトの管理人の岡野さんが撮ってくれました(Masaのロゴが目印です)。 ところで以前にも書いたけど現在一般的に演奏されるこのシベリウスの5番は改訂版で、10年くらい前に初稿版を初めて聴いたときに飛び上がるくらいびっくりした。 以前にも書いたがこの交響曲が初めて着手された時のシベリウスは癌を克服したものの愛する祖国フィンランドはロシアの支配下にあった。 1915年に交響曲は完成して初演も成功したかシベリウスは改訂を始めた。 その頃政情は悪化してシベリウスの改訂は進まず、結局4年後に改訂版を完成させたときにはフィンランドはロシアから独立を果たしていて大きく状況は変わっていた。 この2つの5番からはシベリウスの心の大きな変化が手にとるように良く分かる。 例えば初稿版には改訂版の1楽章の中間でみられる喜びの雄叫びも無いし、1楽章の最後のシベリウス自身が「魂の狂喜」と呼んだ部分もなく、暗く寂しい。 驚くべきは以前にも書いた終楽章の「16羽の白鳥が旋回して遠くに飛んで行く」最も美しい部分で、初稿版ではなんとここで不協和音が入り、聴き手はギョッとする! ここだけでなく全体的に改訂版に比べ初稿版では不協和音が強烈でびっくりするし、改訂版ではいかにシベリウスが(癌は克服でき、祖国もロシアの圧政から解き放たれ、祖国の美しい自然の中で生活できて)幸せだったか良く分かる。 また交響曲最後の改訂版での和音の間の長い休符は幸せを噛み締めてるからこそで、初稿版には休符の発想もなくざわついつた感じで終わる。 とにかくシベリウス好きのかた達には是非とも両方の版を比べてみてほしい。 シベリウスの感情の変化がとても興味深い。 また近いうちにこの5番(改訂版)は取り上げるつもりです。 さてさて今日からのゴールデンウィークは学生オーケストラのリハーサルと、デュメイ&関西フィルとの友の会メンバー限定のコンサート(あり得ない贅沢!) のリハーサルとCD録音であっという間に終わります。 皆さんも素敵な休日をお過ごしください! それではまた! 藤岡 幸夫
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2011/04/26 昨日は大阪の国際美術館でのコンサートを聴きに行った。このシリーズは毎回美術館のオーナーのダイキン工業の井上会長(関西フィル理事長)の主催で他の関西フィルの理事の皆さんにもご挨拶できる。 理事の皆さんは関西フィルを熱心に応援してくださるので本当にありがたいことだ。 客席で関西フィルの金管5重奏を楽しんだ。 今日はデュメイの関西フィルのリハーサルを見学した後、クラリネットのオーディション。 デュメイは同じ箇所をしつこく練習して音色を変えていく。素晴らしいです。定期を聴きに行けないのが本当に残念! 来週のデュメイとレコーディングが楽しみ。 それではまた。 藤岡 幸夫 昨日の美術館には飯守先生もいらして関西フィルの指揮者陣3人が揃いました。珍しいショット。
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2011/04/23 昨日は大阪から東京に戻ってサントリーに日本フィルの定期を聴きに行ってきた。 モーツアルトのクラリネット協奏曲の独奏の日本フィル首席の伊藤君と指揮者の山田君を聴きたかったからだ。 伊藤君は音色も艶っぽくて美しく素敵なモーツアルトだった。彼とは以前からアーノルドの協奏曲をやろうと言い続けてまだ実現してないので何とかしたい。 今話題の山田和樹君の師匠は小林研一郎先生と松尾葉子先生でつまり僕の兄弟弟子。(昨日まで会ったことはなかった)素晴らしい才能だった!今彼は33歳で、ちょうど僕が日本フィルの定期を指揮して日本デヴューしたときの僕も33歳。あの時の僕は指揮台で棒を振り回して暴れてるだけだったのでえらい違い・・・・。 関西フィルにも是非とも振りに来て欲しい。 昨日のメインはマーラーの4番で、僕が生まれて初めて外国に行って生まれて初めてのコンクールで最後の3人に残った時に指揮したのがこのマーラーの4番。1990年のプラハの春の音楽祭の4年に1度のコンクールでオケは名門チェコフィルだった。全然上手く振れなくてホテルに戻って落ち込んだのが懐かしかった・・。 今週も来週も打ち合わせや学生さんとのリハーサルが詰まって結局休みが全然取れなくて残念。あっという間ににゴールデンウィークも終わりそうです。 それではまた・・。 藤岡 幸夫 |
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2011/04/19 昨日から独りでふらっと八ヶ岳に行ってリフレッシュしてきた。山々のシルエットが美しく頭の中でずっとシベリウスの5番が鳴ってた。 遠くに見える北アルプスに息を呑む…。 こちらは八ヶ岳。 ビーナスラインは道の向こうに山々の山頂が見えてまるで空中を走ってるよう…! 早朝ホテルの周りをゆっくりと散歩。鳥たちの声に緑の香りに霧の匂い……!! 朝飯を食べた後はマーラーのスコアを読んでた。 今朝は霧が深く池の周りもすごく幻想的で水の精たちが現れそう…。 ゆっくりチェックアウトした帰りに周り道をして富士山の麓の国道を走ってきたけど残念ながら雲がかかってた。 富士山ではまだ桜が綺麗でした。 藤岡 幸夫 |
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2011/04/17 No.2 今日はかみさんがいなかったのでふらっと浅草に昼飯がてら行ってきた。江戸前の濃ーい天丼が旨かった。 帰りに神保町で古本屋をぶらぶら。 夜は千葉大学のオーケストラと初リハーサル。チャイコフスキーの4番は難しい交響曲だが、最初としてはよく頑張ってる。後はどこまで進化するかだ。 思いがけず新緑の美しさにはっとさせられた。 浅草寺の前の仲見世は賑やか。 スカイツリーがよくみえる。 藤岡 幸夫 |
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2011/04/17 No.1 昨日の神奈川フィル、色彩豊かで生命力に溢れ、お客様のハートを鷲掴みするような素晴らしい演奏だった。 リハーサルから本番までの4日間本当に楽しかったです。 それからソプラノの坂井田真実子さんとテノールの樋口達哉さんは初共演だったけど素敵でした。是非ともまた共演したい。 皆さんありがとうございました。 また、今のこういう状況の中で足を運んでくださったお客様と、県立音楽堂の熱意あるスタッフの皆さんに心から感謝です。 義援金もたくさん集まったようです。ありがとうございました。 とにかく我々は音楽しかできないから、少しでもコンサートを通して被災者のかた達を応援できたらと願います。 コンサート後は聴きに来てくれてた可愛い3人の姪っこ達と中華。久しぶりで楽しかった。 さてさて去年の11月から超ハードスケジュールだったけどやっと今日から3週間近く本番無し! 明日からちょっと独りでふらっと旅行してきます。 どこにしよ…。 それではまた。 藤岡 幸夫 |
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2011/04/15 今日は県立音楽堂で神奈川フィルと3日目のリハーサル終わったところ。 オーケストラの皆さんの集中力もレスポンスも素晴らしく明日(16日)が楽しみです。 ロメオとジュリエットとその20世紀版のウェストサイドストーリーというプログラム、改めて両方とも凄い傑作と実感。こちらもなんだか若返る。 神奈川フィルは震災の影響で今までのコンサートがキャンセルになり、明日が1ヶ月ぶりのコンサートだそうで、県立音楽堂の素晴らしい響きと神奈川フィルの色彩豊かなサウンドを堪能してもらいたい。 今回はどちらも若い男女のストーリーで、僕が高校生の詰襟時代にセーラー服の彼女と県立音楽堂にコンサートを聴きに手をつないで坂道を歩いた青春時代を思い出した…。 明日は休憩で被災者の皆さんへの募金もします。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2011/04/12 16日(土曜)のプログラムのバーンスタインの「ウェストサイド・ストーリー」とプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」のスコアにどっぷり浸ってる。 ウェストサイドのシンフォニックダンスは音大時代に振ったきりで久しぶり。凄い作品だ。フーガなんてスコア読んでて鳥肌が立つ。 プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」は大好きでしょっちゅう取り上げてる。本当は組曲じゃなくて全曲版をいつかやりたい。ソ連となった祖国にわざわざ戻ってきたこの時のプロコフィエフは神がかってる。きっとすべての面で精神的に充実してのだと思う。 ところで僕がヨーロッパに留学する前、日本フィルの指揮研究員だったころまだ無名だったゲルギエフがキーシンの伴奏の前座でこのプロコフィエフを振った。その時のリハーサルは背筋が凍りつくようなリハで、日本フィルの音がどんどん研ぎ澄ませれ、野性味溢れるサウンドに豹変したのが耳に焼き付いてる。 共演する神奈川フィルは昨年のサンサーンスの3番が素晴らしい演奏だったので今回も楽しみ。県立音楽堂はヨーロッパ型の中ホールでここでルオーケストラを聴くのは、ダイレクトに音圧を楽しめるので凄い贅沢。リハーサルも明日から3日間あるのが嬉しい。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2011/04/09 木曜日は関西フィルとお馴染みのハイドン・シリーズで93番と101番だった。オークホール(関西フィルの練習場)は響きがデッドでオーケストラの音程とか音色を全く助けてくれないシビアなホール。いい音を出さないと大変なことになるからいい訓練になる。 ハイドンシリーズは今年で12年目。古楽器奏法を取り入れた自然なアンティークなサウンドを目指してきた。今年は夏に「天地創造」を取り上げるのも楽しみだ。 お客様も毎回顔なじみの方たちで親近感があって独自の温かい雰囲気が嬉しい。 皆さんありがとうございました。関西フィルの皆さんもお疲れさまでした。 ところで今日4月9日は僕とかみさんの22回目の結婚記念日。当初はどこか美味いもんでも食べに行くかと楽しみにしてたが、かみさんは先週からマンチェスターに帰ってしまった・・・。(マンチェスターには20年近く住んでたので友達もたくさんいて帰るという感覚がある)。 かみさんは昔はいわゆるアニバーサリーにはかなりウルサイほうだったが22年も経てばこんなもんだ。せっかく桜も満開だというのにちょっと寂しいが・・まぁいいや・・・。 さてさて来週16日(土曜)は神奈川フィルとウェストサイドストーリーとプロコフィエフのロメオとジュリエット(県立音楽堂)。 こちらは若々しい男女の恋の物語。すごく楽しみです。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫
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2011/04/06 3日の日曜日は奈良の なら100年会館 で関西フィルと奈良定期だった。たくさんのお客様ありがとうございました! 100年会館とは年間を通じてお付き合いしていて、これからもいろいろ挑戦していきたい。また奈良県の各小学校とも関西フィルの団員さん達がワークショップをしてるのでこれからが楽しみです。 100年会館の熱心なスタッフの皆さん、それから当日ソロを弾いた山本貴志さん、ありがとうございました。関西フィルの皆さんもお疲れさまでした。 昨日、今日と関西フィルと明日のハイドンシリーズのリハーサル。 先週のベートーヴェンの「英雄」とはまた違ってハイドンは楽しい。団員さんたちも弾きながら笑顔になるのがハイドン。 ハイドンって幸せだったんだなぁ……。 明日は交響曲93番と交響曲101番「時計」を取り上げるが、93番の2楽章ではファゴットが「ぶー!」とまるで×××みたいな音を出したり、とにかく楽しい。そしてその一方でハイドンの音楽はエレガントだ。 ハイドンシリーズは12年間続けてて我々ならではのスタイルも出来てきていると思う。 明日をお楽しみに! それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 ※4/3 関西フィル奈良定期のevent reportはこちら |
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2011/04/02 明日は関西フィルと奈良定期でメインはベートーヴェン交響曲第3番「英雄」だ。 2日間のリハーサルで英雄の持つ溢れんばかりの生命力に元気をもらった気がする。ときにそのエネルギーは真っ青な空に輝く太陽のようでスコアを読んでるだけでも身体が熱くなる。 その一方で精緻に描かれた立体的なオーケストレーションには息を呑む……。 前半はチャイコフスキーのピアノ協奏曲でソロは俊英の山本貴志君。彼とは久しぶりの共演でこちらもすごく楽しみ。 奈良100年会館は定期だけでなくクリスマスコンサートなど年間を通じてお付き合いしてる素敵なホール。 明日が楽しみです。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2011/04/01 昨日の3月31日は「みみにいい日」でオーケストラの日。国内の各オーケストラがいろいろなイヴェントを行ってる。 関西フィルは友の会の会員の皆さんを練習場のオークホールに招待して司会を交えながら楽しいコンサート。前半は弦楽三重奏、金管五重奏、弦楽四重奏のアンサンブル。 休憩は30分とってお客様と団員さん(出番のないかたたちも皆来てる)と一緒にお菓子を食べながら懇談会。 後半はプレイヤーのジャズビッグバンドでなんと!ほとんどのプレイヤーが趣味の楽器で参加。ヴィオラとヴァイオリンプレイヤーがトロンボーン吹いてたり、サキソフォーンを吹いてたのはクラリネットとファゴット奏者、事務局のスタッフもピアノとトランペットで参加。すごく楽しかった! さてさて今日から関西フィルと日曜の奈良定期のリハーサルです。 関西フィルはコンサートで大地震の支援募金を毎回行なっています。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう。 藤岡 幸夫 金管五重奏ではいきなり客席の後ろからトランペット首席の白水くんが登場。 昨日の目玉のビッグバンド。普段見慣れた団員さんたちが違う楽器ですごく楽しかった。 |
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