2009年2月分
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2009/02/28 今日は約1年ぶりに古巣の日本フィルとリハーサル。 指揮研究員、指揮者時代(1987〜2002)を通して僕を生んで育ててくれたオーケストラで、団員さんたちの顔を見ると初心に返っていろいろなことを思い出す。 明日が楽しみです。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2009/02/26 先週の土曜日はシンフォニーホールで 関西フィル と 「大阪友の会」主催のコンサート。関西フィルと何度も演奏してるけどシンフォニーホールでは初めてという曲もあって 関西フィル の演奏も新鮮だった。 お客様も大阪らしく明るくて暖かい雰囲気の素敵なコンサートでした。 このコンサートで新しく 関西フィルファン が生まれたと手応え。 ありがとうございました! 昨日は読売日本交響楽団と僕の大好きなシベリウスの5番。とにかくリハーサルからオーケストラの集中力が抜群で僕のやりたいことに心良く真摯に応えてくださり昨日の演奏も素晴らしかった! 幸せでした。ありがとうございました! それからソリストの村治奏一君も前回共演したときよりさらにスケールアップして響きに品格があって美しかった!これからが楽しみ。 日本テレビのスタッフの方たちにも感謝です。 皆さんありがとうございました! 本当はコンサート前に 「シベリウス交響曲第5番の話 その3」 を書くつもりだったけど風邪ひいたりして時間がなくて書けなかった。また時間あるときに書きます。 さてさて今週末(3/1)は古巣の日本フィルとコンサート。 今回のプログラムにチャイコフスキーの 「ロメオとジュリエット」 が入ってる。昔は良く取り上げたけど今回は久しぶりでスコアを読んでてすごく新鮮で面白い。どうなるか楽しみだ。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 ※2/21 「大阪友の会」主催コンサート event reportはこちら |
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2009/02/20
昨日は恒例の関西フィル練習場でのコミュニティコンサートのハイドンシリーズ。毎回あっというまに完売して本当にありがたい。 前半はお馴染みのコンサートマスターのゴギさんの独奏と指揮による弦楽合奏をゆっくり楽しませてもらって、後半はハイドンの交響曲102番を指揮した。 ハイドンを 関西フィル と取り組みはじめて10年め。いつもはほとんどノンヴィブラートのスタイルを基本にしてたけど、今回は曲の性格上各プレイヤーの判断に任せてみた。 するとちゃんとノンヴィブラートとゆるやかなヴィブラートを各プレイヤーがうまく使い分けてくれて、アンティークな温かいハイドンサウンドが出てたと思う。 関西フィル とのハイドンの話はそのうちゆっくりしたいと思ってる。 明日はシンフォニーホールで 「大阪友の会」 主催のコンサート。 関西フィル とこの10年数えきれないほど演奏してきた曲ばかりのオーケストラ名曲集。 関西フィル の良さはオーケストラ小品でもまるで交響曲のように血の通った演奏をすることだ。関西フィル&藤岡ならではの一体感あるサウンドをお楽しみに! 特にクラシック初心者の方には絶対楽しんでいただけます。 それでは皆さんまた明日! 藤岡 幸夫 ※2/19 コミュニティーコンサート event reportはこちら |
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2009/02/19 昨日は 関西フィル の首席トランペットの白水君のリサイタルに行って来た。 実は彼は先週からリサイタルに備えて関西フィルはお休みのはずだったのだけど急遽ピンチヒッターで 関西フィル を休めなくなるという超ハードスケジュール (リサイタルの直前も僕のリハーサルで吹いてた)の中で体調を崩しながらも素晴らしいリサイタルだった。お客さんもいっぱいでした。 アンコールでは関西フィル首席トロンボーンの石川さんが客席から登場してバストランペットを吹いて白水君とデュエット。 関西フィル の大きな魅力の一つがチームワークだ。 2人ともセクシーだった。これからの将来も楽しみだ。 久しぶりに客席で音楽を楽しみました。 今日はこれから関西フィルとハイドンシリーズで交響曲102番を振る。今日の話はまた明日! それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2009/02/17 皆さんこんにちは。一昨日の日曜日は 関西フィル と兵庫県太子町でコンサート。 前半で共演した江原さんが美声を披露。楽しかった。とにかく人柄が魅力的で包み込まれるようでした(テレビのイメージより全然若い方でした)。 そしてこの太子町のあすかホールの美しさと音響のすばらしさにびっくり!チケットも早くから完売しててお客さんも明るい! 関西フィルも後半の 「新世界」 では生命力溢れてた。 皆さんありがとうございました! 今週は19日(木)が 関西フィル とお馴染みのハイドンシリーズで今回は交響曲102番。ハイドンの新鮮なアイディア満載で勉強してて楽しい。 21日(土)は 関西フィル とシンフォニーホールで大阪友の会主催のオーケストラ管弦楽名曲集。クラシック初心者には絶対お薦めの楽しいコンサートです! それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! PS 最近夜寝るときにスキンズという水着みたいなピッタリしたシャツを着てる。 着たとたん身体の血流が良くなってぽーっと身体が温かくなって身体が軽くなる。スポーツ選手がよく試合中に着てるらしい。 おかげで朝起きるとカラダが軽い。 ショップの人に指揮してるとき着るといいですよと薦められたけど、感覚が変わりそうで怖くて着てない。それに一度くらいどうなるかやってみてもいいが、 このシャツでラクして指揮するようじゃね・・・・・・。 PS2 明日は関西フィルの首席トランペットの白水君のリサイタルだ。客席で聴く の楽しみ。 藤岡 幸夫 ※2/15 太子町公演 event reportはこちら |
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2009/02/15 一昨日はシンフォニーホールで毎年恒例の東大谷高校の卒業記念コンサート。生徒さんたちが明るくてこっちが逆に癒された。今回のメインは 「ボレロ」。 少しでも多くの生徒さんたちがクラシックに興味をもってくれたらと思う。 昨日のバレンタインデーはリハーサル終わってジム行って部屋で独りで一杯やってそろそろ寝ようかというときに突然親友の飯森範親から電話で呼び出された。 同じホテルにいたのでホテルのバーで飲んだ。 バレンタインにノリチカとなんてなぁ・・・と思いながらも楽しかった。最近趣味で日本画を描き始めたと聞いてびっくり・・・! 相変わらず多才だ。 今日はこれから兵庫県太子町で 関西フィル とコンサート。前半はテレビでお馴染みの江原さんがアリアを歌う。後半は 「新世界」。 それではまた! 藤岡 幸夫 |
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2009/02/11 「渡邉暁雄先生の奥様、信子夫人」 の思い出 僕の恩師の日本を代表する名指揮者だった故渡邉暁雄先生の奥様の信子夫人が昨日の明け方天国に逝かれた。享年84歳でいらした。 信子夫人は現在の東京芸大の油絵学科の最初の女子学生で画家でもいらした。 僕は暁雄先生が亡くなるまでの最後の5年間内弟子としてすごく可愛いがって頂いたので当然信子夫人にもとてもお世話になった。暁雄先生と信子夫人はとにかく仲が良くて、よく僕が運転手をして3人で車で移動するときなど車の中でいつも笑いが絶えなかった。 残念なことに暁雄先生は僕がデビューする前に天国に逝かれてしまったが、その代わり僕が東京でコンサートを指揮するときは信子夫人が先生の代わりによく聴きに来てくださった。 まだデビューしたてのころコンサートの後に信子夫人が楽屋に来てくださって 「周りの人達はエネルギッシュとか情熱的とか力が入り過ぎとかいうけど」 「私はサッチーノのピアノ (弱音部) が綺麗で好きだなぁ」 と言ってくださったのがすごく嬉しくて今でも最高の誉め言葉だと思ってる。 信子夫人の姿で一番目に焼き付いているのが暁雄先生が亡くなられたとき、信子夫人が棺の中の先生にお別れをしている姿だ。 信子夫人はとても優しい顔をしながら暁雄先生の顔をなでていつまでも棺から離れようとしなかった ・・・・・ その光景はあまりにも悲しく美しかった ・・・ 今頃信子夫人は天国でやっと暁雄先生と再会できてきっと喜んでいらっしゃると思う ・・・ 心からご冥福をお祈りいたします。 藤岡 幸夫
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2009/02/10 「Sachioの独り言」 煙草をやめると太るとよく言われる。 煙草をやめてからのこの数日間よく思い返してみると食べる量が明らかに増えている・・・・・・ 加えて・・・・・・僕はお菓子を食べない。だからコンビニで自分でお菓子を買ったことなんかないのに、 昨日はなんだか口寂しくて思わず僕にふさわしいと思われるやつを買ってしまった・・・ 朝の一服の代わりに・・・ 「手塩にかけた心にしみる梅ぇ味 男梅キャンデー」 をなめる俺・・・・・・ ジムに行っても絶対体重計にのりたくない・・・ ところで年末に診てもらった針の先生に、とにかく食べ過ぎは身体に悪い。人間は1日2食で充分と諭されて先週の今頃まで昼はバナナで済ませて体調も良かったのに・・・・・・ 今悪魔が僕にこう囁いてる・・・・・・ 「さちお!食べ過ぎは良くないぞ・・・・・・!健康のために煙草吸っちゃいなよ・・・!」 今僕はまるでファウストの心境だ・・・ PS 2月になると毎年ファンの方達からたくさんチョコレートをいただく。気持ちはとても嬉しいのだけど僕はお菓子は食べないので、 本当にファンの方に申し訳ないのだけどチョコレートはホテルやいつも周りでお世話になってる方達に食べてもらう。 こんな言い方すると大変失礼なのですが、僕は今このような状態なんで今年はどうかチョコレートは持って来ないでくださいね。皆さんの笑顔で僕は充分幸せです! 藤岡 幸夫 |
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2009/02/09 「オーケストラの配置」 の話 最近質問を受けたのでオーケストラの配置の話をなるべく簡単にしましょう。 ただし僕は学者ではないので歴史的なことは僕の知る範囲の話しをします。 昔はオーケストラの配置は向かって左から 第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ そして右側外が第2ヴァイオリン、ダブルベースは正面で管楽器の後ろに横1列とういう配置でこのスタイルは20世紀半ばくらいまで続いた。 (第1ヴァイオリン と 第2ヴァイオリンが向かいあってることから対向配置と呼ばれる) 。 しかし時代が経つにつれてオーケストラの規模も大きくなり不都合がでてきた。 一番の問題は管楽器がやま台にのって高い位置で演奏するようになって (マーラーがホルンプレイヤーに台を使ったのが始まり) 、コントラバスの居場所がなくなりチェロの後ろの左後方に並ぶようになったことだ。 この結果オーケストラ左半分の (第1ヴァイオリン、チェロ、コントラバス) の音量が右半分 (ヴィオラ、第2ヴァイオリン) より圧倒的に大きくなってしまい、さらに低音部と高音部が分離せずに混ざりあって左側で鳴るという音響上の問題がでてきた。 そこで1940年代くらいに生まれた (ストコフスキーの発案と言われる) 配置が左側から 第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、チェロの後ろにダブルベースというスタイル。 僕の個人的な意見を言うとこれが一番自然にバランスよく響く。 多くの作曲家はピアノを弾いて作曲するが、左手の低音部から右手の高音部までの広がりのある響きをそのまま再現するのにはこの配置がいい。 またこの配置が一番アンサンブルしやすくプレイヤーも安心して音をだせるからオーケストラがよく鳴りやすい。 (例えばもし対向配置で第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが同じ細かい動きをして合わせなきゃいけないとき、向きあって離れてるとかなり気を使って弾かなきゃならないが隣同士なら安心して音を出せる) 。 このチェロを外に出す配置を基本的なスタイルとするオーケストラは今でも多い。 これに続いて1980年代くらいから流行りだしたのが左から 第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、右側外がヴィオラというスタイル(僕の知る限り一番古くはミュンシュ/ボストン響がこのスタイルを取り入れていた)。 正直言って、誰がどういう理由でこの配置を始めたのか僕は知らないがある日テレビに映るカラヤン指揮ベルリンフィルを見たらこのスタイルになってた。 この配置の利点は埋もれやすいヴィオラを外に出すことでヴィオラパートが分離して存在感がでる。またチェロも正面を向くからチェロの音も客席にまっすぐ飛ぶ。それにチェロより人数の多いヴィオラが外に出るから見栄えがいい。 最近は古楽器のスタイル演奏が流行ってる影響で対向配置にする指揮者が増えてる。 ヴァイオリンが左右から聴こえるステレオ効果を再現するのが大きな理由のひとつだが、作曲家がステレオ効果を狙って書いた箇所って曲にもよるが時間的にわずかだ。 また本当の対向配置にするなら、当時のように管楽器の台を無くし管楽器の後ろにベースを横ー列に並べ、当時と同様に逆方向に音が飛んでしまう第2ヴァイオリンの人数を第1ヴァイオリンと同数にする。以前ドホナーニとクリーヴランド管が実践していた。 実は僕もデビューしたての頃首席指揮者をしていたマンチェスターの室内オケで2年間対向配置を試したけどやめた。コントラバスを管楽器の後ろ横1列にして効果的響くホール (ウィーンやオランダの様に) に出会わない限り問題が多い。 今一番新しい配置はおそらく左から 第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、右側外が第2ヴァイオリン、チェロの後ろにコントラバスという対向配置で北欧のオーケストラにこのスタイルが多い。先日アンサンブル金沢を振ったときもこの配置だった。 この配置は高音と低音の分離はするが和音の鳴り方に違和感が残る。 以前ノルウェー放送響で ハイドン や メンデルスゾーン の交響曲を指揮したがなんでもない和音が (音程はいいのに) 溶け合わなかった。 ちなみに 関西フィル は僕が初めて客演したころからヴィオラを外にだす配置だったけど最近チェロを外に出す配置にした。 理由は今年の1月にショパンのピアノ協奏曲を3回連続で指揮したときに和音の響きのバランスが気になってしょうがなかった。ショパンの協奏曲のオーケストラパートは和音が繊細で美しいのだけど 第2ヴァイオリン と ヴィオラ が離れ過ぎてるのだ。 ヴィオラが中に入ることで和音が自然なバランスで溶け合う。 また先日指揮したシベリウスの交響曲もそうだがロマン派以降の楽曲ではヴィオラと第2ヴァイオリンだけが同じ動きをする箇所やヴィオラとチェロだけが同じ動きをするところが多くヴィオラが中に入ることで一体感のある演奏がしやすくなる。 関西フィル とはしばらくはこのチェロを外に出す配置でやっていこうと思ってる。 ただこうやって長々と配置の話しをしたが、基本的に僕は今までオーケストラに配置の要求したことは無い。普段対向配置にしてるオーケストラでもそのままで指揮するし、他の配置でも同じ。普段そのオーケストラが慣れてるやり方で演奏するのが一番効率的だと思ってるし、僕はもっと他のことを大切にしたいと思ってる。 また今回は弦楽器のことばかり話ししたけど管楽器や打楽器の位置もオーケストラによって様々だ。特に違うのがホルンの位置。右側奥だったり左側奥だったり正面横1列だったり ・・・・・ また90年代初めまで東欧のほとんどのオーケストラの管楽器の配置はなんと! 左側半分が金管で右側半分が木管だった。 初めてルーマニアのオーケストラに客演したときさすがにたまげた。 とにかくオーケストラの配置っていろいろなのでもうこれでこの話しはおしまいにします。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2009/02/08 先日の関西フィルとの定期、補助席まで出てたくさんのお客様ありがとうございました。 シベリウスは 関西フィル&藤岡 ならではのこの曲の魂が伝わる(シベリウス自身は感情を表現したと言っている)演奏だったと思う。さらに突っ込んだリハーサルをしてまた7月1日に東京 (サントリーホール)で振れるのがすごく嬉しい。 僕のやりたいことにいつも真摯に応えてくれる 関西フィル とそして素晴らしいソロを披露してくれた児玉桃さんに心から感謝です。ありがとうございました! それにしてもシベリウスの1番を振ってるといつも普段平和ボケしている自分に気がつく。 時代が違うと言われればそれまでなんだけれど・・・・・・ 土曜、日曜は宇部でリハーサル。シベリウスにどっぷりだったので全く違う音楽のブラームスの3番が新鮮で楽しかった・・・。あと宇部で食べた魚と白いご飯が美味しかったー。 (宇部のオーケストラの話は来月します)。 明日から3日間東京で仕事部屋にこもって木曜に大阪に帰ります。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! PS 禁煙はじめました・・・・・・。 藤岡 幸夫 ※2/5 関西フィル定期演奏会 event reportはこちら |
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2009/02/04 シベリウス 「交響曲第1番」 の話
シベリウスの交響曲第1番は僕の大好きな交響曲でデビュー当初から随分取り上げてきた。 愛国心の強いシベリウス、34歳の時の情熱的な交響曲だ。 作曲当時フィンランドはロシアの支配下でフィンランド人達の独立願望が高まっていた。 すでにシベリウスはフィンランド人に大きな影響を与えていた叙情詩 「カレワラ物語」 を題材に素晴らしい作品たちを生みだしていたが、この交響曲もその延長上にある。 また当時のシベリウスは酒に溺れ、経済破綻までする浪費癖があったが、この作品を書き始めたときは酒も煙草もやめたという (数ヶ月後にはまた酒を飲みはじめ、酒に酔って愛国心のあまり暴動まで起こして牢屋に入れられたのだが・・・それも当時のシベリウスの魅力だと思う)。 彼が影響を受けたと言われるチャイコフスキーの5番と同じホ短調(以前も書いたけど僕の大好きな調性)で5番と同じように冒頭クラリネットがテーマを奏で同じテーマを4楽章でオーケストラが演奏する。 しかしシベリウスの方が遥かにコントラストが強烈だ。1楽章冒頭ではクラリネットたった一本で息の長い旋律が奏され(斬新なアイディア!)、4楽章の冒頭では短調の響きがさらに強調されてオーケストラが強烈に歌い上げる。 1楽章冒頭のクラリネットのソロのあと突然セカンドヴァイオリンが4小節間八分音符の刻みを奏するがそれは吹雪で細かい雪が一面に舞っている情景だ。 その吹雪の中から僕の大好きな主題が姿を現す。 外は寒くても心は熱い・・・そんなメロディだ。 音楽は民族色が強く、ときにまるで カレワラ の物語のように湖や森の中をさ迷いながら情熱的に発展して、調性が不安定になった頂点で再現部になるがここは指揮してて必ず鳥肌が立つ。 世の中の交響曲の中で僕の一番好きな再現部・・・! 2楽章はなんとEsdur!(変ホ長調)品格ある美しい響きにはっとさせられる。 冒頭ヴァイオリンとチェロが優しくて悲しい美しい主題を奏するが、僕はいつもカレワラの中のアイノの物語を思い出す。 美しいアイノは親に強要された結婚を苦に海に沈み白い魚の妹になったという悲しい物語 ・・・・・・ この交響曲を書く数年前にシベリウスが恋に落ちて結婚した妻の名前もアイノという ・・・・・・。 思わずシベリウスのこの物語への想いを勝手に想像してしまうのだ。 ここでも音楽はまるでカレワラの物語のように発展する。ヴァイノラの荒野に吹き荒れる風や湖の水面で踊る水の精たち・・・・・・ シベリウスのフィンランドの自然への愛に溢れる。 3楽章は海賊船(それともレンミンカネンたちを乗せて戦いを挑みにポポヨラに向かう船か?)が青い海の上を滑るように走る・・・ 海面がキラキラしているようだ・・・ 生命力に溢れるリズム! 専門的な話になるが後半でシベリウス特有のトロンボーンの和音の使い方(不安定に響く)が効果的に姿を現してる。 4楽章は1楽章冒頭のクラリネットの主題をオーケストラが強烈に歌い上げて始まる。 音楽は民俗的で野性的だ。そしてメインのテーマはスケールが大きくフィンランドへの熱い想いを現すかのような息の長い美しい旋律・・・!このオルゲルプンクト(低音部の同じ音の持続音)に支えられた息の長い旋律はシベリウスの独自の世界! またこの楽章では管楽器による強烈な不協和音が効果的に使われてる。 この交響曲は チャイコフスキー や ボロディン の影響が強いと軽視する意見があるが僕は新しいアイディアに力強い生命力!そして美しい旋律に溢れた素晴らしい傑作だと思ってる。 僕が初めてこの曲を振ったのはデビューまもない頃でイギリスのハレ管弦楽団の定期だった。 ハレ管弦楽団はシベリウス自身も何度も指揮台に立ってたしその後も名指揮者バルビローリがシベリウスの名録音を残したオーケストラで(イギリスはフィンランドより先にシベリウスを評価した国と言われてる)当時は周りから 「ハレ相手にシベリウスを選ぶなんて何考えてるんだ!」 と呆れられたけど、そのときはコンサートも3回連続で団員さんたちがたくさんの事を教えてくれてすごく勉強になった。 でも今考えると怖いもん知らずだったんだなぁ・・・・・・ 関西フィル とこの1番を取り上げるのは3回目。今まで以上に突っ込んだ演奏を目指します。 5日の定期をお楽しみに! それからここだけの話、今年の7月1日の関西フィルとの東京公演(サントリーホール)でも この シベリウスの1番 を取り上げます。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2009/02/01 今日は毎年恒例の小野でのコンサート。 今年も満席。たくさんのお客様ありがとうございました! 毎年共演するこのコンサートのために集まった吹奏楽団、合唱団、児童合唱団は規模も大きくなりレヴェルもアップした。ついでにコンサート後の懇親会も進化して 関西フィル としっかりとした絆で結ばれてるのが実感できてすごく嬉しい。 それに毎年子供たちの歌声や、吹奏楽、合唱団のみんなの笑顔にめっちゃ癒される。 編曲、指導の稲村先生をはじめスタッフの皆さん本当にありがとうございました! さて明日からは 関西フィル と定期(2/5)のリハーサル。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 ※2/1 小野市公演 event reportはこちら |
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