関西フィルハーモニー管弦楽団第178回定期演奏会」

2005年10月21日 ザ・シンフォニーホール(大阪市)
指揮/藤岡幸夫 (楽団正指揮者)

モーツァルト/ピアノ協奏曲第6番
  ピアノ独奏/ジャスミンカ・スタンチュール  (コンサートマスター/ギオルギ・バブアゼ)
モーツァルト/協奏交響曲 K.364  (コンサートマスター/ギオルギ・バブアゼ)
  ヴァイオリン独奏/ヴェルナー・ヒンク ヴィオラ独奏/ハンス・ペーター・オクセンホファー
ブラームス/交響曲第1番
  コンサートマスター/ヴェルナー・ヒンク
  第2ヴァイオリン首席/ヴィルフリード・和樹・ヘーデンボルグ
  ヴィオラ首席/ハンス・ペーター・オクセンホファー
  チェロ首席/フリッツ・ドレシャル
  コントラバス首席/ミヒャエル・ブラデラー


来年の定期演奏会の案内(すごい内容)も会場で配布されましたが(うち藤岡さんは2回、飯守泰次郎さんは3回)、それはとりあえず措くとして関西フィルの定期演奏会は今年の後半はドイツ・オーストリアものが集中して取り上げられています。今回のテーマは「ウィーンフィルの名手とウィーンの叙情を奏でる」です。今回の注目は二つあります。まずウィーンフィルのメンバーがソリストとしてだけでなくオーケストラの中に入って演奏してくれること。既にクラリネットのカール・ライスターさんが入った2回の演奏会(すばらしかった!)や他にも名匠の弾き振りを経験している楽団とはいえ今回は豪華です。その魅力ゆえにか会場はほぼ満席でした。それから私が思うに藤岡さんが関西フィル定期でドイツ・オーストリアものを固めて指揮することでしょう。多分初めてではないでしょうか。かつては『関西フィルは常任指揮者の飯守泰次郎がドイツ・オーストリアの曲を指揮し、正指揮者の藤岡幸夫がその他の国の曲を指揮している。』云々という記事が新聞の関西文化欄に載ったこともありましたので、かなり状況が変わってきています。

・ モーツァルト/ピアノ協奏曲第6番
演奏機会は頻繁とはいえない曲になるでしょうか。生で聴くのは初めてです。20歳ごろのモーツァルトが書いたモーツァルトらしい優雅な曲ですが、進行するにつれて藤岡さんお得意の情熱的な演奏になってきました。スタンチュールさんのピアノも合わせて熱くなっていきました。藤岡さんは棒を持たずに指先で指揮をしていました。曲が終わったところで、藤岡さんがポンと手を叩いた(?)のが印象的。

・モーツァルト/協奏交響曲 K.364
有名な曲ですが私が生で聴くのは初めてです。弾いていないときもソリストの二人、特にオクセンホファーさんは笑顔の表情を少しづつ変えながらオーケストラを聴いている様子。この二人のソロ、なかんずくカデンツァは別世界ものでした。ただいかにも優雅にまとめたようには思えなくて、鋭い響きあり、ヒンクさんはときたま危険球のような感覚さえありました。最初はちょっと呆気にとられましたがおもしろいです。この曲も藤岡さんは棒を持たずに指揮をしていました。

・ブラームス/交響曲第1番
たいへんに有名な曲です。4つあるブラームスの交響曲の中で一番演奏されているかも。といっても演奏する方にすれば生やさしい曲ではないようです。今度は指揮棒を持った藤岡さんが唸りつつ腕を振り下ろします。出てくる音は私の思うウィーンでも、もちろん関西でもなく、どこか知らない方向に化学反応を起こしたような感じです。藤岡さんは曲の表情に合わせて表情がくるくる変わります。第1楽章は厳しい表情、第3楽章は首席奏者と顔を合わせながら微笑んでなど…。弦五部各パートが強くまとまりうねり高密度の音色が響きます。筆舌に尽くしがたくて陳腐な言い方になりますが、しっかりした土台の上に音の大伽藍が築かれ、実時間はともかく感覚的にはあっという間に終わってしまいました。

以上です。

          2005年10月21日 Fu(ふ)




いつも詳しいレポート本当にありがとうございます。
この時のブラームスは僕にとって、思い出深い演奏会
となりました。
これからは僕もドイツ物を関西フィルと取り上げていく
つもりです。また、コンサートでお待ちしています。





藤岡幸夫

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