「関西フィルみどりの日コンサート」

2003年4月29日 ザ・シンフォニーホール
指揮/藤岡幸夫 チェロ/古川展生
管弦楽/関西フィルハーモニー管弦楽団 プレトーク司会/西濱秀樹

エルガー/序奏とアレグロ チェロ協奏曲
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番

エルガー/夕べの歌

 関西フィル恒例のみどりの日コンサート、今日は大阪フィルと京都市交響楽団もコ
ンサートがあるのでどれにするか迷われた方もおられたかと思いますが、ザ・シンフ
ォニーホールは来場者が多く混み合っていたためプレトークを遅らせて開始。そのた
め短縮版?になりました。「(場内笑)」の量もいつもより控えめ。
 藤岡さん曰く若い頃はエルガーは好きではなかったそうですが、いまや日本人でチ
ェロ協奏曲をこれだけ多く指揮した人は少ないのでは?ということ。地元のアマオケ
を相手に留学して最初に振った曲もチェロ協奏曲だったそうです。イギリスの広い空
とどんよりとした雲の話が出てきて、陸に上がっても雲を読むのはサーファーだから
かなと思った次第。エルガーは愛妻家としても知られていますが、そこから話はいつ
の間にかチェロ協奏曲の名演で知られるジャクリーヌ・デュ・プレの話に。次にショ
スタコーヴィッチの話。

・エルガー/序奏とアレグロ
 指揮棒なし、小さい楽譜で指揮。弦楽四重奏+弦楽合奏といった曲で、コントラバ
ス以外は首席の椅子が一人分だけ置かれて、隣の椅子がない状態。参考に聴いたCDよ
りもキーが高い気がしましたが、音が大きくなると(フォルテ)ちょうどいいくらいに
なる感じです。首席奏者(第2ヴァイオリンとヴィオラは客演)の演奏が素晴らしかっ
たです。ただ私の隣の席のきれーなおねーさんは熟睡してました(苦笑)。

・エルガー/チェロ協奏曲
 この曲も序奏とアレグロ同様どんよりとした曲で、哀愁を誘うような感じです。第
1楽章はドキュメンタリー紀行風か。「威風堂々」全5曲や「愛の挨拶」を想像すると
はずすかも。エルガーは幸せな生涯を送った、とプレトークで藤岡さんが言われた割
に何故この様な曲が?というところですが、ベートーヴェンも遺書を書いたときには
逆に明るく美しい曲を書いているのでそういうものかも知れません。藤岡さんが惚れ
込んでいるという古川さんの演奏ですが文字通り協奏で、オーケストラに溶けていこ
うという志向が強いように思いました。

・ショスタコーヴィチ/交響曲第5番
 メトロノーム云々の話がやはりプレトークに出ましたが、速度の揺れが非常にはっ
きり出た指揮でした。最初は遅くて止まりそうだし途中から急に速くなるし、第2楽
章はあっという間に終わった気がするしと変幻自在きらびやかな混沌。また各楽器を
溶け合わさずあぶりだしたような感じです。また藤岡さんの表情が怖いの何の。第3
楽章では最弱奏の楽器を吹き消す勢いで気合いの声が入るし、こらえて棒を振るとき
には左手がチェロを弾くときの左手になっています。第4楽章の最後は二の腕は下を
向いたまま動かず手の甲は5センチ動いたかどうか、拘束され、もだえ苦しむような
表情、あと3歩で指揮をしない指揮になりそうです。そこへティンパニが大炸裂して
終わり。あからさまに「これは革命賛歌ではない」と言っている演奏でしょう。私の
記憶では1999年7月のフェドセーエフ指揮チャイコフスキー記念モスクワ放送交響楽
団の演奏会が背筋も凍るような怖い表情で(1991年のソヴィエトクーデター事件の時
に放送局内にいたオケは違う!)おそろしい名演でした(フェドセーエフ3回目の録音に
近い感じ)。今回はそういう感じではありませんでしたが、背筋も凍る演奏が出来て
しまえる体験をした国でない証拠なのかもしれません。それならば幸せといえましょ
う。また関西フィルの音は基本的には優しい音だと思いますし。繊細志向でとりわけ
コンサートマスターのバブアゼさんの力量はものすごかったと思いました。すごいぞ
関フィル。

 いつも通り藤岡さんの挨拶があって、ザ・シンフォニーホールでは初めてというエ
ルガーの「夕べの歌」を弦楽で演奏して終わり。藤岡さんは四方にお辞儀をしたあと
、恒例でバブアゼさんを引っぱって(^_^;)退場。楽屋口はチケットを買う客(楽屋口
がプレイガイド)を除いても結構な数でしかも華やかでした。



            2003年4月29日  Fu(ふ)





いつもありがとうございます。
エルガーのキー?は同じですよ。ただピッチは関西フィルは高めです。
特にCDがイギリスのオケなら彼等はかたくなに440を守ってますから。
雲の話しをするのは僕がサーファーだから?鋭い!







藤岡幸夫

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