4/29みどりの日のコンサートに参加して

 娘と一緒にコンサートに参加しました。

   <バイオリン協奏曲について>
 第一楽章出だしの部分は瀧村さんのバイオリンの音が少し、小さいようでした。 オーケストラの音量と少しアンバランス気味かな(藤岡さんの指揮する音量は適切だったと思います。)、と感じましたが、第一楽章も半ばを過ぎるあたりから、瀧村さんの演奏が本格的に良くなってきたように思います。
 清純な響きを楽しんでいましたが。第二楽章を過ぎたあたりから、娘が「トイレに行きたい」と言い出したので、II,III楽章の間合いで退席してしまいました。従ってIII、IV楽章については、残念ながら聞けていません。藤岡さんご迷惑かけて申し訳ありませんでした。

   <幻想交響曲について>
 この曲はメジャーな曲ですが、以前、ミンシュとデュトワの録音をCDで聞いたことがあったものの、恥ずかしながらコンサートで聴くのは初めてでした。
 終盤のシーンが特に記憶に残っています。猜疑心が充ち満ちてきて恋人を殺ってしまう瞬間、刑場の合図を告げる鐘の音、「殺せ!殺せ!」と叫ぶ群衆の声…。
 パイプオルガン前の席に座ってたので、藤岡さんの指揮している表情が良く見えます。口を大きく開けている瞬間や、「そこだ」と言うように、奏者を指している場面など。
 藤岡さん本番だから、楽器の音以外は出しちゃいけないということで、声を殺して目と手振りで意思を伝えてるんじゃないのでしょうか。本当は声を出して指揮したいのでは?と思うのは私の勝手な推測でしょうか。リハーサルでは、声も出して練習されているんですか? 
 関西フィル150回記念定期演奏会で飯守さんのワーグナーを聞いたとき、低い「シュッ」という声が時々聞こえましたが、あれは飯守さん自身の発声でしたね? グレン・グールドはピアノを演奏する時、気持ちが昂ぶってくると唸るようなハミングをするので、CBSの録音技術者は、彼に録音中は「声を出さないように」と頼んでみたそうです。ところが、グールドは発声を禁止されると、演奏が冴えなくなってしまったので、エンジニアたちは仕方なくハミングしようが、しまいが彼の自由にさせたようです。だから彼のモーツァルトやバッハをCDで聞くと、かすかに唸っているのが聞き取れます。
 話が脇にそれてしまいました。「幻想交響曲」は前期ロマン派・フランスのベルリオーズの曲ですが、ラテン人のドロドロした情念を描いた曲で、サン・サースの交響曲U「オルガン付き」と同様、興奮しましたね。フランスものはエキサイトして心臓に悪い。
 若い方、未婚の方は、自分自身の恋人との出会い、別れ、または蜜月状態の感情を重ねあわせてコンサートをより楽しめたと思います。
 実は私、17年前の大学卒業時、仕事に就くために大阪に行くか、好きな女性のいる東京に留まるか迷ったあげく、就職のチャンスを棒に振って在京しました。ところが片思いの恋は実らず、失意の一年を過ごした事を思い出しました。 今思い出すと吹き出してしまいます。女房にはもう時効だということでそのことを話したら、腹を抱えて大笑いしていました。でもそのときはすごく真剣でした。人生を賭けてね。
 だから、「幻想交響曲」を聞いて「昔だったら、もっと気持ちが揺り動かされただろう。だけど今体は達者だけど恋に狂うほどもう若くない」という感慨に浸っていました。
「おのろけ」になってしまいましたね、ごめんなさい。
 だけど西洋人って恋愛に欠ける情熱はすごいものがありますね、ビゼーの「アルルの女」では、既婚者でありながら昔好きだった女性にお祭りで出会ったら、感情が再燃して悶え苦しみ、最後は投身自殺してしまう場面があり、「カルメン」では嫉妬のあまり恋敵を殺してしまう場面がある。狂ったような西洋の恋愛、そこまで真剣に相手を想うのは真面目さの表れですが、奥ゆかしい日本人にはちょっと理解を超えるものがあります。


            2002年5月17日 三木 務







いつもありがとうございます。
練習中はそりゃ声だしまくってますよ。
ミュンシュいいですよね―!僕のあこがれの指揮者です。



藤岡幸夫

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