晴れ男の藤岡さんにはめずらしく雨の神戸となりましたが、素晴らしいコンサー トでした。
 ヨーロッパでは松方ホールくらいの規模の音楽ホールが当たり前ですと藤岡さん が言われていましたが、確かにオケがとても身近かに感じられました。ホールの響き は、高い音に特徴があるように感じましたが、各楽器一つ一つの音がとても明瞭に聴 こえてきました。
 1曲目のロッシーニの序曲は、やや固い演奏という印象がありましたが、それは 私の間違いで、あとで藤岡さんが言っておられた「普段よく聴くのとは違うバージョ ンによる演奏」のためでした。
 吉田さんのバイオリンを初めて聴かせていただきましたが、ステージに近い席で したので、吉田さんの美しさもさることながら、説得力のある演奏でした。

 後半はまいどおなじみの藤岡さんと西濱さんのトークにはじまるミートザクラッ シックイン神戸特別版。
 マンザイよりおもしろい(?)お2人のトークですが、5月3日の貝塚を思い出 しました。
 (お2人の息はあうんの呼吸というようにぴったり。私だけでなく、貝塚コスモ スシアターに来られていた多くのファンの方がとても楽しみにしていることを強く感 じました。
 3日の話が長くなりますが、コンサート終了後、たまたま他のファンの方とお話 をする機会がありました。「あたたかくなんともいえずほのぼのとして素適なコン サートでした。」と感想を述べられましたが、私も全く同感です。)
 藤岡さんはアンコールの前のあいさつで、「関西フィルはトークなしのコンサー トももちろんあります。」と言われましたが、お2人のトークのないコンサートなん てファンにとっては考えられません。

 「火の鳥」の解説はとてもわかりやすく、あのような説明を待ち望んでいまし た。隠し味としてのピッコロ、大太鼓の有り無し、バイオリンの弱音器の有り無しの 違いを演奏で聴き比べたり、魔法がとけるところをハープの方がポロロロンと弾いて いただいたりして、オケの方はとてもたいへんだったと思いますが、このように音も 加えて説明していただけるととても助かります。
 専門家やよほどのクラシック通の方は別として、音楽の構造を分解して解説して もらえれば、その曲が身近かに感じられますし、とても聴きやすくなります。  今までもこのような音をまじえた説明を望んでいましたが、実際にはあまり聴く 機会がありませんでした。ぜひ!今後も続けていただきますようお願いします。  近代の曲が苦手な私は火の鳥さえまともに聴いたことがありませんが、そんな私 でさえ「あっ!ここはさっき聴き比べしたところや とか藤岡さんがこんなこと言う てたとこや」などと思いながら楽しく聴くことができました。
 それにしても藤岡さんの解説は演奏と同じで何かあとまで心に残ります。言葉と 音楽は思っているよりも近いのかもしれません。
 (みどりの日の幻想交響曲の解説で、「断頭台から落ちた首がゴロンゴロンとこ ろがる様を表わしたところ」と言われたくだりは、今でも音楽といっしょに鮮烈に 残っています。)
 「魔王カスチェイの踊り」の冒頭(全奏でドンとはいるところ)のアタックの速 さ、ダイナミックス、切れのよさはいつもながらすごいですね。藤岡さんの真骨頂の ひとつだといつも感心します。また、指揮者のイメージ通りに演奏する関西フィルも すごいオーケストラです。

 吉松さんの曲を聴くのは初めてですが、「人生の半分を吉松さんにかける」と言 われているだけあって、藤岡さんの思いが熱く伝わってくる素晴らしい演奏でした。 いつもの左手の独特の動きが強く印象に残りました。

 1番うれしかったのは、「白鳥の湖からの情景」でまるでテーマの鳥のように大 きく両手をひろげ、後ろに身をそらせて指揮をされていたことです。2月、3月の藤 岡さんの曲線を描く優美でしかもダイナミックな指揮姿が大好きで、しなやかに弾ん だ指先からはまるでオーラのようなものが放物線状に出ているように見えました。  (曲想が違うのでなんともいえませんが、幻想交響曲の時には直線的な振りの多 い指揮との印象が強くかったので不思議だったのです。)
 もちろん白鳥はとても美しく天空をめざして、心に余韻を残しつつ飛んでいきま した。(今回は私1人で行かせていただきましたが、カミさんと子どもにも聴かせた かったなあと思いました。)
 17日の城陽で再び聴くことができますのでとても楽しみです。

 終演後、アンケートを一生懸命書いておられる方を何人も見かけました。きっ と、藤岡さんからのメッセージを心に残して帰宅されたのではと思います。

                         2002年5月11日   奥村 鋭行





いつもありがとうございます。
解説喜んでもらえて嬉しいです。「火の鳥」の次は
何にしようか迷ってます。






藤岡幸夫

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