2014年4月分
過去の一覧へ
←つづき(過去) | つづき(先)→ |
2014/4/29 週末の土日は佐賀アルモニア管弦楽団とリハーサル。都響のヴァイオリン奏者として活躍された久原さんが定年で地元に戻られ佐賀だけでなく九州各地から優秀なアマチュアや音楽家達を集めてつくった、ハイレヴェルのオケ。これって凄い地方文化だと感激してます。メインはラフマニノフ2番で5月25日(日)の本番が楽しみ。 昨日は関西フィルコアと定期のリハーサル。昨年結成された関西フィルとは兄弟関係になるクォリティの高い合唱団で畑儀文先生の素晴らしい指導で更に磨きがかけられてる。とはいうもののドヴォルザークのレクイエムは超難曲で出来はまだまだ。皆さん期待しています! ところでレクイエムは間違いなくドヴォルザークの最高傑作。実は僕は初振りなのだけどその作品の素晴らしさに勉強しながら何度も鳥肌がたってる。 何で過去の有名指揮者達があまり指揮しなかったのか不思議でならない。合唱パートやソロのアンサンブルパートは確かに難しいけれど…数少ない知られざる本当の傑作のひとつ。5月17日(土)の定期とっても楽しみ!チケットは少なくなっているので是非ともお早めに。 さてさてゴールデンウィークは毎年出来るだけ仕事をいれずのんびり充電するのが楽しみ。 ドヴォルザークのレクイエムに加え、6月7日東京シティフィル定期で取り上げる大好きなヴォーンウィリアムズ交響曲5番(凄い作品。祈りの美しさよ!)や9月23日(祝)の津山国際総合音楽祭で関西フィルと取り上げるマーラー交響曲6番「悲劇的」等のスコアをゆっくり読むつもりです。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! PS たまに東京に戻って楽しみなのが我が家で食べる白いご飯。山形のつや姫は最高に美味しいです! 藤岡 幸夫 |
|
2014/4/26 毎年4月下旬からゴールデンウィークにかけてはなるべく仕事を入れず春の香りを楽しんでリフレッシュ。久しぶりの休みを満喫してます。 そうそう関西フィルの事務局スタッフの高橋信恵さんがなんと!いつのまにか別名の水原杏樹というペンネームで本を数冊出版していてびっくり! ↓ 「世界史オタク 上海・ハルビンを行く」 文芸社のリンク アマゾンのリンク 高橋さんは凄い宝塚オタクでもあり、いやはや素晴らしいです。僕も早速購入して拝読します! それではまた! 先日NHK他の料理番組で知られる料理家の鮫島正樹さんと食事。とっても楽しかったです。鮫島さんお薦めの気軽でカジュアルな新鮮魚介イタリアン レストラン「ボガマリ クチーナ マリナーラ 」 も絶対お薦めです!北参道駅から歩いて2分。 藤岡 幸夫 |
|
2014/4/20 昨日は日本フィルの横浜定期でたくさんのお客様ありがとうございました。 前半の大河ドラマ軍師官兵衛の音楽担当の人気作曲家菅野祐悟さんの新作の箏と尺八と管弦楽の協奏曲の初演はお客様も凄く盛り上がって大成功だった。 箏の遠藤千晶さんと尺八の藤原道三が素晴らしく日本フィルもテンション高くうまくシンクロできたと思う。何より作品が凄く素敵。 37歳の菅野裕悟さんは20代からテレビドラマなどの売れっ子作曲家で、いわゆる現代音楽の洗礼を受けていない新しいタイプの作曲家。 素晴らしい才能で再来年の関西フィルの定期で彼の交響曲1番を初演する。40歳までに交響曲を書くのが夢だったというので今からとっても楽しみです。 後半のショスタコーヴィッチ5番は日本フィルの凄みのあるサウンドがとっても魅力的だったけど、僕自身はいろいろ反省してます。 という訳で素敵なコンサート本当にありがとうございました。皆さんに心から感謝です! 左から菅野さん、藤原さん、遠藤さんにこの初演を実現させた米国在住の大先輩の峰岸さん、日フィルの平井専務理事。皆さんありがとうございました! 今日は昼から佐賀県に来て佐賀アルモニア管弦楽団とリハーサル。アマチュアだけど元プロオケの団員だった方や現役オケマンや音大生が沢山いてレヴェルは高い。本番までどこまで進化できるかとっても楽しみです! 藤岡 幸夫 |
|
2014/4/18
|
|
2014/4/18 ショスタコーヴィッチ交響曲第5番の話・・・その1 19日に日本フィルの横浜定期でショスタコーヴィッチの5番を取り上げる。 ショスタコーヴィッチの交響曲5番はデビュー当時は特に4楽章に疑問が多く随分惑わされた。プリントミスと思われる音がいくつかあったり、最後のテンポがよく問題になる。 スコアの音が正しいのかあるいはミスなのか?の疑問については当時英国にいた元レニングラードフィル(ショスタコーヴィッチの前で何度も演奏してるオケ)の団員さんが教えてくれて随分助かった。例えば4楽章の74小節目の1stとVla3拍めの音は正しくはB、109小節めの低音パートをHに直す演奏が多いがこれはスコア通りのB…などショスタコーヴィッチは異常に耳が良かった人なので何度もその演奏を聴いていたレニングラードフィルを信用していいと思う。 最後のテンポが混乱する一番の原因はメトロノームが4分音符188という指定に対して、初演者のムラヴィンスキーが約倍遅い4分音符94前後で演奏していることだ。ショスタコーヴィッチは初演に立ち会っていたのでムラヴィンスキーのテンポが正しくメトロノームの指示は倍間違っていることになるが、僕には余りにも遅く感じてしまう。そうかと言って印刷通りのテンポは異常に早い。 元々メトロノームの指示はあくまでも目安に過ぎないのだが、倍違うテンポとなるとどちらが本当なのかかなり混乱する。 ただこの最後で一番大切なのはテンポではない。 最後華々しく勝利的な音楽を演奏する金管と打楽器に指定されているダイナミックスはffで、伴奏しているように聴こえる木管と弦パートのラの8分音符の異様な連続のダイナミックスは実はfffなのだ!! つまり勝利的な音楽を8分音符で掻き消している。 これは当時のショスタコーヴィッチが命をかけた仕掛けだと僕は思ってる。 僕の考えでは最後勝利的な華々しい音楽が印象に残るようでは失敗で、8分音符の異様な掻き消している響きが聴き手の印象に残らなければならないと思うし、最後3小節で加わる大太鼓はfffで怒りの叫びだと思ってる。 金管がインテンポではなくルバートをかけて歌い上げて8分音符がそれにつければ8分音符は伴奏に聴こえてしまう。ここはインテンポで演奏され8分音符がうるさいくらいに異様に響かなくてはならないと思う。 デビュー当時ショルティのアシスタントをした時に、おそるおそるこの5番のフィナーレの質問をしたら、「私がウィーンフィルを指揮したCDが出るからそれを聴きなさい」と言われて後日それを聴いて飛び上がった。テンポはぼぼ印刷のメトロノーム188で凄いスピードで勝利的なことをちゃかしているようで違った意味でかなり異様だった。 (僕にはさすがにちょっと早すぎるように感じたがとっても興味深い)。 ところで5番をやると必ず6番もやりたくなる。5番の最後は僕には怒りの頂点で、ドラマの「続く」みたいな終わり方に感じる。 6番の悲しみに溢れる1楽章の深淵な美しさ…そして終楽章のヤケクソのような明るい乱舞は、「それでも音楽があるさ」と5番の怒りのフィナーレに対する応えのように感じる…。 19日の日本フィルとの横浜定期はショスタコーヴィッチ5番と前半の菅野祐悟さんの新作も本当に素晴らしくとっても楽しみです。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! PS 実は1993年にBBCフィルの定期でデビューする1年前にルーマニアのクルジナポカという街の大きな名門オーケストラの定期演奏会を指揮する機会を頂いた。(イタリアのマスタークラスに参加した時にオーケストラが気に入ってくれたのだ)。 この時僕が選んだのがショスタコーヴィッチ6番で、当時オーケストラが演奏したことがないというのでパート譜を英国から抱えていった。 真冬のクルジは雪国で街が真っ白。美しいコンサートホールのステージは吐く息が白い…最初のリハーサルで1楽章を通し終わった後の静寂…そして多くの団員さんの瞳から涙が溢れていたのが忘れられない…東西崩壊直後で1楽章の深い悲しみが団員さん達の心の琴線に触れたのだ…僕が初めて音楽の力を知った瞬間だったかもしれない…。 大切な思い出なのです。 藤岡 幸夫 |
|
2014/4/14 昨日は毎年恒例の関西フィル奈良定期。たくさんのお客様ありがとうございました。 前半の一柳慧先生のマリンバ協奏曲は初演に比べて種谷睦子さんも僕たちも色々わかってきてとっても面白かったし改めて素晴らしい作品だと感動。種谷さんは一音一音が美しくときに野性的でありながら品格高く凄いです。 後半のベートーヴェン7番はこれまで関西フィルとも何度も取り上げてきてるが、我々らしさを出せた反面僕自身に対して色々反省してます。ベートーヴェンは何度やっても難しい! 集中力高い演奏をしてくれた関西フィルに感謝です。なら100年会館は舞台のスタイルを変えて客席にぐっと近くなり、音響効果が凄く良くなって嬉しい。これからはこのスタイルでいきます。 なら100年会館とは15年近いお付き合いで、継続は力なり!熱心なスタッフの皆さんに心から感謝です! 皆さんありがとうございました! 種谷さんと。近いうちにまた再演したい! 今日は親友の飯森ノリチカと大阪で記者会見。 9月15日にシンフォニーホールで飯森&センチュリーと藤岡&関西フィルがモーツァルトとチャイコフスキーの交響曲で真剣真っ向勝負します。大坂秋の陣! ノリチカはリンツと5番、僕はハフナーと悲愴。 チケットは昼夜2公演でSが8000円。 ウェスティンホテルのミシュラン一つ星の高級中華「故宮」ディナー付きプレミアムチケットが(ノリチカと僕も参加)が20000円です。 ちなみに来年3月28日は大坂春の陣!ストラヴィンスキーとベートーヴェンで真剣勝負。 ノリチカがペトルーシュカと運命、僕が火の鳥と田園を振ります。お楽しみに! さてさて今週末19日(土)は日本フィル横浜定期で、大河ドラマ軍師官兵衛でお馴染みの人気作曲家菅野祐悟さんの新作にメインはショスタコーヴィッチ5番です! それではコンサートでお会いしましょう! ノリチカとは家族ぐるみの付き合いだけど真っ向勝負します。 関西フィルブログはこちら 藤岡 幸夫 ※4/13 奈良定期演奏会のevent reportはこちら |
|
2014/4/11 大阪に帰って今日から関西フィルと13日(日)の奈良定期のリハーサル。 前半は去年初演した一柳慧先生のマリンバ協奏曲。マリンバの種谷睦子さんのために作曲された素晴らしい作品。無駄が削ぎ落とされた音の響きが強烈にアドレナリンを引き出してきます。 マリンバ版チゴイネルワイゼンもあわせて種谷さんの超絶技巧と素晴らしい楽器の音色を堪能していただきます。 メインはのだめカンタービレで大ヒットしたベートーヴェン交響曲7番。これまで関西フィルとだけでも数えきれないくらい取り上げてきたけど、やる度にその難しさ、エネルギー、異常なテンションに驚かされます。狂気乱舞のベートーヴェン…! それからなら100年会館の舞台を客席に張り出すスタイルに変更したので、ステージが客席に近くなる音響効果も楽しみ。 また、13日は15時開演なので奈良観光も満喫できます。 先日紹介した、秋篠寺の伎芸天に見惚れて、興福寺の国宝堂で圧倒されて、東大寺の二月堂からロマン溢れる奈良の空を一望した後大仏様にご挨拶してからコンサートなんていかがでしょう? それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 種谷さんとリハーサル前に打ち合わせ。 こちらは19日の日本フィル横浜定期で初演する菅野祐悟さんの琴と尺八と管弦楽のための協奏曲のソリスト合わせ。向かって左が大河「軍師官兵衛」の音楽を担当してる人気作曲家の菅野さん、僕を挟んで琴の遠藤千晶さん、尺八の藤原道山さん。 和の響きと華麗なるオーケストラサウンドが見事に融合した素晴らしい作品。2人の素敵なソロも凄く楽しみです。 藤岡 幸夫 |
|
2014/4/9 今日は1つ歳上のかみさんと25年目の結婚記念日。これまで色々な事が明るみになっても一重にかみさんの忍耐のおかげで仲良くやってこれたと心から感謝しております。かみさんの挨拶は「フジオカの最初の妻でございます。まだ現役でございます。」夫婦円満の秘訣は思いやりと、とにかく男が謝る…かな それにしても月日がたつのが早いです。20過ぎで付き合いはじめ25歳で婚約して結婚したのが27歳。 今でも凄いと思うのは当時箸にも棒にもかからず指揮者になれる保証は全く無かったのに、二人とも指揮者になれると信じきって将来に不安が無かった。あの自信はどこから来てたのか…今考えるとちょっとぞっとするねとたまに二人で話する。 とにかくかみさんにはずっと現役でいてもらえるよう頑張りますわ…。 藤岡 幸夫 (2014年3月21日 大阪市中央公会堂近くにて)
|
|
2014/4/8 「最後の面会」の話 19日の日本フィル横浜定期でショスタコーヴィッチの交響曲5番を8年振りに取り上げる。 デビュー当時はよく指揮したけど、この曲の持つ深い悲しみと強烈なネガティブなエネルギーを受けとめるのが難しくなったのと、テンポ設定を見なおしたくてしばらくこの曲から距離を置いていた。久しぶりに勉強してとっても新鮮だし改めて素晴らしい傑作だと感動してる。 1990年、まだ留学前の僕は神奈川大学とショスタコーヴィッチ5番の練習の合間に、もうすぐ天国からお迎えがくるとわかっていた暁雄先生のお見舞いに行った。結局数週間後このショスタコーヴィッチ5番の演奏会の最中に先生は病院で天国へ逝かれた…。 久しぶりにショスタコーヴィッチの5番のスコアを読みながら恩師渡邉暁雄先生の最後の面会を想いだした… 藤岡 幸夫
|
|
2014/4/6 昨日は関西フィルと練習場のオークホールで友の会(定期会員)の皆様限定のコンサート&懇親会。 アットホームで楽しかった。友の会の皆様に心から感謝です。これからもよろしくお願いいたしします。ありがとうございました。 前半は僕の指揮でミニコンサート。後半はお客様と一緒に、なんと今月の定期曲目「イタリアのハロルド」を題材に短いワークショップ(なかなか面白かった)の後はお茶とお菓子で懇親会。 夜は東京に戻ってかみさんと夜桜見物。ワインと楽しみました。 サントリーホール裏の名所でライトアップでまだまだ楽しめた。 先日「音楽の友」の取材で仕事部屋を撮影。仕事部屋に他人を招いたのははじめて。4月18日発売で3ページの記事だそうです。スタッフの皆さんありがとうございました。 さてさて今週は13日(日)が関西フィルと奈良定期で一柳慧先生のマリンバ協奏曲(素晴らしい作品!絶対楽しんで頂けます!)の再演にベートーヴェン7番。なら100年会館はステージを大幅に客席に張り出すスタイルに変更して音響の進化も楽しみ。 19日は古巣の日本フィルの横浜定期。前半は大河ドラマ軍師官兵衛の音楽担当の人気作曲家菅野祐悟さんの、軍師官兵衛からの作品と新作の尺八と琴と管弦楽のための協奏曲にメインがショスタコーヴィッチの交響曲5番。 どちらもすごく楽しみ。 それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
|
2014/4/2 5年前の桜の季節にかみさんが突然昏睡状態になって2日間意識が戻らなかった。 女性によくある筋腫摘出の単純な手術をしたところ、筋腫が塞いでいた腸の膜の薄いところが破けてしまったのだ。入院中だったのが幸いだったが、意識が戻っても危ない状態が続いた。 さすがに僕は焦った。それまで自由奔放な生活をしていたが、かみさんのありがたみを思い知らされ、咲き乱れる桜を横目に病院に通い神様に祈った。 結局2週間集中治療室にいて命は助かり今では勿論元気にしている。 以来毎年この時期になるとかみさんに改めて感謝するようなった(結婚記念日も近いし)し、桜を見て手放しに喜べなくなった。かみさんはたまたま助かったけど、奥様を亡くされ悲しみと闘っている友達もいるし、突然娘さんを失った親友、天国へ逝ってしまった友人達や家族…人の命はいつどうなるか分からない。こうして美しい桜を観れる事に感謝しなければいけないし、時間を大切に一生懸命生きなきゃいけないのだなぁと思うようになったのです。 僕はこれまで沢山の方々やファンの皆様のおかげでやってこれた訳で、美しい桜を眺めながら、感謝の気持ちを大切にしよう精進しようと思うのであります…。 それではまた! PS 集中治療室で意識が戻った時のかみさんの最初の言葉は、か弱い声で「くるくるドライヤーを持ってきて…」だった。天然パーマのかみさんには必需品らしいのだけどいやはや…勿論看護婦さんにそんな場合じゃありません!と怒られていました。 藤岡 幸夫 |
←つづき(過去) | つづき(先)→ |