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タワーレコード渋谷店6Fにてたくさんのお客様を前に始まりました。 |
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疲れが残る藤岡さんを吉松さんが配慮しながら盛り上げます。 |
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ようやくすこし元気が出て来た藤岡さん・・。 |
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サイン会の風景その1 |
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サイン会の風景その2
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サイン会の風景その3 |
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ファンのお一人が10年余前の藤岡さんのコンサートパンフを持参されそのパンフレットにサイン。 |
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若き日の藤岡さんのコンサートパンフ! |
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《第1部:タワーレコード渋谷店編》
クラシックフロアにファンの方がたくさん集まって下さり、いよいよトークショーがスタート。 毎回、藤岡さんがツッコみ、吉松さんがボケル・・と漫才コンビのような楽しいトー
クなのですが、今回は藤岡さんは前々日まで第九のコンサートの連続で少々バテ気。 すると、なんと、吉松さんがトークの前フリから、ツッコミまでをご担当し展開。う
〜ん、あ・うんの呼吸というか・・。またしてもお二人の奥の深さを知った1日でし た・・。準備された30余席は満席で立ち見がでる中、トークショーはスタートしまし
た。
吉松さん:今日は藤岡さんが第九のコンサートが続いてお疲れなので・・・。
藤岡さん:(話を)進めて、進めて・・・(とバテバテのご様子)。
吉松さん:では、え〜、(英国・シャンドスでの録音は)今回の録音で5回目で、も う随分回数を重ねましたよね。
藤岡さん:ああ、そ〜ですね〜(・・かなりバテバテ・)。
吉松さん:オケもスタジオもわかっているのでずいぶんこなれてきておもしろいうことできましたね。でも今回のは、書き下ろして録音そのものが初演・・・ということでやっている人達は大変なんだけどね(・・と藤岡さんに振ると・・・)。
藤岡さん:(そうそう・・とうなずくのみ・・。マジにバテバテ)
吉松さん:(こりゃ、振ってもアカン・・と思われたようで・・)指揮者やプレーヤー は大変だったんですけど、作っている方(吉松さんご自身)は、おもちゃ箱の交響曲み
たいな感じで、すごく遊べて楽しかったんですよ“トロンボーン・コンチェルト”に は、Ian Bousfieldって、ウィーンフィルの首席奏者を使うことができてね。その彼
が上手いんだな〜。 特に、cadenzaはスタジオに籠っていろんな音を出してくれて、すごくいいテイクが 録れたんですよね(・・と再び藤岡さんを見る。ようやく藤岡さんが復活しつつある
ので質問を振る・・)。どうでした、指揮者としては・・。
藤岡さん:大変でしたよ〜!くたびれましたよ、ホント。聞いたことのない曲を現地で2日でCDにするんですから!!吉松さんの今回の曲もパソコンで精緻に作っていて人間を超えたパソコンならではのカラーになっているから、質の高いパズルのよう
なもので、Mac(パソコン)なら演奏できるけど、人間じゃ(ここまで緻密で連続する演奏は)できないぞ!ってのが多くて・・・。 でも4番の3楽章のアダージェットなんてほんとキレイでね〜(ようやく復活!)。
吉松さん、4番書くの苦労してないでしょ?
吉松さん:4番はあっさり書けたんですよね。パソコンで曲を作るというとすごく非人間的な曲ができるみたいに受け取る人がいて、特に世代によっては機械で人間の感情に訴えるものが作れるか?とか言うんだけど、作っている方は、メカニックなおもちゃばこをひっくりかえしているような感じで・・。
今回も、ワルツについては、べート−ヴェンや、ベルリオーズや、ショスタコーヴィ チのワルツの一部をブロックのように並べて、繋げて重ねてみて、つながりが悪い部
分は転調したりずらしたりして、おもちゃのブロックみたいな感じで作ったんですよ ね。作っていてほんと楽しくて、でも演奏する方はね・・。(・・と藤岡さんに振る・
・)
藤岡さん:ホント大変っす!でも、4番の2楽章・3楽章はホント冴えてる!(やはり疲れからか、今日は、コメントが短い・・)
吉松さん:3楽章は笑わせるところがないな〜というのもあるんだけどね。
藤岡さん:シンフォニーで笑わせてどうするんですか!(笑)
吉松さん:2楽章は仕掛けが多いからコンサートの初演では笑うよね、きっと。演奏者も「ここ、笑っていいんですか?」って聞いてきてたし。でも今回はCDを録音中だから笑うわけもいかず、がまんして「ウ〜ン!?」とか言いながら演奏していたけどね(笑)。でも、全体としては上品でかわいらしくできているCDだと思うよ。
藤岡さん:3楽章はやっぱり吉松さんは天才だ!と思ったね。1番とはまったく違 う意味で綺麗な曲ですよね。 日本のオーケストラには説明しないと分かってもらえないところでもBBCフィルは、
ホント、吉松さんの曲をよく理解しているから、言わなくてもちゃんと演奏してくれ るんだよね。彼等の吉松さんへの評価と理解はホントすごいと思う。
吉松さん:(BBCフィルの)彼等の理解力は、やっぱりブリティッシュロックとかが 身近で、トーンとか同じものがあるんだろうね。ハーモニーとかコード進行とか近いからね。
藤岡さん:4番は、室内管弦楽向けのというかオーケストラは大編成でなくていいんだけど、BBCフィルは今回の録音に16型のファースト・ヴァイオリンを用意していて、
結局は12型まで人数を落としたんだけどね。
吉松さん:オーケストラは、プレーヤーをキープするとお金がかかるからね〜(笑)。 スタジオで40分録音するだけでも大変だよね。大編成の時なんかホルン6台とかパー
カッションとか、チェロの数だけでも・・。
藤岡さん:いやいや、吉松さんの曲って大変だから、ひとつのパートに複数の演奏者 がいて(笑)、Macなら1台だけど(笑)人間は続かないから。ホルン6台って言っ
ても6人じゃなくて、ここまではお前、ここは俺・・って交代でやっていたりするか ら、スタジオ覗くと、普通のオケの1.5倍くらいの演奏者がいるの!(爆笑)
吉松さん:それでこちらが「No」を出すと延長して録音しなおししてくれるし(笑)。 ホント、手間とお金のかかった録音なんですよ(笑)。
藤岡さん:でも俺まだCDになってからのは聴いていなくて(笑)。ほんと、ずっと忙 しくてさ、それにその後、「5番」を初演したでしょ。正直なところ、この録音って
すごい遠〜い昔みたいな感覚があって(笑)。 でも、トロンボーン・コンチェルトは吉松さんの今までの作品の中の最高傑作の ひとつじゃないかな?日フィルの箱山さんもやっているけど、今回のはほんとノーブ
ル(高貴)な感じの音ですよね。
吉松さん:(お二人)どちらにも何やってもいいです・・と言ってあるんだけど、箱山さんも (演奏をしながら、自分が)壊れるところまで行っていないし(笑)。cadenzaでは笑
わせて下さいとかお願いしているんだけどね(笑)。 今回のIan Bousfieldは、さすがウィーンフィルに引き抜かれただけあって、崇高な響きというのかな?ジャズ風ではなくてノーブルというか、宗教的というか・・。
cadenzaの部分ではジャズ風のところとかグレンミラーみたいなのもあるし、安っぽ い音でボレロやってみたりね。前衛的なんだけど統一感があって、作曲家としても彼
の演奏は「ああこんなことができるんだ〜」と感動したね。 演奏は少し長くなったけど、トロンボーン(という楽器)の魅力と、綺麗なところか
ら笑えるところまでぎっしり詰まった・・という感じかな。
藤岡さん:吉松さん、最近、happyでしょ(・・といきなり話を変える!?)。 僕は、1番の頃のように、「(現代音楽が荒廃して)もう作曲家として曲を作ること
ができないんじゃないか?」という感じの悲壮感のある曲が好きでね。トロンボーン・ コンチェルトもその頃の曲で、笑いをとるって言っても、もっと悲しい笑いなんだよ
ね。ピエロのとる笑いというか。 最初すごいシリアスで、そのテーマが最後にぐるっと戻ってくるじゃない。悲壮なと ころまでいってグルっとまわってメジャーコードで清々しく終わる。演奏しながらソリストもオケのみんなも感動してたよ。
吉松さん:そうだね〜、ある程度ドラマ仕立てにしているし。ずっとシリアスで行くとしんどいから、ちょっとくすぐりを入れてね。
藤岡さん:(そういう歴史を踏まえて)4番は今の(happyな)吉松さんが素直に出ている曲だよね。ほんと3楽章が美しい!オケの連中も言ってましたよ。
吉松さん:3楽章は最初マーラーのマネしたり、メシアンの方向にも行ったリとか、 いろいろやってみたんだ。(コンピューターを使わず)ピアノで和音を弾いて並べて
たら、それだけで何だか綺麗なんだよね。マーラーでも、マーラーの時代でも作れた、 白玉(の音)だけでもきれいに作れた・・という曲だね。
藤岡さん:きれいなんだけど、安っぽくならない。チープにならないのがすごいよね。
吉松さん:チープになる前に逃げるテクをいくつも持っているから(笑)。繰り返さ ないとか・・。
藤岡さん:5番なんか延々繰り返したじゃん!(笑)
吉松さん:ああ、あれは珍しく繰り返したよね〜(笑)。はずかし〜けど、気持ちよ かったでしょ(笑)。僕なんかベートーヴェンの「ジャジャジャジャーン」に感動し
てクラシックを始めたけど、(曲を)作れば作るほどああいうのは恥ずかしくてできなくなって、ハ長調のコードで「ジャン」と終わる曲書くのに30年かかった。(笑)
藤岡さん:ベートーヴェンもチャイコフスキーも5番の4楽章ってめちゃ恥ずかし いもんね〜。
吉松さん:恥ずかしいでしょ。でも人間の気持ちいいことって、恥ずかしいことのす ぐ隣にあるんですよ。
藤岡さん:でも指揮者の気持ちにもなってよ〜。molto rit.って何度も何度も書いて あったって恥ずかしくて練習で3日もやれないから、本番だけしかやらないのよ。
吉松さん:そういう指揮者、多いよね。リハーサルではその前で止めて、欲求不満に させておいて本番で爆発させる・・。まあ、ハ長調のコードで、「ジャン」と終わる
曲を作るのに30年もかかり、かつ、聴いてても恥ずかしいんだけど、そのことをやる ことで解放された部分もあるわけで・・・。
藤岡さん:5番の話になっていますね(笑)5番は(今回のCDには収録されていない から)関係ないので、今回のCDの話に戻しましょう。
吉松さん:でもね、4番が優しく作れたのは5番で恥ずかしいことをできた・・というのもあってね。だいたい交響曲は2つ一緒に作るんですよ。ベートーヴェンも5番・
6番、7番・8番と続けて書いているでしょ。2つ続けて作ることでまったく別のも のを作ることができるというところもあるしね。あと、5番は「ジャジャジャジャーン」で始めるって公言していたのを本当にやった
のでウケたし・・・。だから皆に次は「第九は合唱付きでやって下さい」って言われ てて・・・。
藤岡さん:今の僕の前で「第九」って言わないで(笑)。名前も聴きたく無い!(笑) 第九はほんと振るの難しい!
吉松さん:(突然・・)今、僕、富士山をテーマにして、尺八と二十絃を使った交響曲を書いているんだよね。
藤岡さん:はぁ?
吉松さん:いや、 毎日新聞社が主催でね、創刊130年記念コンサートってのがあって、 今、毎日新聞は富士山再生キャンペーンってのをやっているんだって。富士山を、以前
「世界遺産」に登録してもらおうと申請したら、ゴミの山がたくさんあるんで、あま りに汚いって却下されたから、130周年事業で、富士山をきれいにするキャンペーン
てのをやっていてそのテーマソングというか、まあ、シンフォニーを作ろうと頼まれててね・・。
藤岡さん:はぁ〜。
吉松さん:「はぁ。」って、指揮、あなたよ!
藤岡さん:ええ?(笑)。来年のスケジュール全然頭に入ってなくて。ホント?
吉松さん:そうそう、葉書で応募した方はご招待なんだけど、地方の方にはホテルまで付いているんだから・・・。
藤岡さん:それで吉松さんが富士山の交響曲?マジ?
吉松さん:そう。アルプス交響曲ばり(?)にね。でさ、還暦とかなっていれば「交響曲 富士山」でもいいけど、まだそんな年じゃないから尺八と二十絃使ってなんか
少し変わったイメージのものをと考えてるんだけど。
藤岡さん:尺八と二十絃と言えば、まだ発表できないけど、この間録音した曲よかったよね〜。あれは新しい世界を切り開いたよね。
吉松さん:勝手な制約とともに注文されたんだけど、その制約がいい方向に働いて。 受けた時は「尺八と二十絃とオンドマルトノでなんてできるのかよ?」と思ったけど、
結果的には面白いものができたと思う。 それでね、富士山の曲書くのに最近ちゃんと富士山見ていないから、先々週御殿場ま で行ってね・・。
藤岡さん:見て来たの?
吉松さん:ところが(曇りで)見えなくて!(笑)。
藤岡さん:東京からの方がかえってよく見えたんじゃないの?(笑・・)
ということで、その後は恒例のサイン会。 ファンの皆様のご希望の場所にご希望のお名前を書いたり・・と、お二人ならではの気さく でフレンドリーなサイン会となりました。
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