ファンの皆様待望の「トークショー」のレポートです。
2001年12月15日(土)はなんと、15〜16時にタワーレコード渋谷店、17〜18時にHMV 渋谷店とダブルヘッダー。ただでさえハードなスケジュールなのに、我らが藤岡さん は前々日までの第九のコンサートの連続で超バテバテ・・。どうなることかと心配さ れた当日ですが・・・。 (16日(日)にもHMV池袋店でもトークショーがあったのですが、WEBの会の担当者がスケジュールがあわず、上記2回のみのレポートとなりますがお許し願います)
タワーレコード渋谷店6Fにてたくさんのお客様を前に始まりました。
疲れが残る藤岡さんを吉松さんが配慮しながら盛り上げます。
ようやくすこし元気が出て来た藤岡さん・・。
サイン会の風景その1
サイン会の風景その2
サイン会の風景その3
ファンのお一人が10年余前の藤岡さんのコンサートパンフを持参されそのパンフレットにサイン。
若き日の藤岡さんのコンサートパンフ!
《第1部:タワーレコード渋谷店編》
クラシックフロアにファンの方がたくさん集まって下さり、いよいよトークショーがスタート。 毎回、藤岡さんがツッコみ、吉松さんがボケル・・と漫才コンビのような楽しいトー クなのですが、今回は藤岡さんは前々日まで第九のコンサートの連続で少々バテ気。 すると、なんと、吉松さんがトークの前フリから、ツッコミまでをご担当し展開。う 〜ん、あ・うんの呼吸というか・・。またしてもお二人の奥の深さを知った1日でし た・・。準備された30余席は満席で立ち見がでる中、トークショーはスタートしまし た。

吉松さん:今日は藤岡さんが第九のコンサートが続いてお疲れなので・・・。

藤岡さん:(話を)進めて、進めて・・・(とバテバテのご様子)。

吉松さん:では、え〜、(英国・シャンドスでの録音は)今回の録音で5回目で、も う随分回数を重ねましたよね。

藤岡さん:ああ、そ〜ですね〜(・・かなりバテバテ・)。

吉松さん:オケもスタジオもわかっているのでずいぶんこなれてきておもしろいうことできましたね。でも今回のは、書き下ろして録音そのものが初演・・・ということでやっている人達は大変なんだけどね(・・と藤岡さんに振ると・・・)。

藤岡さん:(そうそう・・とうなずくのみ・・。マジにバテバテ)

吉松さん:(こりゃ、振ってもアカン・・と思われたようで・・)指揮者やプレーヤー は大変だったんですけど、作っている方(吉松さんご自身)は、おもちゃ箱の交響曲み たいな感じで、すごく遊べて楽しかったんですよ“トロンボーン・コンチェルト”に は、Ian Bousfieldって、ウィーンフィルの首席奏者を使うことができてね。その彼 が上手いんだな〜。 特に、cadenzaはスタジオに籠っていろんな音を出してくれて、すごくいいテイクが 録れたんですよね(・・と再び藤岡さんを見る。ようやく藤岡さんが復活しつつある ので質問を振る・・)。どうでした、指揮者としては・・。

藤岡さん:大変でしたよ〜!くたびれましたよ、ホント。聞いたことのない曲を現地で2日でCDにするんですから!!吉松さんの今回の曲もパソコンで精緻に作っていて人間を超えたパソコンならではのカラーになっているから、質の高いパズルのよう なもので、Mac(パソコン)なら演奏できるけど、人間じゃ(ここまで緻密で連続する演奏は)できないぞ!ってのが多くて・・・。 でも4番の3楽章のアダージェットなんてほんとキレイでね〜(ようやく復活!)。 吉松さん、4番書くの苦労してないでしょ?

吉松さん:4番はあっさり書けたんですよね。パソコンで曲を作るというとすごく非人間的な曲ができるみたいに受け取る人がいて、特に世代によっては機械で人間の感情に訴えるものが作れるか?とか言うんだけど、作っている方は、メカニックなおもちゃばこをひっくりかえしているような感じで・・。 今回も、ワルツについては、べート−ヴェンや、ベルリオーズや、ショスタコーヴィ チのワルツの一部をブロックのように並べて、繋げて重ねてみて、つながりが悪い部 分は転調したりずらしたりして、おもちゃのブロックみたいな感じで作ったんですよ ね。作っていてほんと楽しくて、でも演奏する方はね・・。(・・と藤岡さんに振る・ ・)

藤岡さん:ホント大変っす!でも、4番の2楽章・3楽章はホント冴えてる!(やはり疲れからか、今日は、コメントが短い・・)

吉松さん:3楽章は笑わせるところがないな〜というのもあるんだけどね。   

藤岡さん:シンフォニーで笑わせてどうするんですか!(笑)

吉松さん:2楽章は仕掛けが多いからコンサートの初演では笑うよね、きっと。演奏者も「ここ、笑っていいんですか?」って聞いてきてたし。でも今回はCDを録音中だから笑うわけもいかず、がまんして「ウ〜ン!?」とか言いながら演奏していたけどね(笑)。でも、全体としては上品でかわいらしくできているCDだと思うよ。

藤岡さん:3楽章はやっぱり吉松さんは天才だ!と思ったね。1番とはまったく違 う意味で綺麗な曲ですよね。 日本のオーケストラには説明しないと分かってもらえないところでもBBCフィルは、 ホント、吉松さんの曲をよく理解しているから、言わなくてもちゃんと演奏してくれ るんだよね。彼等の吉松さんへの評価と理解はホントすごいと思う。

吉松さん:(BBCフィルの)彼等の理解力は、やっぱりブリティッシュロックとかが 身近で、トーンとか同じものがあるんだろうね。ハーモニーとかコード進行とか近いからね。

藤岡さん:4番は、室内管弦楽向けのというかオーケストラは大編成でなくていいんだけど、BBCフィルは今回の録音に16型のファースト・ヴァイオリンを用意していて、 結局は12型まで人数を落としたんだけどね。

吉松さん:オーケストラは、プレーヤーをキープするとお金がかかるからね〜(笑)。 スタジオで40分録音するだけでも大変だよね。大編成の時なんかホルン6台とかパー カッションとか、チェロの数だけでも・・。

藤岡さん:いやいや、吉松さんの曲って大変だから、ひとつのパートに複数の演奏者 がいて(笑)、Macなら1台だけど(笑)人間は続かないから。ホルン6台って言っ ても6人じゃなくて、ここまではお前、ここは俺・・って交代でやっていたりするか ら、スタジオ覗くと、普通のオケの1.5倍くらいの演奏者がいるの!(爆笑)

吉松さん:それでこちらが「No」を出すと延長して録音しなおししてくれるし(笑)。 ホント、手間とお金のかかった録音なんですよ(笑)。

藤岡さん:でも俺まだCDになってからのは聴いていなくて(笑)。ほんと、ずっと忙 しくてさ、それにその後、「5番」を初演したでしょ。正直なところ、この録音って すごい遠〜い昔みたいな感覚があって(笑)。 でも、トロンボーン・コンチェルトは吉松さんの今までの作品の中の最高傑作の ひとつじゃないかな?日フィルの箱山さんもやっているけど、今回のはほんとノーブ ル(高貴)な感じの音ですよね。

吉松さん:(お二人)どちらにも何やってもいいです・・と言ってあるんだけど、箱山さんも (演奏をしながら、自分が)壊れるところまで行っていないし(笑)。cadenzaでは笑 わせて下さいとかお願いしているんだけどね(笑)。 今回のIan Bousfieldは、さすがウィーンフィルに引き抜かれただけあって、崇高な響きというのかな?ジャズ風ではなくてノーブルというか、宗教的というか・・。 cadenzaの部分ではジャズ風のところとかグレンミラーみたいなのもあるし、安っぽ い音でボレロやってみたりね。前衛的なんだけど統一感があって、作曲家としても彼 の演奏は「ああこんなことができるんだ〜」と感動したね。 演奏は少し長くなったけど、トロンボーン(という楽器)の魅力と、綺麗なところか ら笑えるところまでぎっしり詰まった・・という感じかな。

藤岡さん:吉松さん、最近、happyでしょ(・・といきなり話を変える!?)。 僕は、1番の頃のように、「(現代音楽が荒廃して)もう作曲家として曲を作ること ができないんじゃないか?」という感じの悲壮感のある曲が好きでね。トロンボーン・ コンチェルトもその頃の曲で、笑いをとるって言っても、もっと悲しい笑いなんだよ ね。ピエロのとる笑いというか。 最初すごいシリアスで、そのテーマが最後にぐるっと戻ってくるじゃない。悲壮なと ころまでいってグルっとまわってメジャーコードで清々しく終わる。演奏しながらソリストもオケのみんなも感動してたよ。

吉松さん:そうだね〜、ある程度ドラマ仕立てにしているし。ずっとシリアスで行くとしんどいから、ちょっとくすぐりを入れてね。

藤岡さん:(そういう歴史を踏まえて)4番は今の(happyな)吉松さんが素直に出ている曲だよね。ほんと3楽章が美しい!オケの連中も言ってましたよ。

吉松さん:3楽章は最初マーラーのマネしたり、メシアンの方向にも行ったリとか、 いろいろやってみたんだ。(コンピューターを使わず)ピアノで和音を弾いて並べて たら、それだけで何だか綺麗なんだよね。マーラーでも、マーラーの時代でも作れた、 白玉(の音)だけでもきれいに作れた・・という曲だね。

藤岡さん:きれいなんだけど、安っぽくならない。チープにならないのがすごいよね。

吉松さん:チープになる前に逃げるテクをいくつも持っているから(笑)。繰り返さ ないとか・・。

藤岡さん:5番なんか延々繰り返したじゃん!(笑)

吉松さん:ああ、あれは珍しく繰り返したよね〜(笑)。はずかし〜けど、気持ちよ かったでしょ(笑)。僕なんかベートーヴェンの「ジャジャジャジャーン」に感動し てクラシックを始めたけど、(曲を)作れば作るほどああいうのは恥ずかしくてできなくなって、ハ長調のコードで「ジャン」と終わる曲書くのに30年かかった。(笑)

藤岡さん:ベートーヴェンもチャイコフスキーも5番の4楽章ってめちゃ恥ずかし いもんね〜。

吉松さん:恥ずかしいでしょ。でも人間の気持ちいいことって、恥ずかしいことのす ぐ隣にあるんですよ。

藤岡さん:でも指揮者の気持ちにもなってよ〜。molto rit.って何度も何度も書いて あったって恥ずかしくて練習で3日もやれないから、本番だけしかやらないのよ。

吉松さん:そういう指揮者、多いよね。リハーサルではその前で止めて、欲求不満に させておいて本番で爆発させる・・。まあ、ハ長調のコードで、「ジャン」と終わる 曲を作るのに30年もかかり、かつ、聴いてても恥ずかしいんだけど、そのことをやる ことで解放された部分もあるわけで・・・。

藤岡さん:5番の話になっていますね(笑)5番は(今回のCDには収録されていない から)関係ないので、今回のCDの話に戻しましょう。

吉松さん:でもね、4番が優しく作れたのは5番で恥ずかしいことをできた・・というのもあってね。だいたい交響曲は2つ一緒に作るんですよ。ベートーヴェンも5番・ 6番、7番・8番と続けて書いているでしょ。2つ続けて作ることでまったく別のも のを作ることができるというところもあるしね。あと、5番は「ジャジャジャジャーン」で始めるって公言していたのを本当にやった のでウケたし・・・。だから皆に次は「第九は合唱付きでやって下さい」って言われ てて・・・。

藤岡さん:今の僕の前で「第九」って言わないで(笑)。名前も聴きたく無い!(笑) 第九はほんと振るの難しい!

吉松さん:(突然・・)今、僕、富士山をテーマにして、尺八と二十絃を使った交響曲を書いているんだよね。

藤岡さん:はぁ?

吉松さん:いや、 毎日新聞社が主催でね、創刊130年記念コンサートってのがあって、 今、毎日新聞は富士山再生キャンペーンってのをやっているんだって。富士山を、以前 「世界遺産」に登録してもらおうと申請したら、ゴミの山がたくさんあるんで、あま りに汚いって却下されたから、130周年事業で、富士山をきれいにするキャンペーン てのをやっていてそのテーマソングというか、まあ、シンフォニーを作ろうと頼まれててね・・。

藤岡さん:はぁ〜。

吉松さん:「はぁ。」って、指揮、あなたよ!

藤岡さん:ええ?(笑)。来年のスケジュール全然頭に入ってなくて。ホント?

吉松さん:そうそう、葉書で応募した方はご招待なんだけど、地方の方にはホテルまで付いているんだから・・・。

藤岡さん:それで吉松さんが富士山の交響曲?マジ?

吉松さん:そう。アルプス交響曲ばり(?)にね。でさ、還暦とかなっていれば「交響曲 富士山」でもいいけど、まだそんな年じゃないから尺八と二十絃使ってなんか 少し変わったイメージのものをと考えてるんだけど。

藤岡さん:尺八と二十絃と言えば、まだ発表できないけど、この間録音した曲よかったよね〜。あれは新しい世界を切り開いたよね。

吉松さん:勝手な制約とともに注文されたんだけど、その制約がいい方向に働いて。 受けた時は「尺八と二十絃とオンドマルトノでなんてできるのかよ?」と思ったけど、 結果的には面白いものができたと思う。 それでね、富士山の曲書くのに最近ちゃんと富士山見ていないから、先々週御殿場ま で行ってね・・。

藤岡さん:見て来たの?

吉松さん:ところが(曇りで)見えなくて!(笑)。

藤岡さん:東京からの方がかえってよく見えたんじゃないの?(笑・・)

ということで、その後は恒例のサイン会。 ファンの皆様のご希望の場所にご希望のお名前を書いたり・・と、お二人ならではの気さく でフレンドリーなサイン会となりました。
吉松さんの軽妙なトークで始まりました。
やはりバテ気味の藤岡さん。
ようやく元気が出て来た藤岡さん。
サイン会の風景
 
《第2部:HMV渋谷店編》
そして、わずか1時間後。17時よりHMV渋谷店5F クラシックフロア。こちらは椅子が無いイベントコーナーなのでファンの方は立ち席 でちょっとたいへん。藤岡さんもようやくエンジンがかかって滑らかにスタート・・。

吉松さん:どうも、吉松です。この場所は本来はプレーヤーの方であれば演奏なども できる場所のようですが、作曲家と指揮者では音も出せませんので・・。まあ、2人 で話すと、つい漫才のようになるんですが・・・。でも、今日は藤岡君が第九のコン サートが続いてちょっとバテバテなんで・・・。

藤岡さん:どうぞ続けて下さい(笑)僕は今日、ボケ役でいきますから・・(笑)。

吉松さん:この間HMVに来た時、公園通りの方にずらっと行列が出来てましてね、ど うしてこんなに並んでるの?ってその子たちに聞いたら、「BACK STREET BOYSの来日 コンサートがあるんだ。知らないの?」とか言われてね。藤岡君、BACK STREET BOYSっ て知ってる?

藤岡さん:知らない〜。

吉松さん:でしょ?だから「君らは、今日ロジャー・ノリントン率いるシュトゥットガルト放送交響楽団の来日コンサートがあるの知ってるか?」って言ってやった。 (・・といきなり違う話をブッ飛ばす吉松さん・・。会場爆笑、藤岡さん呆れ顔。)

藤岡さん:ねえ、ねえ、今日はCDの話でしょ(と、ようやくいつものツッコミ!)。 では、4番について!(・・とまた言葉少なく吉松さんに振る藤岡さん)。

吉松さん:自分の曲を聞いていて楽しい。いい仕上がりです。ほんと聞く側の人にはとてもいいい(・・演奏者・指揮者は大変・・という話への伏線・・)。 自分の中では、おもちゃ箱的に書いた曲で、録音はBBCフィルもトロンボーン奏者も うまくて、まったく文句無しでした。 曲は(作曲家も聞く方も)楽しいんだけど、初演をそのまま録音するということで、 指揮者はプレッシャーがあって大変でしたね(藤岡さん、大きくうなずく)。3番・ 4番と立て続けにそういう形だったので、ハードだったけど、どうでしたか?

藤岡さん:ほんと緻密に作られた曲なので・・・(大変!)。だけど4番の3楽章は とにかく綺麗!

吉松さん:「藤岡アダージョ」のCD作る時は、あのアダージェット入れてよ。(笑)

藤岡さん:出ない!そんなもの出ないって! (笑)でもね、4番、オケはベタホメだった。だけど指揮するのはとっても大変で。。ホン ト緻密に作ってあるから・・・。。 でも4番のワルツの中に聴いたことあるようなないようなって部分があるな〜って思っ ていたら、吉松さんの昔の曲だってね。

吉松さん:18才の時に書いた曲だよ。

藤岡さん: あとさ、2楽章に僕の名前入ってるじゃん。プレーヤーはみんな気付いていたよ。

吉松さん:まあ、絶対音感ある人は気付くよね。 (2楽章のまん中あたりに堂々と出てくるそうですよ。探してみて下さい。「藤岡幸 夫さんを応援するWEBの会」)

吉松さん:今回の録音は、今までと路線が違っていて、今までの中では、個人的には 一番好きだね。自分でも繰り返して聴ける。3番とかサイバーバードは繰り返して聞 くのはちょっとくたびれるからね。

藤岡さん:僕は1番も好きだな。今度日フィルの定期演奏会で2番の改定版も演奏できるし。

吉松さん:2番は曲を依頼された時の制約で、スケルツオを外しているんだ・・って言ったら、藤岡君が、「スケルツオつけて再演しましょう!」っていうんで、今度やるんですけどね。終楽章には「ゴスペルシンガー」を100人つけてやりたいな〜なん て言っているんですけどね・・・。

藤岡さん:録音だけなら「ゴスペルシンガー100人」でもいいんですけどね、僕は再演したいので、再演できるような形でまとめて頂きたいですよね。 そうだ、アトム・ハーツ・クラブの話しなきゃ。ロックっぽくて、イギリスのプレー ヤーはもうこういうの大好きでね・・。チェロを叩いたり奇声を上げたり、足鳴らして演奏しててね。「本番でもやっていい?」って聞かれて「いいよ」って答えちゃったから そのテイクがCDにそのまま使われてるんですよ。

吉松さん:アトム・ハーツ・クラブは、アトムには思い入れがあってね。鉄腕アトムのアトムなんですが、僕の家は渋谷からすぐ近くの初台にあって、30年以上前から住ん でいるんだけど、その頃(アトムの作者の)手塚治虫さんも初台に住んでいて、大ファ ンだったの・・。アトムのマンガの単行本も全部持っていてね・・。 で、モルゴア・クァルテットからロックっぽい弦楽四重奏曲を書いてくれって頼まれた時、「アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット」って名前にして。ま、ビートルズ の「サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」だよね。それ にプログレの旗手、エマーソン・レイク&パーマーとかピンク・フロイドとか入れて 最後はブギウギみたいなので終わるって曲を作ったわけです。だから「アトム・ハー ツ・クラブ」は、モルゴアの弦楽四重奏が原曲で。

藤岡さん:東フィルのコンマスの荒井さんとか、N響の首席チェロの藤森さんとかがメンバーだよね。彼らみんなロック好きだもんね。

吉松さん:それから福田進一さんのギター・デュオ、トルヴェール・クァルテット のSAX四重奏、向山佳絵子さんに頼まれたチェロ×2+ピアノ、他にもピアノ・トリ オもあるかぁ。今回のは「組曲1番」で、すでに2番もあるし。しばらく続きそうな んだよね。

藤岡さん:いいソリストはこの曲やりたがるよね〜。

吉松さん:この曲はどれもプレーヤーがこうやりたいというのがあって、あまり細かく聞いてこないので、かえって面白いよね。今回の藤岡くんも勿論勝手にやってしまうんだけど、ま、信頼してるってことで・・・。

藤岡さん:振ったもん勝ちですから(笑)。 そういう曲だからイギリス人のプレーヤーは盛上がりまくってね、手でパンパンリズム叩いて、足踏みしてフィニッシュしているもんね。ライブならともかく、CDの録音の時には普通やらないよな〜。

吉松さん:僕はずっとロックン・ロールしているつもりだけど、4番はかわいい一方で、どちらかというとアンチ・ロックかな?5番はばっちりロックしちゃったし。理性では止めたほうがいいと言っているんだけど、ロックしてしまうんだよな〜。 そう言えばシャンドスの録音は、ある意味「ロックのアルバム」を作るように作らせ てくれているよね。

藤岡さん:どういう意味?

吉松さん:年に1回70分前後の曲を作って、スタジオで籠って音を作って、オケによ る録音をして、まるでロックのミュージシャンの作り方だよね。先に初演をライブで やって・・というクラシックのやり方ではなくて、1枚、1枚コンセプトを作ってア ルバムを作っていくというやり方ですよね。今回もそういうやり方で非常にうまくいっ たと思うよ。

藤岡さん:ということで、最後にもう一度、このCDの宣伝(ウリ)ですね。

吉松さん: 一言でいって「かわいい!」。自分の曲はある意味、自分の子供みたいなところがあるんだけど、この子はかわいい。シンフォニーなんかは、ある意味、小憎 たらしいところがあったほうがいいんだけど、この4番は「かわいい」曲。 トロンボーン・コンチェルトは、吉松・藤岡よりもソリストの演奏を是非よく聞いて 下さい。

藤岡さん:4番は3楽章がホント綺麗(・・今日はコレしか言っていない・・)。 トロンボーンは、吉松さんの最高傑作の一つ!ウィーンフィルの首席奏者のノーブル な音と吉松さんの叙情的な世界を楽しめます。 アトム・ハーツ・クラブは、オケのノリ!奇声がビシバシ入っている・・ハズです! ゴメン、僕、CDまだ聞いていないんで、入っているハズです!(爆笑)。 え?時間?じゃぁ今後のコンサートのお話ですけど。 1月24日(都響の演奏会)は、初めて客席で吉松さんの曲を聞けるんだよね。他の指 揮者にも是非振って欲しかったから嬉しいんですよ〜。

吉松さん:シャンドスで録音するようになってから(藤岡さんと組んでいるイメージ が大きくなって)余計に他の指揮者がやってくれなくなってね〜。 ショスタコーヴィチとムラヴィンスキーくらい高尚な関係ならそれもいいんだけど。 せめて武満・小澤に続けって感じか・・・。

藤岡さん:いやあ、彼等は漫才できないし(爆笑)・・・。

ということで、楽しいトークショーは終了。引き続いてサイン会を行ないました。 たくさんの皆様のご来場を感謝申し上げます。 次回のトークショー&サイン会は、あなたもご参加下さいね!(・・開催が決まった らこのホームページでお知らせしますね)。 会場でお待ちします!

          文責:「藤岡幸夫さんを応援するWEBの会」
          SPECIAL THANKS かなだけいこ様
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