藤岡さんから2003年、7通目のお手紙が届きました。
今回は10月20日、28日のコンサートのプログラムの曲の解説です。藤岡さんの熱い想いを読んでからコンサートに向かいましょう!今回はプライベート写真は残念ながらお忙しくて、1枚もありません。次回に期待しましょう。 感想のメールもお待ちしています。

 皆さんこんにちは。
吉松さんの新作、チェロ協奏曲の初演です!BBCフィルの首席のピートと僕が待ちに待った新作。

はっきり言って傑作!吉松ワールドも新しい世界に入ってきてる。そして強烈に歌うピートがもう目に浮かぶ。
情熱的な1楽章、邦楽風に東洋的に始まる2楽章は深く、美しい。そして疾風の3楽章。最後のクライマックスが楽しみ。とにかく聴いてみて!何せ初演なんで、やってみなきゃわかんないが、今からわくわくしてる。


ソリストのピートは大学卒業してすぐロイヤ・ルフィルのトップ奏者になり、その後BBCフィルに移籍してきた。BBC フィルのリーダー的存在。学生時代はソリスト・スター街道を走ると思われてきたけど、とにかくオケが好きでオケマンの道を選んだプレーヤー。その情熱的な演奏は甘いマスクと伴ってファンも多い。彼と僕は同い年で音楽の趣味も合うのですごく仲がいい。彼もこの曲に大喜び。初めてこの曲を手にして興奮して電話してきたくらいだ。

20日の関西フィルの定期では後半はシベリウスの2番を取り上げる。僕の愛して止まない特別の曲だ。またこの曲は僕の恩師、渡邊先生の十八番だった。フィンランドの血が半分流れる先生のシベリウスは本当に素晴らしかった。僕が弟子になりたての頃、先生は日フィルとの演奏旅行ではいつもこの2番を取り上げてた。僕は荷物持ちでいつも先生と一緒で、それは沢山の事を教えていただいた。

弟子になって最初の先生の日フィルとの演奏旅行直前に「酒癖が悪くて暴れん坊、その反面すごく優しくて心から祖国を愛したのがシベリウス。キミも2番好きだよな。この旅行で一緒に勉強しよう。キミにも振れる時がきっとくるよ。2番のシベリウスの手書きの最初のスコアはね、ロシアへの怒りと祖国への情熱で音符が書きなぐられてるんだ。そのインクがまるでまだ乾いていないような音楽を目指しなさい。」そう言って、先生がアメリカでのコンサートで使った2番のスコアをプレゼントして下さった。
関西フィルでこの曲を振るのは初めてなのですごく楽しみ。20日は、たった今書きあげられたような新鮮なシベリウスを目指します。

撮影:設楽茂男
写真提供:
「メンズクラブ・ドルソ」
99年秋号

アシェット婦人画報社刊」
無断転載をお断りします。

 

 28日の日フィルとの吉松・チェロ協奏曲の後半は吉松の3番。
2000年の日フィル定期で初演して好評だった曲。吉松さんが僕をイメージして作曲してくれた。この曲はBBCフィルとのCDがあるが、CDではよっぽど大音量で聴かないと良さが半減する。是非、生を聴いて欲しい。

 僕は自分のCDを全くと言っていいほど聴かない(大体ほとんどの物は持ってない)けどこの曲は、気合を入れるときなど1楽章を聴いたりする。チャイコフスキーとシベリウスを足したようなパワーに旋律。大河ドラマ風のテーマはオーケストレーションが最高に気持ちいい!東洋風第2主題は叫びたくなる。興味のある方は2000年5月の手紙&コンサート感想を参考にしてみてください。

というわけで20日と28日にお会いしましょう!

      2003年10月17日

PS1 日フィルの演奏旅行は楽しかったし何より勉強になった。ありがとうございました。未完成は最高ですね。ソリストの川畠君は1年ぶりだったけど音楽が大きくなってたな。彼とはミッチー、サッチーと呼び合う仲に。彼はサッカーが大好きで50回連続でボールリフティング(っていうのかな)できるそうだ。運動神経抜群。

PS2 タイガース優勝の騒ぎはすげぇ。繁華街で危ないからみんな店を閉めちゃうなんて半端じゃない。在日関西人とはよく言ったものだ。テンションが一般日本人と違う。で、在日関西人が7割以上を占める関西フィルは日本のオケとはちょっと違うのだ。

PS3 アントニオ・カルロス・ジョビンにちょっとはまってる。この人の音楽は今聴いても古さを感じないし、アレンジも見事だ。当時ニューヨークフィルの首席連中が彼に惚れて共演しちゃったって言う話もうなずける。

PS4 僕の大好きなシベリウス。2番も最高だが、僕が世界で一番好きな音楽が5
番。渡邊先生が癌で入院したとき、退院ししてなんとしてでも振るつもりだったこの曲、僕の想いも強すぎて今まで指揮したいとは思わなかった。だから一度も振ったことがない。ただ最近やっと振りたくなってきた。

PS5 携帯の手紙にも書いたけど、慶応ワグネルはよく頑張った! 途中からアマ・オケを振ってるのを忘れさせられた。ただ学生に僕がパパでもおかしくない年齢だといわれて凄いショックを受ける。冗談じゃない、俺は成長はしても変わらない。(意味不明?)。

※本ページの写真は撮影:設楽茂男
写真提供:「メンズクラブ・ドルソ」
99年秋号
/アシェット婦人画報社刊」
です。
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〜藤岡幸夫さんを応援するWEBの会より〜
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