2008年4月分
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2008/04/30 昨日の関西フィルの定期ありがとうございました。 早くから完売してて沢山のお客様ありがたいことです。 4月29日の定期は2000年以来毎年指揮してて僕にとって節目のコンサートだ。 前半の 関本 昌平 君 (彼とは2回めの共演)の モーツァルト 「ピアノ協奏曲23番」 はとっても楽しかった。 彼の音楽はすごく自然でスケールが大きくて歌に溢れてる。関西が生んだ素晴らしい才能だ。 是非また共演したい。 後半の 「レニングラード」 関西フィルは演奏するのが初めて。この曲の本質を伝える演奏だったと思う。 そして首席ファゴットの 星野 さんが素晴らしかった。 この曲で重要なのは ショスタコーヴィチ が想いを込めたファゴットのソロなんだけど、実はファゴットが印象に残る 「レニングラード」 の演奏ってなかなか難しい。 今回の星野さんのソロはあの大クライマックスの後でもしっかり印象に残る凄いソロだったと思う。 皆さん本当にありがとうございました。 コンサート後はカミさんと夕飯のあと、カミさんは東京に向かい 僕はホテルの部屋で ぼ〜っと しながら缶チューハイ。 珍しくテレビをつけると 有名なキャンディーズの 後楽園解散コンサートを放送してた。昭和の匂いを思い出す。 あの頃僕は高校1年生で 学校のオーケストラでチェロを弾きながら朝から晩まで指揮者になる夢を追いかけてた。 フルートを吹いてた同級生の家によく遊びに行ってフルート4重奏を演奏したが その後に彼の部屋で聴かされたのがキャンディーズだった。(彼は大ファンだったのだ) 彼の師匠が当時新日本フィルの団員さんだったおかげで、よく授業をさぼって 小澤 征爾 さんと新日フィルのリハーサルを見に行ってたのが懐かしい。 今思うとあの頃の僕は超生意気な高校生だった。 明日から、待ちに待った20日間のオフ。ここ数年、29日の定期を指揮した後はなるべく休暇をとるようにしてる。 5月は大好きな季節で、ゆっくり夏の香りを楽しみながら、普段出来ない勉強 (室内楽やまだ取り上げたことのない作品のスコアを読む) をするつもり。 それでは皆さんまたコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2008/04/28 ショスタコーヴィチ 交響曲7番 「レニングラード」 (1941) の話
明日の関西フィルの定期で取り上げる 「レニングラード」 は僕が95年に日フィルの定期 (日本デビュー) で指揮した思い出深い曲だ。 僕はデビュー以来 ショスタコーヴィチ を積極的に取り上げてきたし、 関西フィルともこれまでに 5、6、9、10、11番とやってきたから 関西フィル&藤岡の ショスタコーヴィチ のスタイルや音が出来てきたなと思ってる。 1楽章、レニングラードで有名なのが 「ボレロ」 (ラヴェル) のように小太鼓のリズムに乗って1つの主題が大音量に発展していく。 この主題は ムソルグスキー や レハール のオペラの中で歌われるアリア (両方とも歌詞が偽善的) に似てると言われてるが、ショスタコーヴィチが意識してたかどうかは定かでない。 僕は単純に、当時の ヒットラー や スターリン を始めとする独裁者を思い切り馬鹿にしてると思ってる。 1楽章で重要なのはこの主題が最高潮に達した後だ。 この曲は”独ソ戦” (1941〜5) の最中に作曲されたが、そこには戦争に対する悲しみと怒りが込みられている。 ショスタコーヴィチが1楽章後半でファゴットのソロに込めた想いの強さよ! 2楽章は 「記憶」 を表したと言われるが、まるで ショスタコーヴィチ 自身が悲しい道化師のようだ。 中間部は突然狂ったように叫びだす。 3楽章は ショスタコーヴィチ が書いた最も美しい音楽の1つだ。 あえてバロック様式を使うことで音楽の美しさの原点に戻って祖国ロシアへの深い愛情を表現しているように思える。この楽章がこの曲全体の中で最も深く強い。 4楽章は当時 「勝利」 を表してると言われたが、それはソ連の勝利ではない。 3楽章から切れ目なく4楽章に入るが最初表現されてるのはまるで戦争で荒らされた後の大地だ。 ショスタコーヴィチは映画音楽を書くのを得意としていたのが良くわかる。 最後は圧倒的なクライマックスで終わるが完結していない。 それはまるで民衆たちが独裁者たちから解放されることを願う叫びのようだ。 最後に (安っぽい言い方だけど連続ドラマのように) 「つづく」 と感じてしまう。 本当に自由が得られるまで勝利はあり得ないということだ。 この交響曲はとても聴きやすいがために大衆うけを狙った安易な曲と 誤解されやすいが、この曲に込められた ショスタコーヴィチ の想いは 深く強烈だ。 他の交響曲に見られるような権力者達への反抗心や皮肉はあまりないが、 その代わりに民衆やロシアへの強い愛情が込められている。戦争という悲劇にさらされた民衆たちに、純粋な気持ちで勇気を与えているかのようだ。 明日は ショスタコーヴィチ と 関西フィルの素晴らしさをどこまで伝えられるかすごく楽しみだ。 藤岡 幸夫 |
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2008/04/26 29日の定期 ショスタコーヴィチ の交響曲7番 「レニングラード」 は僕の日本デビューの思い出の曲。 (95年日フィル定期) 今日は初日のリハーサルでいい感じだ。
ところで関西フィルのいつものリハーサル時間は 午後1時〜6時 だけど 明日からは珍しく 10時半から。 朝勉強する時間が減って困るけど、今日はタイガースが短い試合時間で勝ったので早くから寝れてご機嫌。 完投した岩田は糖尿病と闘ってると聞いて感動。 ライオンズが強いのも嬉しい 。(やっぱりライオンズファンもやめられません) というわけでお休みなさい。 藤岡 幸夫 |
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2008/04/23 昨日は沢山のお客様ありがとうございました。去年から始めた 「関西フィル・ブラス・セクション」 大阪以外でも公演が増えてるそうでこれからもさらに磨きをかけたいとみんなのヤル気充分。素晴らしいね。 今朝からは29日の定期の ショスタコーヴィチ にどっぷり浸かってる。 ありがたいことに定期のチケットは早くから完売。 (当日券はキャンセル待ちだけどあるそうです) 気合いが入る。 タイガースも無事中日に勝ったところで今から寝るとこ。 今年のタイガースは強いね。 ショスタコーヴィチの話しはまたします。 藤岡 幸夫 |
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2008/04/20 週末はサックスの 須川 展也 さんと高松 (香川県) の6つの学校の吹奏楽部を訪問。
一緒に音楽してめっちゃ楽しかった! これは来月の24日にサンポートホール高松 (新しい素晴らしいホール!) で関西フィルと ミートザクラシック のコンサート (ソロは須川さん) をするのでそのプレ企画。 訪問したのは 高松市立古高松小学校、高松第一高等学校、高松高等学校、香川中央学校 (以上4校が須川さんと2人) 香川県立高松北中学・高等学校、高松市立太田中学校 (この2校は僕だけ) 。 とにかく、まず初っぱなの古高松小学校のジャズバンドに僕も須川さんもあまりのうまさに腰を抜かした。 「茶色のこびん」 (グレン・ミラー) を小学生達が楽しそうにスイング・・・!!
他の吹奏楽部もそれぞれ個性があって最高だった! それにみんなの笑顔に癒されたし。 僕も中学で吹奏楽部 (トランペットと指揮してた) 高校ではオーケストラ (チェロと指揮してた) やっててあの頃を思い出して若さをもらってきた。 みんな来月のコンサートに来てくれるみたいで、コンサートでみんなの顔をまた見れるのが楽しみだ。
高松のエブリバディ本当にありがとう! ※4/19・20 ミート・ザ・クラシック・デリバリー の Event Reportはこちら
明日は 「関西フィル・ブラス・セクション」 のリハーサル最終日で明後日(22日) がコンサート。気合いが入ります! それでは皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2008/04/18
昨日、今日と来週22日(火)の「関西フィル・ブラス・セクション」のリハーサル。 関西フィルのトランペット奏者の 川上さん の編曲 プロコフィエフ の 「ロメオとジュリエット」 は相変わらず素晴らしいがとにかくめっちゃ難しい。この"超難曲"に挑戦することでさらにブラスセクションに磨きがかかるとみんなのヤル気充分。本番が楽しみ。 今 大阪センチュリー交響楽団 が危機にさらされてる。 財政カットの話しを聞いたときは唖然とした。これでは解団宣告と同じだ。団員さんたちには生活があり、いきなり放り出されたらたまったものではない。本当に実行されるなんてあり得ない。 これは他人事ではない。 関西フィルは民間の企業の支援で成り立っているが、民間企業の協賛がいつ切られてもおかしくない緊張感に常にさらされている。 文化ってなんだろう。改めて考えてしまう。 僕はデビュー当時から 「クラシックの"裾野"を拡げなければ」 と言い続けてきけど、結局クラシック音楽が沢山の人に愛してもらえなければ、簡単にオーケストラを潰すという議論が持ち上がってしまうと改めて痛感させられた。 今のままではクラシック音楽界の ”未来” は決して明るいとは言えない。 とにかく当たり前のことだけど"裾野"を拡げる ( =沢山のかた達に支持される、と同時に新しい才能も沢山産まれる = 聴衆が増えれば先端的なプログラミングもできるしオーケストラの能力も上がる) ことが今のクラシック界に最も大切なことだと痛切に思う。 藤岡 幸夫 |
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2008/04/13 皆さんこんばんは。 今日はオフらしい1日を過ごせた。 午前中から新横浜へかわいい姪っ子達 (三姉妹) のフィギュアスケートの応援。 今まで忙しくて実は生で姪っ子達のフィギュアスケート見るのは今回が初めて。 三姉妹ともかなり才能あるみたいで、今日は中1になったばかりの一番上のお姉ちゃんが神奈川の県大会で最年少にも関わらずブッチギリで優勝。めっちゃ盛り上がった。 将来僕が関西フィルを指揮した演奏で姪っ子がオリンピックで滑るという夢も現実味がでてきたかも? 姪っ子達を応援した後は久しぶりに親友の指揮者の 飯森 範親 くんの家に遊びに行って
その後彼ら家族と僕たち夫婦とで以前に紹介した渋谷のアニキ分のビストロで夕飯。 めっちゃ楽しかった! (飯森範親さんのブログにも載ってます!。)
明日からまた勉強モード。 まずは22日の関西フィルブラスのコンサートがおすすめです。 とにかく楽しんでもらえるコンサート! 皆さんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2008/04/09 今日で3日間続いた関西フィルのオーディションは終わり。 来週は去年から始めた 「関西フィル・ブラス・セクション」 のリハーサルが始まる。 去年 関西フィルのブラスセクション が自発的に始めたこのシリーズ、後半のメイン曲は僕が指揮する。 去年はトランペットの川上さん (関西フィル用に沢山の曲を編曲してくれてる名アレンジャー) の極上の編曲で 「動物の謝肉祭」 だったけど今年も川上さんの編曲で プロコフィエフ の 「ロメオとジュリエット」 。
関西フィルのブラスはチームワークが素晴らしく去年もその良さが前面に出て最高に楽しかったしチケットも完売した。今年も沢山のお客様に聴いて欲しいし僕自身もすごく楽しみだ。 そして何よりこういうコンサートは普段の関西フィルの演奏会のモチベーションやレヴェルアップにもつながる。素晴らしいね。 是非4月22日のコンサートお待ちしてます! PS 今日はカミさんとの19回目の結婚記念日。 残念ながら大阪と東京で離れてちょっと申し訳ない気持ち。俺は見ての通りの男で、カミさんにしてみりゃ 「忍耐」 の連続だったと思って心から感謝してる。この先逃げられないように頑張りますわ。 藤岡 幸夫 |
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2008/04/07 関西も桜が綺麗だね。今年は東京と関西の桜満開を楽しめて本当に嬉しい。 昨日は関西の仲間とバーベキューしてめっちゃ楽しかった。珍しく昼間からちょっと飲み過ぎたかな。 今日は午前中オーディションが終わった後に、 事務局長の西濱君と常任指揮者の飯守先生と会食を兼ねて話し合い。とても大切な時間だ。 今はホテルの部屋に戻って久しぶりの雨を楽しみながら楽譜を読んでる。 マンチェスターで音大生だった頃はしょっちゅう雨で、でもその雨のおかげで勉強に集中できた。 あの頃をちょっと思い出した・・・。 藤岡 幸夫 |
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2008/04/04 明日は関西フィル練習場のオークホールでお馴染みのコミュニティコンサートでの ハイドン シリーズ。 明日は交響曲92番「オクスフォード」を取り上げる。 僕はモーツァルトやベートーヴェンで古楽器アプローチはしないが、ハイドンでは古楽器のアプローチを取り入れる。 これは指揮者によって考え方が違うことだけど (当たり前のことで、だから面白い) 僕はベートーヴェンは常に新しい楽器を求めていたし、その音楽は当時の楽器の響きを超越した世界だったと思う。 またモーツァルトの音楽の本質は歌であると思っている。それに対して、ハイドンは当時のオーケストラの響きで音楽を作曲していたと思ってる。 関西フィルとは古楽器的な響きをミックスさせた独自のスタイルを目指して演奏してきた。 この ハイドン シリーズは9年前から始めて14回目、その他のコンサートでも ハイドン を取り上げて来たから、リハーサル初日からいい感じで仕上がってきてるので明日が楽しみだ。 明日取り上げる92番は統一感に欠けるが、閃きに満ちた楽しい作品。この曲のいろいろな味が伝わる演奏にしたい。 リハーサル後は夕飯にラーメンを食べてしまったので散歩がてら夕方から独りで夙川に花見に行ってきた。 飲み会をしてる若者の多さにびっくり。 若い学生の男女が騒いで飲んでる横で、女子だけで淑やかに飲む女子大生グループ・・・・・・。 なかなか面白かった(一体何を見てきたんだ?)
今は部屋に戻って阪神対巨人戦を観てる。もちろんタイガースを応援してる。 安藤が三振をとって思わず声をあげてしまう…。 俺も変わったもんだ。 それではみなさんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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2008/04/03 「オーケストラの日」 去年から3月31日は全国的に 「オーケストラの日」 各地で演奏会やイベントが行われてる。素晴らしいことだと思う。 関西フィルも前日東京公演で31日当日に大阪に帰って来たにも関わらず、 団員が全員参加でファンのかた達との楽しいイベントを行った (もちろん僕も参加した) 。 前半は関西フィルのプレーヤーと司会によるアンサンブルコンサートで 後半はファンのかた達と交流パーティー。 素敵だったのはプレーヤーさんたちの普段の趣味の絵や陶芸他の作品が展示されたこと。 僕も全然知らなくて感動した! (イベントレポートに写真がでてます) 。 それからトロンボーンの平野さんが鳥骨鶏を持って来て大騒ぎ、 それと、プレーヤーによるオカリナ五重奏にみんなが笑顔。プレーヤー達の小学生のような真剣な顔つきに僕もめっちゃ癒されたし楽しかった! 関西フィルはみんな明るい! それではみなさんコンサートでお会いしましょう! 藤岡 幸夫 |
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