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藤岡幸夫お気に入りアルバム

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2015/12/31

年末年始は片付けをしながらオペラを楽しむ。ナクソス島のアリアドネは大好きな作品でRシュトラウスの最高傑作のひとつ。室内楽的な凄い緻密さと品格高い美しさに心奪われる。そしてとっても幸せな気持ちにります。スペインで指揮したのが懐かしい…

これは学生時代レーザーディスクで良く観たのがdvdになったものでメトロポリタン歌劇場でレヴァイン指揮のジェシー・ノーマンやキャサリン・バトル他80年代のスーパースターがキャスト。冒頭のリハーサル風景も面白い。



こちらは2009年にスペイン オヴィエド歌劇場で指揮したYouTube映像です。舞台映像の一部をご覧いただけます(約3分半)


※藤岡さんはオーケストラピットなので映像には出ていません。
YouTubeへのリンクはこちら

2015/12/18

<映画編>

X'masに必ず観る心温まる大好きな映画2本。「めぐり逢い」はケリー・グラント主演 「素晴らしき哉、人生」はジェームス・スチュワート主演。どちらも同名タイトルでリメイク版もあるので要注意です。





<管理人より>
こちらもご覧下さい。
クリスマス・プレゼント 2010/12/24付From Sachio
フェルメールの「牛乳を注ぐ女」の想い出の話 2010/12/13付From Sachio
2015/12/6

ラヴェル「ボレロ」
アバド/ロンドン交響楽団


吉松隆 「交響曲4番」「トロンボーン協奏曲」「アトムハーツ」組曲



僕がデビューしたての頃英国で初めてボレロを振った時に、リハーサルでクライマックスの最後の最後で団員さん達が奇声をあげてびっくりさせられ、それがイギリス独自の伝統と初めて知った。本番では更に凄い奇声を上げながら凄い盛り上がりだった。いやはや…

この英国独自のスタイルをそのまま録音しているのがアバドとロンドン交響楽団。最後の団員さん達の叫び声(もちろん管楽器以外)凄いです。


奇声といえば僕がBBCフィルと吉松隆さんの交響曲4番のカップリングで弦楽オーケストラ曲のアトムハーツクラブ組曲を録音したときに、オケが凄いノリノリで最後に突然奇声をあげはじめて結局その叫び声が入ったテイクが収められてる。


英国人というと日本では紳士的なイメージがあるが、僕は15年住んでいたが、サッカーの荒っぽい応援でも有名なように英国人はかなり血の気が多く、よく羽目を外して騒ぐ。例えばドイツ人の方がずっと冷静で礼儀正しく感じる。


話は変わるが、この吉松隆さんの交響曲4番は吉松さんにしては珍しく室内的な素敵な交響曲にも関わらず、オーケストラは16型倍管を用意してくれていて、セッション当日吉松さんとびっくり。結局トロンボーン協奏曲だけ大編成で収録。この時のソロ・トロンボーンはウィーンフィル首席のバースフィールドだった。

2015/12/5

〜ホロヴィッツ/ショパン名演集〜

ホテルの部屋で一杯やりながら久しぶりに聴くお気に入りのホロヴィッツのショパン名演集…たまらん…!



2015/11/22

〜British Music : Collector'S Edition [24Cd Box-Set] 〜
CHARLES GROVES (指揮)

僕の英国での師匠の名指揮者サー・チャールズ・グローヴスの英国音楽集。
サー・チャールズの十八番だったディーリアスの作品をはじめ日本では知られていない名曲の数々が宝箱のように収められた24枚組CDbox。



こちらもご覧ください。
「英国名指揮者サー・チャールズ・グローヴスとの思い出」の話
 2015/11/18付From Sachio
2015/11/21

〜リスト:巡礼の年(全曲) 〜
フランツ・リスト (作曲), ラザール・ベルマン (演奏)

生き抜きに高校時代から愛聴しているベルマンの弾くリストの巡礼の年を楽しむ。リストは若い頃は派手で愛人も沢山いたが後年僧院に入り音楽活動の傍ら神に仕えいつも黒い僧服を身にまとうようになる…でも女性関係は盛んだった…そんなリストが好き。

2015/11/15

〜メンデルスゾーン:「イタリア」&「宗教改革」 〜
シャルル・ミュンシュ指揮、ボストン交響楽団

英国プログラムが続いたのでマンチェスターで室内オケのシェフをしていた頃が懐かしくなり、一杯やりながらあの頃良く取り上げたメンデルスゾーンを楽しむ。宗教改革は日本では取り上げていないが隠れた傑作。ミュンシュは中学からの愛聴盤です…!

2015/11/12

〜ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲、夜想曲、交響詩<海>、イベリア 〜
指揮: ブーレーズ(ピエール)、演奏: クリーヴランド管弦楽団

積極的に取り上げる訳ではないがスコアを読んだりCDを聴いたりするのが好きな作曲家がドビュッシー…。ブレーズ&クリーヴランド菅のこのアルバムは僕の大好きなミュンシュと対極にあるが、その精緻な美しさは鳥肌がたつ程で僕の愛聴盤なのです…。


2015/11/9

〜グレン・グールド / バード&ギボンズ:作品集〜

今朝はこれに癒される。グールドのバード&ギボンズ作品集。グールドの力の抜けたピアノで楽しむ16世紀の雅な美しい作品。昨日初めて行ったタワーレコード新宿店で見つけて大正解。リラックスできる朝の愛聴盤になりそう…。


2015/10/18

〜グレン・グールド / バッハ:パルティータ全曲〜

今日は東京都交響楽団とのリハーサルだった。明日と21日の本番が楽しみ!
早めの夕方から久しぶりにのんびり。
実家の仕事部屋でデビュー前時代に愛聴していたグールドのバッハのパルティータを楽しんでる。改めて…グールド素晴らしい…。


2015/10/14

〜辰巳美納子 / J. S. バッハ:半音階的幻想曲とフーガ/イタリア協奏曲2012〜

今朝はこれまで何度も取り上げてきてる運命のスコアに浸ってる。田園の前はワクワクするが運命の前は食欲が無くなり指揮台では精力吸いとられる。チェンバロの辰巳美納子さんのバッハを聴いてちょっと一息…素晴らしいパフォーマンスで癒されます。



(2015/10/21付)
今朝は先日紹介した辰巳美納子(チェンバロ)さんのバッハ作品集に癒されてる。立体的な構築が見事に美しく規律正しい品格の高い素晴らしい演奏で聴きいってしまう。それにしてもバッハは偉大です…
2015/10/8

〜CANT GREGORIANO〜

今日は久しぶりに終日スコアに浸れて嬉しい…。息抜きに大好きなグレゴリオ聖歌のCDに癒される。デビュー以来最もよく聴くアルバムのひとつ。心が洗われます

2015/9/26

〜Fourplay / Silver〜

今日は東京に戻って金木犀の薫りを楽しみながら一杯…疲れた脳ミソをほぐしてくれるのが僕の大好きなFOURPLAYのこの極上の一枚…たまらん…


2015/8/17

〜松岡直也 / Fall On The Avenue~見知らぬ街で 〜

お盆休みに30年以上前に良く聴いた松岡直也さんのLPを引っ張り出して久しぶりに楽しむ。夏の香りのするフュージョンが気持ち良く懐かしいけど新鮮。思わずハイレゾで松岡直也さんのベストをダウンロードしてしまった。


2015/7/31

〜アル・ジャロウ / L・イズ・フォー・ラヴァー 〜

昔から好きだったアル・ジャロウのアルバム「L・イズ・フォー・ラヴァー」を衝動買いして楽しんでる。改めてスゲェフュージョンミュージシャンだと感動。
仕事を忘れる時のドライブに最高で、とにかく洗練されててセクシーなサウンドが気持ちいい。


2015/7/29

〜大木和音 / 『三美神』 J-Ph.ラモー/P.ロワイエ/J.デュフリ クラヴサン作品集〜

このところ毎朝聴いてるお気に入りのCD。先日disc union で見つけた大木和音さんのクラヴサン作品集「三美神」。ラモー、ロワイエ、デュフリ他聴いてて飽きないし癒される…大木さんはこのCDで初めて知ったけど情熱的で繊細。素敵です。


2015/5/29発売 e-onkyo music

2007年11月

〜トスカニーニ指揮/ヴェルディ:歌劇「椿姫」(全曲)/NBC交響楽団〜

さて今月の一枚は僕にとって指揮者のきっかけを与えてくれた一枚です。

僕は小さいころから寝る前に、ピアノが上手だったお袋がいつもクラシックをかけてくれた。妹二人と三人で毎晩、川の字になってクラシックを聴きながら寝てた。

幼稚園に入る頃の僕のお気に入りは「椿姫」の前奏曲で、小学校に入ってから歌劇「椿姫」のハイライト盤を買ってもらって毎晩聴いていた。そのうち妹二人と三人で耳で覚えたイタリア語で合唱しながら寝てた(もちろん聞こえたままに歌ってるからめちゃくちゃだ)。

小学校3年の終わりごろに、話の筋も完璧にわかっていたのでどうしても全曲を聴きたくなって、自分のお小遣いで買った(古い録音でモノラルだったから安くて買えた)のがこのトスカニーニの「椿姫」だった。この演奏を聴いたときのショックは本当に凄かった! とにかく今まで聴きなれていたメロディが全く違って生き物のように聴こえ、凄く情熱的で聴いてる僕のカラダが熱くなったのをよく覚えてる。

お袋に何でこんなに演奏が違うのかと聞いたところ、指揮者が違うからだと教えてくれた。それから指揮者に憧れはじめたわけだ。
ピアノは習っていたけど、トスカニーニがチェロ奏者だったことを知ってチェロも始めた(たまたま、祖父もオヤジもアマチュァでチェロを弾いていた)。

トスカニーニの演奏は今聴くとちょっと早すぎるところもあるけど、とにかく強烈だ。音楽に血が通ってるとはこういう演奏のことを言うのだと思う。

とにかく僕は小学生の頃は椿姫にまるで恋をしてるように毎日この演奏を聴き続けていた。ヴィオレッタ(椿姫)が可哀想でしょうがなかったし、アルフレード(恋人)の情けなさに頭がきてたし、ジェルモン(アルフレードの父)はなんていい人なんだろう!と子供心に感激してた。

そんな僕を見かねた両親が日本に来日したイタリア歌劇団の「椿姫」に連れて行ってくれた。妹二人を家に置いて三人で出かけるなんて初めてだったし、なんといっても生のオペラを見れることが大興奮だった。 いよいよコンサート当日、生のオーケストラが奏でる前奏曲に心が振るえ、幕が上がってヴィオレッタの登場前はもう心臓がはちきれそうだった。

そしてヴィオレッタの登場・・・・・もの凄い大ショック・・・僕がイメージしてた美しい女性とは違い、小学生の目にはただの太ったおばちゃんだった・・・

僕は上演中にお袋やオヤジに「なんであの人がヴィオレッタなの?」 「なんであんなに太ってるの?」と最後まで聞き続けたらしい・・

実際僕はヴィオレッタが登場した後のことは全く覚えてない。

話はそれてしまったが、今でもトスカニーニの演奏はどれも強烈で新鮮です。是非聴いて見てください!


発売:1999/05/21  BMGJAPAN



〜 グローヴァー・ワシントンJr.  「ワイン・ライト」 〜 (1980)

以前にも書いたけど、僕は高校2年までは指揮者の夢へまっしぐらで勉強していてクラシック以外の音楽は一切うけつけなかった。でも彼女ができて一気に変わった。彼女が大好きだったオフ・コースを聞くようになり、ディスコにまでハマッてしまった。クラシックしか知らなかった僕にとって全ての音楽が新鮮だったし、魅力的だった。

大学に進学する直前に早々と免許を取った親友から「夜ドラしようぜ」と誘われた。
その頃の僕は「こんな俺が指揮者になんかなれるわけない」と指揮者の夢を諦めるために必死に遊びはじめていた。(ちなみに僕は中学から大学まで一貫教育だったから受験は無かった)。

「夜ドラ」なんて初めてで横浜に住むその親友が夜の「港の見える丘公園」や首都高速を走らせてくれた。家族や親戚の人以外の運転でドライヴなんて初めてだったので、助手席の僕はめっちゃロマンティック(隣にいるのは親友の男なのに)で心が躍った。

いつか僕も彼女と「夜ドラ」をしたいと心底思った。

そのとき親友がかけてくれたのが、この「ワイン・ライト」だ。

このときフュージョンというジャンルの音楽を初めて聴いた。セクシーに歌うSAXがドライブを最高に演出してくれる。とにかくアレンジのセンスも抜群で何度聴いても飽きなかった。僕の青春時代に最も聴いたアルバムの一つです。

今聴いても新鮮。とにかく80年代の音楽って今でも聴いてて古臭さを感じないものが多い。


発売:2007/07/25 ワーナー・ミュージック

2007年10月

〜ベートーヴェン:弦楽四重奏第12番、第14番/スメタナ四重奏団〜 (1970・71)

僕は95年にマンチェスター・カメラータ(室内管弦楽団)の首席指揮者に就任した当時、僕もいわゆる古楽器アプローチの強烈な洗礼を受けた一人で、 またカメラータのプレーヤーも僕が就任する以前からバロックの演奏にもたけていてみんな古楽器奏法を身につけていた。
カメラータとの演奏活動はベートーヴェンを軸にしていたが、就任当時から積極的に古楽器奏法を取り入れ、対向配置(第二ヴァイオリンは右側)で、 奏法やフレージングももちろん古楽器奏法を身につけてるプレーヤー達と話し合いながら独自のスタイルを目指し、ティンパニや金管楽器も古楽器を 使用するようになって・・僕は行き詰まった・・・。だったら古楽器オーケストラを指揮すればいい・・。 もう一度ベートーヴェンを勉強しなおした。

楽譜だけでなく伝記も勉強しなおした。
若い頃のベートーヴェンは実はすごく恋多きプレイボーイですごくお洒落だったことや、二人の女性の間に一人ずつ隠し子がいたことはほぼ間違いないこと。 たくさんの女中さんを何人もクビにしたのは女中さんが政府のスパイだと知ったから・・・・etc。
ベートーヴェンは多大な借金を残して亡くなったが、その借金が自分の子供の母親たちへの援助のためといわれ、 また死後に出てきた「不滅の恋人」への手紙の真相など・・・
僕のベートーヴェン像は一変した。

そんなとき出会ったのがこのスメタナ四重奏団のベートーヴェンだ。 それはクラシックのフォルムを美しく守りながらも、 まるで4人が一つの楽器のように素晴らしいバランスと息使いで演奏され、各声部が見事に呼応しあい、すごく新鮮で生き生きとした情熱的でありながら 美しいベートーヴェンの音楽だった。それは一人の生身の人間ベートーヴェンを表現した、古楽器云々とは全く無縁の普遍的な演奏だと感じた。

まさに目から鱗で、以後僕はベートーヴェンの音楽を指揮する上でこのスメタナ四重奏団の影響を大きく受けて今日に至ってる。

スメタナのベートーヴェンは全て素晴らしいが、特に僕のお気に入りは70年初めに録音された
このEs dur(変ホ長調)の12番だ。
第九の完成前に作曲が始められ、第九初演後に完成されたこの12番は、ベートーヴェンが数々の苦難を乗り越えながらも到達した境地だ。 自信に溢れる一方で本当に深く、温かくて優しい。そしてスメタナ四重奏団が奏でる2楽章の美しさよ!

余談になるが、僕は今ではCDを聴く時間はほとんどないし、オーディオマニアでも何でもない。たまにCDを鑑賞するときは未だに20年前の 普通のオーディオを使ってるが、このスメタナ四重奏団の時だけはCDではなくて古いLPで聴いている。LPの方が音が柔らかく深いからだ・・。 (もちろんCDでも充分素晴らしい音質ですよ)。

実は僕のベートーヴェン観に大きな影響を与えたもう一人のアーティスト(ピアニスト)がいます。その話は次回しましょう。

それでは興味のある方は是非聴いてみてください!


発売:2006/6/21 日本コロムビア



 〜  Kind of Blue / マイルス・デイヴィス 〜  (1959)

僕の留学時代、僕と同じフラット(大きな一軒家をアパートに改造したもの)の僕の隣の部屋に同じ指揮科の一年先輩(年は僕が上)のポールが住んでいた。

音楽大学の指揮科は各学年に一人しか入学できないので僕とポールはすごく仲が良かった。

しょっちゅうお互いの部屋に遊びに行って音楽について論じ合ういいライヴァルだった。
彼はJAZZの大ファンでこれは彼が僕に最初に薦めてくれた一枚。 JAZZのスタンダードな名作だ。今でも僕はこのアルバムが大好きで、たまに夜眠れないときなどウィスキー片手にマイルスの音色に浸る。

昔ポールとこのアルバムを聴きながらワインをがぶ飲みして、いろんな話に熱中した頃が懐かしい。

今ポールはベルギーの歌劇場で指揮者をやってる・・。
彼に久しぶりに会いたくなった・・


発売:2005/7/20 ソニーミュージックエンタテイメント
2007年9月

〜 カラヤン ベルリンフィル ヴェルディ 「ドン・カルロ」 〜  (1978)

さてさて、僕は中学生の頃はクラシック以外は音楽じゃないと信じてた音楽小僧で、指揮者もカラヤンなんてミーハーと決め付けて一切LPを買わなかった。

高校一年の頃だったと思う。カラヤン指揮、ヴェルディ「ドン・カルロ」の新譜がでることになる。
僕はトスカニーニ指揮のヴェルディ「椿姫」を聴いて指揮者になりたいと思ってからは大のヴェルディ信者で、まだ聴いたことの無かったこの「ドン・カルロ」を是非聴きたかったし、当時のスーパースターたちの(カレラス、フレーニ、ギャウロフ、カップチルリ、グルベーローヴァ、ファン・ダム、バーバラ・ヘンドリックス、バルツァ)あり得ないほど豪華な顔ぶれに魅せられてアンチ・カラヤンだったにもかかわらずこのLPを買ってしまった。

「ドン・カルロ」という作品のスケールの大きいドラマティックな音楽、豪華歌手陣による素晴らしい歌唱にすごい感動したのはもちろんのことだが、何より当時16歳だった僕はカラヤンの指揮に圧倒されてしまった。冒頭からテンポ、ダイナミックスを最大限に使って時にはたたみかけてくる劇的な演奏にひっくり返りそうになりながら夢中で聴いたのをよく覚えてる。そして何より音楽全体が歌ってる・・。

それまで勝手に抱いていたステレオ・タイプのミーハー指揮者カラヤンのイメージは吹っ飛んだ。

この「ドン・カルロ」は今でも2年に一度くらいに必ず聴きたくなる。

カラヤンのレコーディングはその数も多い分、あたりはずれがたくさんあるけど、素晴らしい時のカラヤンはもう他の指揮者じゃ絶対あり得ないくらい凄い。これもその一つだ。

これは僕がデヴューしてから気がついたことだけど(多分プロの音楽家でなければ気がつきにくい)とにかくテンポの微妙な変化が激しい。交響曲の一小節の中でテンポが違う事もしょっちゅうある。ただしそれは聴く人には全く気がつかれないくらい(オケのプレーヤーですら気がつかないことが多いと思う)自然に行う。それは音楽の重力(音楽の重力の話はいつかします)を使った自然なことで、それによって音楽はよりあるべき姿として生き生きとしてくる訳だ。

カラヤンの最後の日本公演のライブに行ったが凄まじい演奏で、またすごい後光が差しててそのオーラにびっくりした。でもよく見たらカラヤンの背中に専用のスポットライトが当たってて、内心ほっとした。それは余談だが基本的にカラヤンは本当はライブの指揮者だと思ってる。

是非聴いてみてください!


発売:1997/6/18 EMIクラシックス



〜 We Live Here 〜  (1995)

僕は運転中には絶対クラシックは聴かない。絶対運転を忘れてしまうからだ。特にイギリスではコンサート会場の往復200キロなんてしょっちゅうだったのでいろんな音楽をよく聴いたもんだ(日本では電車の本数がたくさんあるので運転はほとんどしませんが)。だからおまけの一枚はクラシック以外で主に運転するときに聴くお気に入りを紹介してます。

今回はパットメセニー・グループ(Pat Metheny Group)の「WE LIVE HERE」。
いわゆるフュージョンで、イギリスのタワーレコードで衝動買いして以来運転するときによく聴いた。パットのセンスは抜群で、各楽器がよく歌い色彩豊かで飽きない。 夜のドライブには最高で気持ちいい一枚です。


発売:1995/1/21 ユニバーサルインターナショナル
2007年8月

〜小澤 征爾 パリ管弦楽団 チャイコフスキー 交響曲第4番〜 (1970)

先日CDショップですごく懐かしいジャケットを見つけた。それが今回紹介する一枚です。

僕は小学校3年でトスカニーニの「椿姫」に強烈に感動して指揮者になる夢を見始めた。
以来、おこずかいを貯めてはトスカニーニのLPを片っ端から買い集めた。
アマチュアでチェロを弾いていた祖父と父がたくさんのスコアを持っていたから、当時僕はスコア片手にトスカニーニの演奏に心躍らす「ませたガキ」だったわけだ。

小学校5年か6年のはじめに、トスカニーニのチャイコフスキーの「悲愴」に感動した僕は他のチャイコフスキーの交響曲を聴きたくなって(トスカニーニは4番、5番は録音してない)、レコード屋で出会ったのがこの小澤さんのLPだった。 

このジャケットを見た瞬間そのカッコよさに雷に打たれたようになった。 
小澤征爾という指揮者の存在を知った瞬間でもあった。
小澤さんが私服で外国のオケの指揮台に立つ録音風景、大きなローマ字の「Seiji Ozawa」というロゴが小学生の僕のハートをワシ掴みにした。

そしてレコードに針を下ろした瞬間に鳴り響いた金管の強烈なファンファーレ!!
一気にこのシンフォニーの世界に引きずり込まれたのを良く覚えてる。
チャイコフスキーの4番との出会いだった。

この録音はしばらくCDにならなかったようで、先日CDショップでこのジャケットを25年以上ぶりに目にしたとき、「指揮者になりたい!!」と朝から晩まで夢見てた自分の少年時代を思い出してすごく懐かしかった。


発売:2003/2/26 EMIクラシックス



〜 ジプシー・キングス 〜  (1988)

さて 僕が夏になると必ず聴くのが、ジプシー・キングスを一躍有名にした傑作アルバム。

とにかくこれを聴いてると、スモッグで霞む東京の夏空が、まるで地中海のような真っ青な明るい青空に見えてしまう! アコースティック・ギターの響きが最高にカッコいい。 

フランク・シナトラで有名な「マイ・ウェイ」が収録されてるが、僕は数あるマイウェイの中でこのマイ・ウェイが一番好き。

サマー・シーズンのドライブに絶対お薦めの一枚です。


発売:1995/11/22 ソニーミュージックエンタテイメント
2007年7月

〜ホロヴィッツ ラストレコーディング〜 (1990)

さてさて 「今月の一枚」 シリーズの最初の一枚目は僕がおそらくこれまでに最もよく聴いてるクラシックのアルバムを紹介します。

往年の大ピアニスト、ホロヴィッツが最後にレコーディングしたアルバムでホロヴィッツが晩年に自宅のピアノで気が向いたときに好きな曲を録音したと言われる名盤です。

このアルバムをはじめて聴いたのはヨーロッパに留学する直前で以来今でも常に持ち歩いているくらいの僕の愛聴盤です。

その演奏は決して技術的には完璧ではないけれどまるで最高級のブレンデッドウィスキーのように味わい深く彼が死ぬまで少年のように音楽を愛してることが感動的に伝わってくる演奏です。
一人の偉大な音楽家が達した境地でもあり、聴くたびに僕自身いつも大きな刺激を受けます。

僕が特に好きなのは”ハイドンのソナタ”と”ショパンのノクターン”だけど本当にどの曲も心に染みわたる演奏です。

決してクラシック初心者向けのアルバムではありませんが是非聴いてみてください。


発売:2004/11/17 ソニーミュージックエンタテイメント



〜Melodies〜  (1983)

こちらはJPOPの山下達郎 の不朽の名作「Melodies」。

アレンジの音の濃密さ、メロディライン、歌詞どれをとっても最高の芸術的な一枚。

このアルバムが発売されたころ、僕は大学生で指揮者の夢をあきらめて 毎日のようにヨットとウィンドサーフィンで湘南に通ってた。

今でもこのアルバムを聴くと、指揮者の夢をあきらめようと必死に遊んでた 僕の人生で一番長い夏休みを色鮮やかに思い出します。

20年以上経った今でも、このアルバムの音楽は新鮮で艶っぽい。
この夏、山下達郎を知らない若者達にも是非聴いて欲しい一枚です。


発売:1999/06/02 ムーンレコード

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