藤岡さんから、2005年の8通
目のお手紙が届きました。
東京シティフィルとのティアラ江東定期演奏会、アンサンブル金沢と初共演、関西フィルとの定期と充実したコンサートのご報告です。
今回の写真はウィーンフィルのメンバーと。ケータイで撮影されているので拡大写真もちょっと小さめですがお許し下さいませ。
皆様のご感想のメールもお待ちしています。

 みなさんこんにちは。
九月下旬から忙しかったけど、やっと今一息ついてます。

 今月はまず東京シティフィルとのティアラ江東定期。
とっても素敵なオーケストラでした。またオケが本拠地とするティアラ江東は本当に素晴らしいコンサートホール。音響もよく響くし、美しく、サイズも1,300席とオーケストラの生の醍醐味を味わうのに最高。
 ここでリハーサルを2日してそのまま本番を迎えられるので、海外のオーケストラのように音創りができて理想的(東京オペラシティの定期など他のコンサートの時でもできる限りここで練習できる)。
江東区の人口は40万人。シティフィルはお客さんを巻き込む熱いハートのあるオケなのでこのホールをベースに素晴らしい未来が開ける可能性をすごく感じた。
 また錦糸町のトリフォニーからタクシーで数分の距離なので、この地区の人たちは性格の違う二つのオーケストラとホールを身近に楽しめることになる。どんどんクラッシクファンを増やして欲しい。

 次の日は僕とはとても縁のある(何故かは後で書きます)金沢へ移動。アンサンブル金沢と初共演。弦楽器が8・6・4・4・2で、僕が首席をしていたマンチェスター・カメラータと全く同じ型。このサイズのオケを振るのは久しぶりですごく懐かしかった。
 とにかく噂通りの素晴らしい室内オケだ。人数が少ないから当然各プレーヤーには高い技術と音量が要求されて、出てくる音はすごく生きた音となる。その生きた音楽は決して大編成オケの音量に負けない。
  そして県立音楽堂の素晴らしさにはもう唖然。ホールの美しさや音響の素晴らしさだけでなくその施設、運営方法など最高の環境が整ってる。ここで年間たくさんのコンサート(リハーサルも全てここ)が行われたくさんのお客さんが集まる。また今回コンサートに行った福井県あわら、石川県七尾の両日とも満席。金沢だけでなくその周辺の街にもオケの存在が定着してるようだ。金沢にこれだけのオーケストラとホールをつくった岩城宏之先生とスタッフの方達の凄さに、心底、感銘を受けた。アンサンブル金沢とは来年1月にまた共演するので楽しみ!ありがとうございました。

 金沢から大阪へ戻って関西フィルとの定期。今回はウィーンフィルのトップ奏者(弦楽器5人)たちとの共演。後半のブラームスの1番ではオケ中で弦楽器の各セクションのトップを弾いてもらった。とにかくリハーサルから最高に楽しかった!そしてすごい勉強になった。息の深さ、フレージング、ボーイングetc etc・・・・・。
 リハーサル初日から彼らも(超ハード日程にも関わらず)凄く高いテンションでオケをリードする。ウィーンフィルのメンバーが5人加わっただけで音楽にいつもにはない香りがしてくる。そして何より彼らは本当に音楽を愛していて性格も明るい!それがそのまま音に現われる。関西フィルも本当に素晴らしかった。リハーサル初日からどんどん音が変わっていく。 

 本番前夜、デヴュー以来はじめてコンサートが楽しみで眠れなかった。今まで緊張したり心配だったりで眠れなかったことはあるけどこんなことは初めて。まるで子供の遠足の前の日のよう。
 コンサート当日は補助席まで出て満席。後半、ブラームスで1楽章が終わり(ベートーヴェンのピアノ協奏曲でもみられるこのハ短調ーホ長調の調性感は僕は大好き。)2楽章のEdurのコードが響いた瞬間その深く優しい関西フィルサウンドに振ってる僕が心を奪われてしまった。リハーサル中から深みのあるドルチェをテーマに音創りをしてきたけど、こんなにも優しく美しい響きはいくらウイーンフィルのメンバーがトップに座ってるからといってそう簡単に奏でられるものではない(プレーヤー各自の意識が高いからこそ可能になる)。関西フィルを本当に誇りに思った。ウィーンフィルのメンバーとの共演は言葉では上手く説明できない「音楽にとってとても大切な何か」を我々に残してくれたと思う。それはかけがえのない財産だ。ウィーンフィルの皆さん、そして関西フィルの皆さん、本当にありがとうございました。

 さて、来月はじめは関西フィルと早々と第九。香川の第九は2年振り。前にも書いたけど四国だけでなく全国各地から香川に集まる大合唱団でレヴェルも高い。中・高生が歌うのも魅力的(更に打ち上げも超豪華で2次会は温泉に移動して宿泊する)。楽しみにしてます!

それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!!

2005年10月27日





スコンサート後に飲みに行く。左がウィーンフィルコンサートマスターのヒンクさん。右が首席チェロのドレシャルさん。それにヴィオラのオクセンホファーさんは僕が中学生のころ見たカラヤンやベームの映像の時から見知っていたのでこうして日本で一緒に音楽できなんて・・・・!!。
 
左がヴィオラのオクセンホファーさんで右がドレシャルさん。このときは飲みながらモーツァルト談義に花が咲く。彼ら曰く古楽器アプローチはナンセンスだそうだ。彼らにとってモーツアルトの音楽はオペラが原点。色々な話が聞けて面白かった。
 
左がベースのブラデラーさん、右がピアノ協奏曲を弾いたスタンチュールさん(素晴らしいタッチの持ち主だった)。この5人は前日のリハーサル後に京都で室内楽のコンサートもこなしてきた。とにかく超過密スケジュールなのにみんな文句ひとつ言わずに元気で明るい! それに皆さん素晴らしい人柄。本当の一流はお高くとまらないものだと実感させられる。
 
仲良しになった和樹・へーデンボルグ夫妻。 とにかく彼のような団員がウィーンフィルにいるのは嬉しくなる。彼の趣味は自転車に最近始めたトロンボーン!トロンボーンの先生はウィーンフィル首席のイアン・バウスフィールド!(僕は彼とは吉松さんのトロンボーン協奏曲のCD録音してる)。 毎朝ヴァイオリンケースを開けてマウスピースを取り出し、口に当てて音だししてるというからみんな大笑い。彼は素晴らしい音楽家というだけでなくスター性もあるしもっと日本で知られて欲しい。ナイスガイです。
PS1 金沢は藤岡家の発祥の地だ。僕の孫祖父が藤岡作太郎(東圃)という日本を代表する国文学者で金沢偉人5人の一人。夏目漱石の親友でもあり(東京の実家には漱石の自筆の手紙がたくさんあって便箋の色はショッキング・ピンク!!)記念館も見てきた。そして7年前にFM放送を車で聴いて僕のファンになってくれて、僕のホーム・ページを立ち上げてくれた管理人の布見夫妻も偶然金沢出身なのだ(いつも本当にありがとうございます!)。芸術の香りのする素敵な街でした!!

PS2 今回第2ヴァイオリンの首席(本当は第1ヴァイオリン奏者)をしてくれた和樹・へーデンボルグ君はウィーンフィルで二人しかいない日系人の一人。お母様が日本人で日本語完璧。コンサート後は奥様(彼女はウィーン国立歌劇場合唱団の二人しかいない日本人正式女性合唱団員の一人!)と夜中まで飲んでメチャ楽しかった。彼はソロも素晴らしいと聞いてるので必ず日本で共演すると約束して別れを惜しんだ。

PS3 東京の家の近くに最近突然温泉が沸いて温泉浴場ができた。これが最高!!素晴らしい浴場施設に加えてマッサージやお洒落な和風レストランなどさながら高級旅館。毎日のように自転車で通ってしまった。

PS4 去年はずっと海外で仕事だったので全然見れなかったので楽しみにしていた日本シリーズ。あっけなかった・・・・・。セリーグにはプレーオフが無い、それが全てを物語ってたと思う。人間って精神面の影響力がいかに強いかだ。必死でプレーオフで勝ち抜いてきたロッテのテンションの高さと集中力に早くから優勝を決めていた阪神の精神力がついていけなかったんだと思う。

PS5 9月中旬から僕の大好きなアーティストの新譜が4枚でた。サザン、達郎、永ちゃん、それにクラプトン。今週はやっとオフなのでこれから買いに行きます。
 

※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
 
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