藤岡さんから、2005年の2通目のお手紙が届きました。
今回は、飯守泰次郎先生とのツーショット写真付きです。是非、お楽しみ下さい。
皆様のご感想のメールもお待ちしています。

 皆さんこんにちは。

今月末は25日に定期公演の後、27日同じプログラムで東京公演です。関西フィルとは初めての東京公演、すごく楽しみにしてます。

プログラムは前半がムソルグスキーの前奏曲「モスクワ川の夜明け」、ショスタコーヴィッチの交響曲9番。
後半が僕の大好きな飯守泰次郎先生の指揮でドヴォルザークの7番。
飯守先生とコンサートを振り分けるのは関西で以前にも何度かやってるけど東京では勿論初めて。


ところで僕が振るショスタコーヴィッチの9番は本当にすげぇ曲だ。第二次大戦直後、ベートーヴェンの第九のような記念碑的な作品を共産党当局は期待していた。ところがショスタコーヴィッチが書いた9番はスターリンを思いっきりバカにしたものだ。

形式的にも管弦楽的にも見事にコンパクトにまとめられた室内楽的な高質な交響曲と一般的に評価されてるがその本質は作曲者が命をかけてるといっても過言ではないと僕は思ってる。 

飯守先生と。
3日間のリハーサルは毎日前半が僕で後半は先生が練習する。とにかく先生の練習は楽しくて熱い。本番がすごく楽しみ。ちなみにお話してても本当に楽しいし勉強になる。皆さんお待ちしてます!

 

ハイドン風に始まる一楽章のピッコロで始る☆軽い第二主題は、☆まるで☆戦勝気分の共産党当局をばかにしてるようにさえ感じる。2楽章は悲しいワルツ。メトロノームのテンポ表示は意外なほど早い。これは僕の推測だけどこの楽章の本質を隠すためかと思うほど。この楽章は悲しみ、恐怖、叫び。最後のピッコロのソロのなんと寂しいことか。クラリネットの悪魔的なソロで始る3楽章は打って変わって戦闘的だ。そして突然現れるトロンボーン・チューバの強烈なコラールで4楽章が切れ目無く始る。このパッセージはまるで支配する悪魔、スターリンそのもののようだ。そしてそれに続くファゴットの長いレチタティーヴォは民衆(作曲者自身かもしれない)の深い悲しみ、そして怒り、悲痛な歌。☆ファゴットのソロは深く沈み、ゆっくりと陽気な歌を歌いだし五楽章が始る。 (悲痛な悲しみを乗り越えようとするときショスタコーヴィッチは「悲しくても音楽があるさ」と陽気な軽いメロディを使うのは例えば6番の三楽章(終楽章)でも見られる。) 最後は地獄に落ちるようなクライマックスまで発展してその後に現れるのはまるで裸の王様の行進だ。その後軽快にこの曲は終わる。

いつもこの曲を振るとき、この曲の完成度だけでなく作曲者の勇気に本当に感嘆する。下手すれば死刑ものだ。東西の壁が崩壊する前にこの曲のロシア人の指揮者と☆ロシア人オケによる録音が極端に少なかったのもこの曲の本質をみんな知ってたからだ。30分弱の室内楽的といわれるこの曲の凄さが伝わるような演奏を目指します。

後半のドヴォルザークの7番もまた名曲。今日は初日のリハで飯守先生の練習を見学してきたけど、濃いですよー!本番はどんな形に仕上がるのかワクワクものです。勿論、大阪・東京と後半は客席で聴くつもり!

それでは皆さんコンサートでお会いしましょう!!

      2005年2月24日


 

PS1 東京公演の後は「Meet The Classic」の10回目! 
ということで僕のルーツの「椿姫」ハイライトをお届けします。小学生のころこの曲のトスカニーニの演奏に出会って指揮者を目指した思い入れの曲。自慢じゃないが僕はイギリスではオペラ(マスネのシンデレラ)の指揮で賞をいただいたのだ。
関西フィルとのオペラモノは去年の姫路以来。3月5日いずみホールお楽しみに!
 
PS2 とにかく1・2月はほとんど大阪にいる。最近出来たヒルトン・プラザやハ−ヴエスなどのお洒落ビルもいいが、最近ハマッテルのが梅田の第一・第二ビル周辺とその地下街をブラブラすること。とにかく面白い。楽譜やさんや中古CD ・レコード屋が何軒もあるし、決して綺麗とはいえないが美味しい食堂も沢山、その上CD 屋のすぐそばに突然ナース姿のお姉さんが相手してくれるカウンター式のバーがあったり(入ってませんよ!通りすぎただけです)一体どうなってるんだここはという感じ。
関東では見れない異次元空間。おもしれぇー!!

PS3 僕はこう見えて、悪口や文句は言うのも聞くのも嫌なタイプなんだけどどうしても言いたいことがある。何で日本のFMラジオはお喋りが多いのだろう?チャンネルを回せばクラッシックだけとかジャズだけのお喋り最少限の音楽放送は無いのかしら?以前はあったようだけど何で止めたのだろう?不思議でしょうがない。


 

※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
 
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