皆さん、こんにちは。
今回の手紙は、先日逝去された園田先生に心よりの哀悼の意とともに捧げます。
園田先生の訃報はパースでの本番前に聞きました。
園田先生とは2年前に日フィルと九州で、そして先月関西フィルの定期で共演させていただき、先月もとてもお元気でいらっしゃったので、本当にショックでした。
2年前、ラフマニノフで初めて共演させていただく前に先生のお宅うかがいました。
そのときの先生の、雄大な、一つ一つの音を大切にする音楽に大きな感動と衝撃を受けました。
以後自分自身で何かが大きく変わったと思ってます。
2年前のコンサート後に先生が関西フィルとの共演を約束してくださって、先月それが実現しました。
その演奏は、目の前に雪に覆われたロシアの広大な大地が広がるように壮大であり、また、先生の音楽への愛情がほとばしった雄大で素晴らしい演奏でした。
初めてお会いしたときに、
「実は僕はね、ラフマニノフの2番が大好きなんだよ。」
と、おっしゃった言葉が、指揮棒を振りながら何度も頭をよぎりました。
先生の音楽は、ロマンにあふれるけれど決して感情に流されない。
でも、最後のクライマックスでの「え、そこまで!」というほどのルバートと、アッチェレランドは2年前のリハーサルと本番、そして関西フィルとの練習を通してあの演奏会だけでした。
そのときの先生の姿は、今でも強烈に目に焼きついてます。
2年前も、そして先月も、いつも先生はお一人で行動されていて、その背筋のピンとした美しい歩く姿は、とても高貴で先生の音楽そのものでした。
僅かな時間しか先生に接することは出来ませんでしたが、先生は、多くのことを教えて、そして与えてくださいました。本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りいたします。
2004年10月15日 藤岡 幸夫
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