藤岡さんから2004年6通目のお手紙が届きました。今回は、最近の充実したコンサートのお話とスウェーデン・オーストラリアでの公演への藤岡さんの意気込みのお手紙です
。お楽しみ下さい。
皆様のご感想のメールもお待ちしています。

 

 皆さんこんにちは。いよいよ秋ですね!

 それにしてもたくさんのお客様本当にありがとうございました。
滋賀シリーズも野洲、長浜で完売、今津は完売しなかったけど、素敵な雰囲気でした。特に今月定期は園田先生がソリストとはいえ平日の夜で補助席、立ち見まで完売。嬉しい限りです。本当に関西フィルのファンが増えたなぁという実感です。
今話題のプロ野球と同じく、オーケストラもファンあってのオーケストラ、これからも関西フィルはお客様を大切に、真摯な演奏を続けます!

定期のラフマニノフはとにかく園田先生と再会できて本当に嬉しく、また先生の雄大で自然な音楽と気迫にオーケストラも僕もリハーサルからしびれた。
ラフマニノフってなんて男性的なんだろう!先生に感謝に気持ちで一杯です。

交響曲もオーケストラと一体感のある演奏ができたと思ってる。
この曲は一筋縄ではいかないので、リハーサルでは探ってた部分や、本番までとっておいたテンポなどが自分的には上手くかみ合ったと思う。関西フィルもピッタリと棒についてきてくれるので本番はとてもエキサイティングだった。

次の日からベートーヴェンの7番のリハーサル。みんな元気なんで驚いた。城陽、門真とハードスケジュールにもかかわらず、関西フィルは集中力が高く丁寧でテンションの高い演奏だった。お客さんが増え続ける一番の理由はここにあると思ってる。関西フィルの皆さんありがとうございました。

園田先生とTWO SHOOT。
携帯のカメラでやや逆光で残念!

 さて、僕は今週からしばらく海外です。
まずはスウェーデンのGAVLE交響楽団と2度目の共演(前回のお手紙はこちら)。前回はブラームスの1番で今回はベートーヴェンの大好きな2番。

ところで今回改めて2番を新ブライトコップで勉強し始めたんだけど、2楽章でクラリネットの2番の音が変わってる!あわててベーレンライターを見るとこちらも同じように変わってる。うーん・・・。理論上間違ってなくてもベートーヴェンはこういう書き方しないと僕は思ってるので「何故?」。同じく2楽章のファーストヴァイオリンのリズムで逆に今まで旧版では間違いだと思って訂正してたところがあって、ここは新ブライトコップでは訂正されているがベーレンライターでは訂正されてない(ベーレンライーター版は他の交響曲でも旧ブライトコップで明らかに間違いと思われるところが以外とそのままになってる)。

一番ショックだったのが4楽章の僕の大好きなスフォルツァンドが新ブライトコップもベーレンライーターも無くなってる!! このスフォルツァンドは意表をつく形でついてる。一見間違いにも思えるけどその後同じような形でスフォルツァンドがフォルテに変わるところがあって昔からこの楽章の魅力のひとつと思ってたところだ。

前にも書いたけど、交響曲は初演の際に、スコア、パート譜にたくさんの間違いがあって当然で、また演奏を繰り返すたびに作曲者も変更を加えることが多い。うーん時間のあるとき調べてみたいなぁ。

ただ僕はあまり細かい版の違いは気にしない方。
ノルウェーのオケを振りに行った時、前の週に、ベーレンライター版を使ってCDを出してる古楽器オケの有名な某指揮者が客演に来てて、彼は旧ブライトコップ版のスコアを愛用してたって団員さんが笑って話してくれたことがある。
またちょっと話が違うかもしれないけど、バルビローリがハレ管で素晴らしいブルックナーを振って、演奏会後に評論家から何版を使ったか質問された時に「さぁ?譜面台にあったスコアを使っただけさ」答えたという有名な話があって、これは僕の好きな逸話のひとつ。

今回は旧ブライトコップを使うことにしたけど、大切なのはこの2番のスコア(当時にしてみれば革命的なところがたくさんある)から、いかに新鮮で生きた音を引き出せるかだ。

このコンサートの後、成田に朝着いて、その日の夜にオーストラリアに向かいます。
まずお馴染みになったパースで1週間。未完成にシンフォニア・ダ・レクイエム他。その後ニュージーランド国立交響楽団と初顔あわせ。彼らと1週間演奏旅行した後(ベートーヴェンの4番他)、オール・ブリテンで定期。その後ブリスベンでクイーンズランド管と1週間。久しぶりの「春の祭典」と新作他。その後日本経由でストック・ホルムでスウェーデン室内管とベルグとハイドンの後、ベルグラードでショスタコーヴィッチの8番。
そして12月、関西に帰って関西フィルといずみホールでチャイコフスキー2・5番、ハイドンの天地創造と続きます。
とにかく曲がたくさんで、移動もハードだけど気合十分!行ってきます! 

それでは皆さん関西フィル定期10月は湯浅さんを迎えてエルガーの1番(振りたかったー!)、11月は飯守先生の「ツアァラトゥストラはかく語りき」です。お楽しみに!!

2004年9月26日



PS1  もうお馴染みとなった城陽。今回は合唱団と共演。ホールの理事長や議員先生も団員の一員として一生懸命だ。地元の人達が一体となって本当に素晴らしいことだと思う。これからもっと力をつけていけると確信しています。来年は第九!頑張りましょう!城陽の後は毎年恒例の門真でのコンサート。辻久子先生と初共演。このコンサートにかける意気込みが伝わる。アンコールのチゴイネルワイゼンがすごく若々しく新鮮だった。前半の神崎さんは将来楽しみ!お客様も一杯で、暖かいコンサートでした。ありがとうございました。
ところで城陽ではロビーで必ずコーヒーを飲む。門真では年配の夫婦が美味しいコーヒー入れてくれる喫茶店に必ず行く。両方とも毎回の楽しみの一つ。    
    
PS2  今久しぶりにブルックナーのミサ曲3番を聴いてます。なんて美しいのだろう・・・・。

PS3  11月にBBCフィルが日本にやってきます。急遽決まったツアーだそうでみんな楽しみにしてます。ショルティ曰くイギリスで最も素晴らしい オケのひとつ。是非聴いてみてください。ラテン系のように熱い!

PS4  大阪でベートーヴェン7番の翌日何にもする気が起きなくてDVDを観る。3度目の「イングリッシュ・ペイシェント」。やっぱり良かった。

PS5  宣伝するの忘れてたけど吉松さんとの新しいCDが3ヶ月くらい前に発売されました。「鳥達の時代」は傑作!僕自身すごくいい出来だと自負してます。チェロ協奏曲も必聴!!

PS6 「夏の香り」をやっと観終わる。最終回がうーん・・・・。前にも書いたけど、ドラマも映画も小説もそして交響曲(一緒にするな!と怒られそう)も、最後が難しい。ちなみに今晩は「逃亡者」の最終回。 

※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
 
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〜藤岡幸夫さんを応援するWEBの会より〜
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