さて、僕は今週からしばらく海外です。
まずはスウェーデンのGAVLE交響楽団と2度目の共演(前回のお手紙はこちら)。前回はブラームスの1番で今回はベートーヴェンの大好きな2番。
ところで今回改めて2番を新ブライトコップで勉強し始めたんだけど、2楽章でクラリネットの2番の音が変わってる!あわててベーレンライターを見るとこちらも同じように変わってる。うーん・・・。理論上間違ってなくてもベートーヴェンはこういう書き方しないと僕は思ってるので「何故?」。同じく2楽章のファーストヴァイオリンのリズムで逆に今まで旧版では間違いだと思って訂正してたところがあって、ここは新ブライトコップでは訂正されているがベーレンライターでは訂正されてない(ベーレンライーター版は他の交響曲でも旧ブライトコップで明らかに間違いと思われるところが以外とそのままになってる)。
一番ショックだったのが4楽章の僕の大好きなスフォルツァンドが新ブライトコップもベーレンライーターも無くなってる!! このスフォルツァンドは意表をつく形でついてる。一見間違いにも思えるけどその後同じような形でスフォルツァンドがフォルテに変わるところがあって昔からこの楽章の魅力のひとつと思ってたところだ。
前にも書いたけど、交響曲は初演の際に、スコア、パート譜にたくさんの間違いがあって当然で、また演奏を繰り返すたびに作曲者も変更を加えることが多い。うーん時間のあるとき調べてみたいなぁ。
ただ僕はあまり細かい版の違いは気にしない方。
ノルウェーのオケを振りに行った時、前の週に、ベーレンライター版を使ってCDを出してる古楽器オケの有名な某指揮者が客演に来てて、彼は旧ブライトコップ版のスコアを愛用してたって団員さんが笑って話してくれたことがある。
またちょっと話が違うかもしれないけど、バルビローリがハレ管で素晴らしいブルックナーを振って、演奏会後に評論家から何版を使ったか質問された時に「さぁ?譜面台にあったスコアを使っただけさ」答えたという有名な話があって、これは僕の好きな逸話のひとつ。
今回は旧ブライトコップを使うことにしたけど、大切なのはこの2番のスコア(当時にしてみれば革命的なところがたくさんある)から、いかに新鮮で生きた音を引き出せるかだ。
このコンサートの後、成田に朝着いて、その日の夜にオーストラリアに向かいます。
まずお馴染みになったパースで1週間。未完成にシンフォニア・ダ・レクイエム他。その後ニュージーランド国立交響楽団と初顔あわせ。彼らと1週間演奏旅行した後(ベートーヴェンの4番他)、オール・ブリテンで定期。その後ブリスベンでクイーンズランド管と1週間。久しぶりの「春の祭典」と新作他。その後日本経由でストック・ホルムでスウェーデン室内管とベルグとハイドンの後、ベルグラードでショスタコーヴィッチの8番。
そして12月、関西に帰って関西フィルといずみホールでチャイコフスキー2・5番、ハイドンの天地創造と続きます。
とにかく曲がたくさんで、移動もハードだけど気合十分!行ってきます!
それでは皆さん関西フィル定期10月は湯浅さんを迎えてエルガーの1番(振りたかったー!)、11月は飯守先生の「ツアァラトゥストラはかく語りき」です。お楽しみに!!