イギリスで公演から戻られた藤岡さんから2004年3通目のお手紙が届きました。今回は、藤岡さんの最近のコンサートのご報告です。是非、皆さんも機会がありましたらコンサートにお越しくださいね! 
更に今回はプライベート写真も5カットと大充実。お楽しみ下さい。
皆様のご感想のメールもお待ちしています。

 

皆さんこんにちは。やっと一息ついています。

4月のコンサートはまず久しぶりの札響さんとコンサート。
このコンサートは普段札響の運搬をしている札通さんがスポンサーで、オーケストラの本拠地きたら・コンサートホールも満員。
プログラムは札通さんがお客様からのリクエストで選んだ。
前半が「田園」、後半は「威風堂々」、「ラプソディ・イン・ブルー」、に「ボレロ」。

ところでこのコンサートで素晴らしいなぁと思うことがあった。
前半の田園で楽章ごとに結構拍手が起きて、団員さん達も笑顔でホールの空気が暖かい。演奏もとっても真摯で、新鮮だった。拍手が起きるという事はクラッシック初心者が沢山いるということでオーケストラにとってはとても大切な事。ホールも演奏も素晴らしければ必ずリピーターは増える。そして札幌のお客さんは増えていくだろうなぁとストレートに感じた。 

僕は前にも書いたけど、21世紀の日本のクラッシク界は東京以外の都市のオーケストラがとても重要だと思ってる。かつてのイギリスがロンドン中心だったのが地方オーケストラの発展とともにイギリスのクラシック全体が発展した。
日本もそうなって欲しいと僕は勝手に思い込んでるけど、札幌での演奏会はまさに日本がそうなりつつあるなぁという実感が沸いたコンサートだった。素晴らしいコンサート。ありがとうございました。

札幌の後は関西へ。最近は東京で新幹線に乗ると大阪へ帰るといった感じ。飯森範親との二人の指揮者コンサート。悔しいけどノリチカ良かったなぁ。才能ある人と仕事するのは刺激になります。
次回があるみたいなんでリベンジします。このコンサートの後大好きな和歌山へ。ここのお客様もだんだん定着してきたみたいで嬉しい。7月にまた来ます。南国の香りのする和歌山の7月。楽しみー。

4月最後のコンサートは関西フィルとの定期で「みどりの日のコンサート」。前半のドヴォルザークは古川君もオーケストラも素晴らしかった。
そして後半は吉松さんの3番。
お客さんは補助席に立ち見が出て完売。邦人作品でこれだけお客さんが集まったというだけで感激。演奏も、僕が本番まで見せなかったテンポに関西フィルがぴったりついてきて(さすが!)、集中度&燃焼度の高い演奏だった。ただ終楽章は今回僕がバランスを気にしすぎたかなとちょっと反省。
ところで古川君の音楽は男性的でセクシー、スケールも大きい。僕より12歳年下で独身・・・・・!

みどりの日の後、すぐイギリスへ。久しぶりにマンチェスター経由で北アイルランドのベルファスト。ここを本拠地とするアルスター管弦楽団との共演は4度目。最近できた新しいコンサート・ホールのシリーズでプログラムはブリテンの「青少年のための管弦楽入門」、ストラヴィンスキーの「サーカス・ポルカ」他、マネージャーのニックが時々好んで僕に振らせる、子供のために書かれた傑作集。(ニック曰く、これ等の作品を絶対甘く見るな)。

コンサート後ニックも大喜びで僕もご機嫌。 もう随分顔なじみになった団員さん達と再会を約束して関西へ。



ベルファストのホールの指揮者用の楽屋の景色。
ウォーター・フロントで気持ちいい。

僕のジェネラル・マネージャーのニック。
僕にとっては厳しいコーチであり、
最高の理解者の一人。

ニックともう一枚。
前にも書いたけど、ニックはもともとボーンマウス響のファーストヴァイオリン奏者。 その後オーケストラのマネージメントの仕事を経て現在はIMGというマネージメントのダイレクター。
僕が音大生時代のころから何度もロンドンから
僕を観に来てくれ育ててくれてる。

家の前の通りは緑が多く閑静で気に入ってる。
この道をまっすぐ車で15分ほど走ると音楽大学、(マンチェスター大学も隣接した学生街でもある)その先5分ほどいくとBBC。
この建物の2階が我が家。ご覧のとおり別に自慢するほどのフラットではないが、学生時代にここに引っ越したのが12年前。200年前の建物で天井が高く居心地がいい。僕の楽譜などは全てここにある。
関西フィルとは練習場で開くコミュニティ・コンサート。曲目は前半が打楽器の紹介で後半がベートーヴェンの4番。関西フィルはこの難しい曲で僕が何をやろうとしてるのかすぐ読み取ってくれる。この一体感は年間40回以上共演して生まれるものだと本当に感謝の気持ちで一杯。4番はまた関西フィルと取り上げます。ところでこのシリーズは毎回売り切れということで、今回初めてコンサート後にお客様と団員とのパーティを企画。来場した7割以上の方達が参加して素晴らしいひと時を過ごせた。このパーティは絶対続けるべきだし、必ず定着させます。

東京に戻って、東京オペラシティで読響さんと初共演。(テレビ用の公開録画)。楽しかったし、勉強になることが沢山!
前半は吉松さんの「鳥は静かに・・」と「夢色モビール」にサックスの平野宗嵩さんの作曲した協奏曲の新作。後半はショスタコーヴィッチの9番。
とにかく読響は短時間でどんどん変わっていく。1回目の通しで上手くいかないところも2回目には自分達で修正できる。だから余計な時間はかからない。僕のやりたい事にもすぐ反応してくれて、その集中力と生きた音楽に感動。サックスの平野さんは、曲も彼のパフォーマンスも最高!ピアノの山田さん(凄腕)との即興もノリノリ(おかげで毎回カデンツァではどこででたらいいか全然分からなかったけど)、素晴らしいバリトンの大久保さんはなんと慶応卒。ソリストとの皆さんとも初顔合わせ。素敵な出会いの音楽会でした。

実は、僕の体調は過労(らしい)で最悪でヘロヘロ。リハーサル初日前は倒れるんじゃないかと心配だった。(こんな心配は生まれて初めて。加えて本番中はなんと足の指をつりっぱなしだった。これも初めて)。でも最初のリハーサルで読響さんのとても明るく暖かい雰囲気!と集中力に助けられた。おかげで楽しい時間を過ごせる事ができました。ありがとうございました。(ただし自分自身の反省点が多いので悔しい)。放送日程はまたHPに掲載します。

さて今週末は関西フィルと河内長野市政50周年記念コンサートで伊福部作品。そして来週はいずみホール定期の第1回!僕の一番好きな交響曲、シベリウスの5番を(今までその思いがゆえに一度も振ったことがなかったけど)生まれて初めて振ります。二村英仁君との初共演も楽しみ。チケット残少お早めに!

それではまた。


      2004年5月27日


 

PS1  読響のソロ・コンサートマスターはデイヴィッド・ノーラン氏。前にも書いたけどデイヴィッドは今から10年ほど前にシャンドスに最初のCD録音したときのBBCフィルのゲストコンマスだった。その後も何度か共演してたりしたのでファーストネームを呼び合う仲に。だから今回はお互いすごく楽しみにしてた。17歳でロイヤルリヴァプールフィルで弾き始め、その後ロンドンのオーケストラのコンマスを歴任。奥様が日本人で今は日本在住。イギリスクラッシク界の有名人。

PS2 ベートーヴェンの4番で今回ファーストヴァイオリンのメロディの一箇所のHをHisに変えた。新ブライトコップ版に従った。僕はこの版を信用してるから変えたのだが、耳がHに慣れてるから違和感が残る。交響曲のパート譜つくりは大変だ。ミスが無いほうがおかしいし、また初演してから作曲者が音や奏法を変えていくケースも多い。この音も最近になって(といっても10年以上前だが)確認されたらしい。

PS3 それにしてもショスタコーヴィッチは9番でよくもこんな曲を書いたもんだ。完全に(壮大な9番を期待していた)指導者達をバカにしてるし、2楽章、4楽章には本当の悲しみ・苦しみがある。ところでいつも思うのだけど2楽章のメトロノーム四分音符=208は異常に早い。ひょっとして悲しみを隠すために当時わざと早く演奏した?というのは考えすぎか?

PS4 「夏の香り」やっと見始めた。その中で、「コーヒーと恋の共通点は?」という問いに 「数えきれないほど種類があって甘くて苦い」、「好きな味にこだわる」、「中毒になる人がいる」、「たまにはインスタントもいい」・・・・・くぅー!

PS5 いつのまにかBARホンダが早い! 本当に久しぶりにF1を見てる。
90年にイギリスに留学して唯一といっていい楽しみはF1のTV観戦だった。そしてセナの死とともに僕のF1熱は冷めた。しかし今回はホンダエンジンだけでなく琢磨も早い!またF1熱が・・・・。やばい。

PS6 シベリウスの5番については近々に携帯用ホーム・ページで語ります。
お楽しみに!

※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
 
無断転用はお断り致します。


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