テンポの事ばっかりになっちゃったついでに言うと、ブラームスは自分自身の3番の交響曲の1楽章を6つ振りしてたそうだ。今じゃ考えられない。要するに作曲者が作曲してるときに作曲者自身が気がつかない音楽の力ってあると思う。この場合は音楽の推進力が作曲者の考え以上にあったのだと思う。(だから今はもっと早い)。勿論指揮の技術的問題もある。
話はちょっとずれるが、とにかく演奏してみて作曲者が初めて気がつくことかが沢山ある。だから僕は初稿を参考にしても信頼はあまりしない。初めて演奏を聴いて作曲者が沢山変更するし、さっき言った作曲者が予想してない音楽の力がある事があるからだ。
これまた違った話になるが、フランセの前で彼のクラリネット協奏曲をリハーサルしたとき2楽章ですごくアンサンブルが難しいところがあって、中々合わなくて何度も練習してたら、彼が「なんでそこを何度も練習するんだ」って聞くから、僕が「マエストロ、ここ難しくて全然合いません」と言うと、「細かいこと気にするな」その後にフランス訛りで「アトモスフィーレ、アトモスフィーレ!(雰囲気、雰囲気!)」とか言ってた。 マルケヴィッチ(だったと思う)がハレ管でシベリウスの2番の練習をしてる時、シベリウスがこっそり練習を見てた。ステージ上では3楽章の5連符の箇所を何度も練習してて、シベリウスは「全然わかってない」と一言残して怒って帰っちゃったそうだ。(要するに、キャラクターを出すために合わなくていいように作曲してた部分だった)。
マルコム・アーノルドのアイルランド組曲を僕がリハーサルする前に彼は一言「何をやってもいい。ただし音楽を生き物にしてくれ」・・・。
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