藤岡さんから2003年、二通目ののお手紙が届きました。
2003年1〜3月は超ハードスケジュールでしたから、間があきましたが、その間のことを始め、近況のご報告です。今回はプライベート写真は1枚だけですが、写真はもちろん大きなJPEG写真にリンクしてあります。お楽しみ下さいね。 感想のメールもお待ちしています。

 皆さんこんにちは。
 久しぶりのお手紙になっちゃいました。2月、3月は忙しくて、PCに触ることすら出来なかった。ごめんなさい。今はやっと一息。3年振りの2週間オフを楽しんでます。

 さて2月は日本フィルと5年振りの九州公演。2週間で12公演と凄くハードだけど(前回はヘロヘロだった)充実していい勉強になった。同じ曲を10回も続けて演奏すると、1歩間違えると旅の疲れと供にどんどん悪くなっていく事もあるが、日フィルは各地で毎回真摯な演奏を続けてきたからこそ今の歴史がある。それに日フィルとはコンサートの前後で色々なプレーヤーととことん話し合えるから新しい発見があって楽しい。
 それにしてもベートーヴェンの田園のスコアリングは凄いと改めて感じる。特に2楽章は9曲のシンフォニーの中でも(個人的には)最も好きな楽章だ。(こうみえて僕はどちらかというと偶数番の交響曲の方に惹かれるタイプ。)
 ところで28年間も毎年この日フィルの長い九州公演が続いてるのは奇跡。現地の方達と日フィルの深い絆に、今回改めて感動した。これからも永遠に続いて欲しいと心から願います。
 後もうひとつ。園田高弘先生との初共演!最高でした。

 園田先生といえばベートーヴェンやブラームスのドイツモノというイメージがあるけど、実はラフマニノフの2番が大好きだそうだ。東京でリハーサルの前日に園田先生の御宅にお邪魔してしっかり打ち合わせをさせていただいて、これがまた素晴らしい時間だった。
 全曲を通しながら色々なことを教えて頂いた。正直に言ってこの曲のイメージが変わったと供に、ラフマニノフという人は
身体も心も大きな人物で、その演奏は当時ミケランジェロや古代彫刻を思わせる完全性になぞらえてたのを思い出した。
 この人の音楽は男の音楽なのだ。(女性ピアニストが悪いと言うわけではありません。ごめんなさい)。でも今まで耳にしてた
ラフマニノフの2番と園田先生の2番は明らかに違ってた。
(タイムリーなことに5・6月はラフマニノフの交響曲3番や交響的舞曲など振るのでかけがえの無い経験だったし、以前読んだラフマニノフの伝記も思わず読み返した)。

 園田先生がまたこの曲で共演することを約束してくださったので是非近いうち、実現しようと思ってる。

園田先生とご一緒に・・。

撮影:設楽茂男
写真提供:「メンズクラブ・ドルソ」
99年秋号
/アシェット婦人画報社刊」
無断転載をお断りします。

 日フィルの九州公演が終わって次の日から関西フィルと2週間で7回コンサート。こっちは全て違うプログラム。チャイコフスキーの5番・悲愴、メンデルスゾーンの3番、ストラヴィンスキーの協奏曲ETC、ハードなプログラム+メチャクチャな日程・移動だったけど関西フィルの集中力には本当に頭が下がりました。

  いつも言ってることだけど、関西フィルはこれから更に飛躍していくと振りながら本当に実感する。また関西フィルと藤岡にしか出せない個性がはっきりしてきたと思う。後はこの個性をお互いにどこまで伸ばせるかだと思ってる。

というわけで今はちょっと一息。

それでは皆さんまたコンサートでお会いしましょう!

      2003年4月1日

PS1 いずみホールで久しぶりにストラヴィンスキーの協奏曲ニ長調を演奏した。この曲には渡邉先生との楽しい思い出がある。僕が弟子になりたてのころ、コンクールをダメ元で受けることになった。課題曲の1つがこの曲。二人でスコアを連弾してこの曲の1楽章をテープに録音することにした。ところが変拍子が多く結構難しくて上手くいかない。そこで2倍遅いテンポで弾いてそれを2倍速で再生すればいいという事になり(この辺の考えが出てくるときには二人ともゲーム感覚で意地になってた)、何度もやり直して(テープをつなぎ合わせることはできないんで)、朝の10時に始めたのが終わってみたら6時だった。懐かしい。

PS2 二人のビックショーで和田アキコと石井竜也の歌を聴いた。良かったー。歌の力ってすげぇなと感じる。時々この番組を見るけど、いつも思うのはこの歌で理屈ぬきで感動する人が沢山いるだろうなということ。
 クラッシクもいくら再現芸術といっても、なんの知識も無い人に理屈・きで感動してもらえるような演奏をしていかなきゃいけないと思ってるし、そうでなきゃ演奏会は減る一方だと僕は思ってる。

PS3 3月のコンサートが終わって、生まれて初めて腰痛で立ちあがれなくなる。それで生まれて初めて針治療を受けた。内池先生という沢山の音楽家やバレリーナの治療をしてる有名な先生だ。あっという間に直った・・・・・・・。アンビリーバブル!

PS4 3月に河内長野や山口県の防府で4団体の吹奏楽の指導をした。これがまた楽しいだけでなく勉強になる。的確な事を言わなきゃ全然変わらない。それに中・高生相手の時は心が洗われたし、みんなが次の日のコンサートにお客さんとしてきてくれてて嬉しかったー!

   
※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
     無断転用はお断り致します。

〜藤岡幸夫さんを応援するWEBの会より〜
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