藤岡さんから2003年最初のお手紙が届きました。
2003年にかける藤岡さんの気合いが伝わって来ます。今回はプライベート写真は1枚だけですが、写真はもちろん大きなJPEG写真にリンクしてあります。お楽しみ下さいね。 感想のメールもお待ちしています。

皆さん遅れ馳せながら明けましておめでとうございます。
今年もどうかよろしくお願いします!

それにしても1年早かった。
去年はデビューしてから最も忙しい年だった。年間通じて同じ街で1週間寝泊りしたのが3回だけ。
本番回数も異常だった。この時代、仕事があるのは嬉しいけれど、余裕がないとどこかで無理しなきゃなんない。すぐには無理だけど今年からは少しづつペースを変えていく決心をした。それにヨーロッパで溜めた音楽の貯金(お金じゃありませんよ)が底をついてきた。日本と海外の比重も考えていこうと思ってる。

その一方で特に関西フィルとは2000年就任以来色々な成果を出せてきたと思う。プロジェクトの1つ、クラッシクの裾野を広げる活動も本当に沢山の街でコンサートできるようになったし、お客さんも増えた。事務局がよく頑張ってくれるのでやりがいがある。演奏面でも以前とは明らかに違ってきてる。今年はどこまで一緒に飛躍できるか楽しみだ。

さて1月は西宮、奈良、橋本、大阪、水口、城陽各地でニューイヤーコンサート。どこもいい雰囲気だった。
その合間をぬってプラハ交響楽団とコンサート2回。ドヴォルザークの8番は僕のスタイルが間違ってなかったと実感できたと同時に、新しいことも勉強できていい経験だった。それにしてもスラヴ人はよく歌うし出てくる音も濃い。


 
 

撮影:設楽茂男・写真提供:「メンズクラブ・ドルソ」99年秋 号/アシェット婦人画報社刊
*無断転載をお断りします。


ロイヤル・リーガホテルの大晦日のコンサートの後で事務局の西浜君と。彼はお客さんの間では今や司会者として人気がある。でも今年からは若き事務局長。非常に優秀で、頭が切れるだけでなく行動力が抜群。睡眠時間を削って朝から晩まで仕事してる。これからの関西フィルは彼の肩にかかっている。


大阪で演奏したラフマニノフの「交響的舞曲」は改めて傑作だと感じる。
9年前ロンドンデヴューで指揮した時には見えなかった事を沢山感じた。関西フィルとまた演奏していきたい。

ところでこの曲の1楽章の最後で、20代前半で作曲した交響曲の1番のテーマが唐突に現れる。しかも1番では短調で暗かったのがここでは長調で暖かく・・・・。このテーマは1番を作曲してた当時の若い彼の恋いのテーマだ。そのテーマを死を意識した(作曲当時67歳。3年後他界する)この作品で調性を変えて使われてる。半世紀経っても忘れられない恋・・・・・・。僕はこういうのに弱い。

今年はラフマニノフを結構指揮する。この交響的舞曲、交響曲の1番と3番、どれも素晴らしい。残念ながら全部海外のコンサートだけど日本でも近いうち取り上げるつもり。ラフマニノフ=ピアノ協奏曲と思ってる人には是非聴いてみて欲しい。最初は混沌としてる印象を受けるかも知れないけど、奥が深い。

それではまたコンサートでお会いしましょう!

      2003年1月22日

PS1 僕の指揮者人生の大きな節目として日本フィルの指揮者のポストを2月末に離れることを決心しました。日本フィルとは指揮研究員になってから約14年間本当にお世話になった。日本フィルのおかげで指揮者になれた。僕が渡英するときに各パートがカンパしてくれて随分助かったし涙がでるほど嬉しかった。そして日本では定期演奏会でデヴューさせて貰った。ただ僕は今まで日本フィルに甘えてきたと反省してる。自分自身いい意味で変わっていくために決心した。僕の我が侭を受け入れてくれた日本フィルに感謝します。
 といっても今年も日フィルとの共演回数は多い。 毎回大切にします。


PS2 小澤さんのキャラバンコンサートのドキュメンタリーを観て感動した。頂点に立つ人がこういう形で裾野を広げる活動を熱心にすれば、小澤さんと同じ考えを持つ素晴らしい人が増えるだろう。

PS3 2月は日本フィルと九州演奏旅行。全部で12公演。この日本フィルの九州公演は毎年行われ、今年でなんと28年目。これはすごいことだ。日フィルが本当に九州を大切にして、また毎回各地の方達が年間を通じて熱心な活動をして初めて実現する。98年に初めてこの演奏旅行の指揮を任されたとき、ハードなスケジュールにもかかわらずオケの各地での熱演に驚かされた。(各コンサート後の飲み会にも驚いた)。今回も気合が入る。

PS4 最近80年代のベストアルバムが多い。そう80年代は僕の青春時代だ。この頃の洋楽やニューミュージック(Jポップなんて言葉が無かったのだ)は最高だった。何が最高ってやっぱりメロディだったのかなぁ。山下達郎のこの頃の曲は今聴いても新鮮だし、角松敏生のセンスは抜群だった。中原めいこはどこにいっちゃったんだ?洋楽では、アース、クリストファー・クロス、ボビー・コルドウェル、ボズ・スキャっグス他沢山、ユーロビートではバナナラマやリックアストレーなどの軽いこれまた沢山の人達・・・・・・。最近キサナが青山に出来たって?ついでにマハラジャとか復活しませんかね?

   
※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
     無断転用はお断り致します。

〜藤岡幸夫さんを応援するWEBの会より〜
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