藤岡さんから2002年2通目のお手紙が到着しました。お楽しみ下さい。
今回、藤岡さんは超大忙しでデジカメを撮影している時間がなくて写真は以前雑誌に掲載されてもののみです。ごめんなさい!
感想のメールもお待ちしています。

撮影:設楽茂男
写真提供:「メンズクラブ・ドルソ」99年秋号/アシェット婦人画報社刊」
無断転載をお断りします。


みなさなんこんにちは。

今月は海外のコンサートがテロの影響でキャンセルになったので ちょっと余裕があったけど相変わらずなんだかせわしなかった。

今月の最初は、関西フィルとサンサーンス3番のコンサート。
これは京都コンサートホールで一般のお客様は入れなかったので聴きたい方は是非3月3日、いずみホールを楽しみにしてください。
オークホールで関西フィルとハイドンを久しぶりに振って、その後、日フィルと東京のオペラシティで吉松さんの新曲、20絃琴、尺八、オーケストラのための「富嶽」の初演、後半は佐藤しのぶさん、小林一男さん、直野 資さんのソロで「椿姫」のハイライト(約70分)。
吉松さんの新曲は、余計な音を一切使わず、最小限の音で最大限の効果を引き出していた。
琴、尺八の本来の邦楽の世界をオーケストラのサウンドに上手く融合させてるのは勿論のことだけど、逆に尺八と琴から西洋風の新しい音の世界を引き出していて、それが見事。
作風自体は今まで吉松さんの作品とあまり変わらないけど新鮮でした。特に終曲の「夜明け」の最初の部分の美しさは息をのむ。

吉村七重さんと三橋貴風さんのソロも素晴らしかった。
後半の「椿姫」は僕の大好きな曲。ソリストのみなさなんとは初共演だったけど楽しかった!
佐藤しのぶさんの役作りはさすが。
小林さん直野さんとの息もぴったりで、ドラマティック。
日フィルは「椿姫」を演奏するのは初めて(!)、それに少ないリハーサルだったのに見事。
今回のコンサートは長い、長い九州演奏旅行の直後。しかも今回は旅行中に大変悲しい出来事(後述します。)があった。メンバーの疲労は相当な筈なのに、振っててその疲れを全く感じなかったどころか、リハーサルから音の集中力が違った。

みなさなんお疲れ様でした。


というわけで、今久しぶりに1週間休暇。といっても家でのんびりしてます。
特にこの週末は(2月22・23日)は絶対に楽譜を見ないと決心して、最近購入した5.1チャンネルのDVDのシアターのセットで映画を見たり、読書したり、漫画を読んだり、自転車に乗ったり、ジムに行ったりしてる。

日本でウェットスーツもボードも無いので海に行けないのが残念。
DVDはニコラス・ケイジの「天使がくれた時間」がなかなか良かった。他に何本か見たけどイマイチ。
「ベルリンの秋」は忙しくってちょっと間があいちゃったけど、一気に読み終えた 。
面白い小説の続編って難しいと思うけど、これは良かった。
僕は冷戦当時の東ヨーロッパにはいったこと無いけど、壁崩壊直後にプラハとルーマニアに行ったことがある。冷戦は終わったもののまだ本当に別世界だった。貴重な体験だったと思ってる。

さて3月はまず3日に関西フィルといずみホールでサンサーンスの3番と、サックスの須川さんをゲストにピアソラなどの小品集。
須川さんとは吉松作品だけでなく、今回の小品集を何度もやってるけど最高です。特にグラナダなんかもう音楽のジャンルなんか関係なくまいっちゃう。楽しみにしていてください。
後16日の関西フィル記念定期では、シューベルトの2番を振ります。日本でこの曲振るのは初めて。躍動感があって堂々とした名曲です。
17日には奈良の新しく出来た「やまと郡山城ホール」でコンサート。このホールは美しく、音響も素晴らしいので楽しみ。
24日は河内長野ラブリーホールで独自の企画。新しいクラッシックファンが出来ればと願ってます。 月末からはまたオーストラリアへ行ってきます。

それではまた。             2002年2月26日

 

 

2月12日 日フィルの九州演奏旅行中に、日フィル首席ホルン奏者の平塚晴樹君が急逝した。
信じられなかった。まだ33歳の若さだった。
大学を卒業する前から日フィルに加わり、若き首席奏者として日フィルを支えてきた。彼は本当に良く棒を見る奏者で、その視線はいつも鋭く、「どんな棒ににもつける」という強い意志とプライドが感じられたものだ。
亡くなられた原因は喘息と聞いて驚いた。何故なら彼は咳をするところなど一度も見せたことが無かったからだ。それも彼の強いプロ意識からだと思う。

彼の奥さまの美保さんも日フィルのクラリネット奏者で、彼女とは前々から色々話す機会があったけど、平塚君とはゆっくり話す機会がなかなか無かった。
去年の夏、日フィルとの演奏旅行中、四国で初めてゆっくり話すことができた。その時彼は沢山色々なことを僕に言ってくれた。どれも的を射た内容で、口は悪かったけどその裏には暖かさがあって、楽しい時間だった。
その後も良く彼の言ったことを思い出していて、また飲める機会を楽しみにしてた矢先の出来事だった。四国で彼が僕に残してくれた言葉をこれからも大切にしていこうと思う。
心からご冥福を御祈りいたします。


〜藤岡幸夫さんを応援するWEBの会より〜
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