藤岡さんから2002年2通目のお手紙が到着しました。お楽しみ下さい。
今回、藤岡さんは超大忙しでデジカメを撮影している時間がなくて写真は以前雑誌に掲載されてもののみです。ごめんなさい!
感想のメールもお待ちしています。

ノールショッピングに着陸したら滑走路一面雪だった。これは ホテルの部屋からの眺め。 北欧ってムード。
コンサートホールの前の広場。
街の中に市電が走る。両側にお店が並ぶ。ヨーロッパならではの風景。
左の茶色の建物がホテル。ホテルの前にはまだ大きなクリスマスツリーがある。
街の中に河が流れる。


みなさん遅れ馳せながら 明けましておめでとうございます。
今年もよろしく!

さて関西フィルと大晦日のコンサート、元旦のTV出演の後、2001年の初コンサートは、東京と横浜で日フィルとのニューイヤーコンサート。

日フィルとの初めての新世界。 日フィルは過去にチェコ出身の名指揮者たちと数多くの名演を残していて独自のスタイルがある。新世界はいろんなオケとやってるけど、日フィルの個性はいい意味で強い。 また演奏もプレーヤー一人一人がお客様に音楽を伝えようという意志がすごく伝わってくる。
  今年のヨーロッパ演奏旅行のためのお客様の募金が目標額に達したのも(凄い!ありがとうございます!)日フィルの演奏がいつも真摯なものだからだと思う。この伝統は本当に素晴らしい。ヨーロッパから戻ってきた日フィルが更にどうかわってくるのかまた楽しみです。


日フィルとのコンサートの次の日スウェーデンのノールショッピングへ。 ここのオケとは2度目で今回は定期演奏会。数年前に新しいホールが出来て(音響は最高!)オケのサイズも約90名とフルサイズにスケールアップ。とにかく練習中からすごく積極的なオケ。

ショスタコーヴィッチの9番は15年くらい演奏してないというのに初日からほとんど出来あがってた。金管群はピカイチ。本拠地の次の日に隣の街で同プロのコンサート。すごく楽しい1週間でした。(プロはラヴェルの「マ・メールロア」、モーツアルトの16番のピアノ協奏曲、シベリウスの「トゥネラの白鳥」それにショスタコーヴィッチ)。

ところで2日目のコンサートの後、プレーヤーが何人か僕のところに来てみんな同じ事をいっててニヤっとしてしまった。「今日の演奏は昨日と違うところがたくさんあってそれが良かった」って。これはヨーロッパで客演するたびによく言われることだし、僕自身それを狙ってる確信犯。

話はちょっと長くなるけど、僕が初めてBBCフィルとデビューした時のリハーサル2日めに、前の日と違うことをやりたくて、金管のリーダーとコンサートマスターにそれぞれ「昨日と違うんだけどいい?」と聞いたとき二人とも同じ答えをしてきた。

「そんなこと気にするな。俺達は学生オケじゃないプロだよ。毎回違ったって全然困らない。好きなようにやれよ。その方が楽しい」。

それ以来前の日と違うことをするのを全然気にしなくなった。(ただこの言葉の裏を返せば、若造の指揮者が何をやっても俺達は絶対崩れないという強烈なプライドがあると思う。)

例えば、吉松さんのCDでも毎回テイクを録るたびに少しづ つワザと変える。そうしないとただ綺麗に演奏するだけでライブ感が薄れるからだ。

話はそれるけど例えばテンポについてマーラーはこんなことを言ってる。

「自分の曲を指揮をして昨日と今日でテンポが全然違うのになんでメトロノームでテンポの指定ができるんだ。」

だからマーラーはメトロノームでのテンポ指定をほとんどしてない。

ところで日本は一般的にいって違うことをするのを嫌がるほうらしい。
ある有名な指揮者はそのお弟子さんに「前の日と違うことはするな。オケが信用してくれなくなる。」と教えてるそうだし、僕もプレーヤーにアッチェレランドが昨日と違うと指摘されたことがある。これはイイ、ワルイではなくてお国柄だ。ドイツも違うのをどちらかといえば嫌がるかもしれない。これがラテン系のオケになると彼等は前の日のことをほとんど覚えていない。(もっとも、同じ国でもオーケストラによってかなり性格が違うので 断言はできませんが・・・・。)


話がかなりそれてしまった。

とにかくノールショッピングのみんなと再会を約束して、次の日成田経由で大阪へ。 和歌山県橋本市でニューイヤーコンサート。

この街に車で入っただけで独特の雰囲気があって「帰って良かった−」と実感する。 客席も満席。暖かいそして楽しいコンサートでした。関西フィルも 客席を圧倒してました。
今、関西フィルの一体感は特別。これがずっと続くように頑張りたい。


というわけでアッという間の年末に新年。
まだ初詣に行ってない! 来月はテロの影響で海外のコンサートがキャンセルになったので久しぶりに余裕ができそう。  それではまた!



 2002年1月26日 

二日目のコンサートの前の午後、プレーヤー夫婦がお茶に招待してくれた。左はトロンボーンのマーティン、右側がヴィオラでオケの中で唯一の日本人のなな子さん。

 

 

PS1 「プラハの春」の続編の「ベルリンの秋」を読み始める。 かなり面白い。 東西の冷戦が存在したこと自体本当に異常だったと痛感。

PS2 新車を手に入れる。といっても自転車。ディスカウントショップで衝動買いをしてしまった! もう最高!自転車の速度って周りの景色を楽しむのに最適なんだと感心。毎日家の周りを探検してる。

PS3 尾高忠明先生と日フィルの定期を聴く。尾高先生にはイギリスでの学生時代すごくお世話になった。しょっちゅうご馳走になった。ところでこの日のエルガーの1番素は晴らしかった 日フィルもこの曲をライブリーに心をこめて演奏してた。(ユニゾンのイントネーションがちょっと気になったけど)今までぼくが聴いてきたこの曲のライブでは最も良かった。

PS4 吉松さんの4番の新譜の評判がいい。ロンドンのタワーレコードでもベスト10にチャートインしてるらしい。でも僕と吉松さんが一番嬉しかったのは「レコード芸術」で現代曲部門でなく交響曲部門で批評してくれたこと。これは画期的です。編集部と批評家のみなさんありがとうございました。

PS5 J−POPの世界でアカペラが流行ってるらしい。先日TVでアカペラのコンテストをやってて感心してしまった。特に全員学生服で髪も染めてないグループが良かった。一生懸命で上手いんだけど全然垢抜けなくてかえってホットさせられる。なんか僕の学生時代を思い出してやっぱりこの言葉が浮かんできた。青春。

これが衝動買いした自転車。中、高、大学と全く自転車に乗ってなかったので嬉しい!

   
※本ページの写真は藤岡さんのプライベート写真です。
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