皆さんお元気ですか?
沢山のお手紙本当にありがとうございました。とても励みになって楽しく読ませていただいています。
今月の僕からのレター、なかなか時間がなくて遅くなってしまいました。ごめんなさい。(ちなみに今、イギリスに帰る途中の飛行機のなかで書いています。)
さて5月の日フィルの定期の話をする前に皆さんに報告したいことがあります。
今シーズンでマンチェスター室内管弦楽団との契約が5年目で満期となり、契約を更新しないことにしました。
ずいぶん迷ったのですが、ぼくのマネージャーのNickとも 相談をして決めました。
首席指揮者でいるうちは年間20回以上のコンサートを振らなくてはならず、日本の仕事をあわせると他のチャンスをつかみ難くなってしまうため、決心しました。 |
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5月13日のコンサートは、今シーズン最後のコンサート(ヨーロッパでは9月から5月ま でが1シーズンなのです。)と同時に、僕の首席指揮者としての最後のコンサートになりました。
プレーヤー達はとても残念がってくれて、本番前日のリハーサル後の夜に大きなパーティを開いてくれてました。プレーヤー全員が出席してくれて楽しい楽しい時間をすごしました。
最後にプレーヤーから、本皮でできた素敵な勉強カバンをプレゼン トされてホロッ......。カミさんにも、おしゃれなジュエリーケースをプレゼントしてくれて、パーティが終わったのが真夜中・・。
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それでもパーティの楽しい雰囲気の まま次の日の本番を迎えることができて、思い出のコンサートとなりました。
5年前、このオケの首席になったときぼくはまだ音楽院の学生でした。それから本当 に多くのことを勉強させてもらいました。今ではまるで家族のように付き合ってきたプレーヤ達に心の底から感謝しています。
というわけですが、これからもぼくの家はマンチェスターでここを本拠地に年間約 7ヶ月がヨーロッパやオーストラリアなどの海外、残りの約5ヶ月が日本の活動になり
ます。
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さて次は日フィル定期の報告です。
今回のコンサート、予想以上の反響をいただき凄く嬉しいです。
とにかく日フィルがシンパシーをもって熱演してくださったことが一番だとおもって います。
また裏話になりますが、今回のSy3はスコアが改訂版で(CDのときのものが若干変 更されています。)新しくできあがったパート譜にかなり問題があったのです。
そ れにもかかわらず真摯な姿勢で取り組んでくださった日フィルに本当に感謝、感謝で す。 そして我々を応援してくださったファンの皆さん本当にありがとう!
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ぼくの知人の近くに座っていらしたご婦人が演奏後に、
「やっぱり私は日本人だから 吉松さんの方がベートーヴェンよ
ピンとくるわね。」
と言っていたそうで、この話 めちゃくちゃ嬉しかった!
イギリスではよく
「私はイギリス人だから、〇〇よりエルガーのほうが好き。」
と いう会話をしょっちゅう耳にするのです。
日本にも一般の方達にそう思われる作曲家が必要なのです!
というわけで、次回の吉松さんの新作楽しみにしてくださいね!
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最後に渡邉先生のメモリアルコンサートのことを少し。
先生の映像を見ることができて感無量でした。
ぼくは本当に先生のおかげで指揮者に なれたし, 音楽だけではなくて沢山のことを教えてくださり、それが今のぼくを支えてくれていると思っています。
穏やかな物腰な方でしたが、強烈な信念をいつももっていらして, また常に新しい何かを求めて先を見つめていらした方です。
天国の先生が喜んでくださるような指揮者になれるようにこれからも精進していきた いとおもっています。
2000年6月11日
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PS1
あさってから、スウェーデンのノールショピングsoを振りにいきます。
広上 さんがシェフをしていたオケなので楽しみにしています。
この仕事が終われば、一息 つける!
PS 2
7月8日に関西フィル、 コミュニティーコンサート「ハイドンシリー
ズ Vol. 3 」が決まりました。交響曲60番、バッハの管弦楽組曲etc
が予定されています。 詳しい事は近くHPでお知らせしますネ。
PS 3
吉松さんのSy3 「CDで聴いたときよりいい曲だとおもった。」
とおっしゃる 方が多かったです。生のほうがいいにきまっていますが、
吉松さんの交響曲のCDは大音量で聴かないとよさがわかりません!
スピーカーで 大きな音を聴くのも難しいでしょうからなるべくヘッド
フォンで聴いてもらえると嬉 しいのですが..........。
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