みなさん、お元気ですか?
オーストラリアの報告とマンチェスターの近況です。

僕はようやく一息ついているところです。
本当はクィーンズランドで、手紙を書こうと思っていた
のですが、あまりに忙しく書けませんでした。
まずオーストラリアの報告をします。

タスマニアのコンサートはとてもうまくいって、
2000年の12月に再会することを約束して(丁度、新しい
コンサートホールがこの時オープンするそうです!!)、
クィーンズランドへ。ところで、このコンサートのショ
スタコーヴィェチはオーケストラ大健闘。とても、オー
ストラリアの田舎オケとは思えない。とにかくレヴェル
が高い!!

クィーンズランドに着いてからは、4日間オフがあったのに、
勉強が大変で遊べませんでした。クィーンズランドの県庁
所在地ブリズベンという町に滞在。気候はまだ夏で、日中
は約30度あって最高。時間さえあれば車をレンタしてサー
ファーズパラダイスやゴールドコーストまでスッ飛んで
行ったのだけど(車で70分くらい)、今回はそれどころじゃ
なくてほとんどHotelにこもりっきり。ただしホテルの屋外
プールで泳いで、イキヌキが出来たのが良かった。
クィーンズランド交響楽団とは初顔合わせ。最初はちょっと
つかれ気味だったけど(オケは演奏旅行の直後だったので)、
すぐにスイッチが入って来て、とても楽しかった。
さて、今回のプログラムの中の1曲、ルトスラウスキのオケコン
(「オーケストラのための協奏曲」を通称、オケコンと言いま
す)は、想い出深い曲。
92年に僕は、ルトスラウスキの目の前で、この曲を指揮する機会
に恵まれました。この時、僕はこの曲のリハーサルが始まる3日ぐ
らい前に、沢山の質問をかかえて、すでにマンチェスターに滞在
していたルトスラウスキに会いに行きました。ところが、

ルトスラウスキは僕がオケコンを振ると知りながら、会ってく
れなかった。その時は「このクソオヤジ〜、あぁそうですか、
僕は勝手に好きなように振ります。」と頭に来て、いよいよ
本番。コンサート終了後、ルトスラウスキはニコニコしながら
僕のところにやって来て(ちゃんと、コンサートには来てくれ
たのです)、「本当に素晴らしかった。ありがとう。」
そして、「私がなぜあなたにこの前会わなかったか、わかり
ますか?作曲者が一つの曲を書き終えた時、その曲は作曲者
から離れて演奏者にゆだねられるのです。私はルトスラウス
キ、あなたは無名の若手指揮者。私が何か言えば、あなたは大き
な影響を受けてしまうでしょう。それは良くありません。」僕は
結構感動して、「ありがとうございます。ところで、2楽章は
メトロノームの早さより、遅くて申し訳ありません。」と言う
と、彼は「いいえ、あのTempoで良かったですよ。あのメトロ
ノームの早さは早過ぎます。」
僕は、「どなたが、あのTempoをお書きになったのですか?」
と聞くと、「私が、書きました。でも早過ぎます。いいです
か、作曲者の書いたメトロノームなど、信じちゃいけません
よ。」
僕は「・・・・・・。」この後、他の細かい事(オケコンに
ついて)について色々話をして、最後に、「今日は久し振りに
自分の曲を楽しめました。」と一言言ってくれて別れた。
僕はとても嬉しかった。
そういう思い出の曲です。
さて、素晴らしいコンサートホール(サントリーホールに似ている)
で、無事コンサート終了。団員さん達が何人も部屋に来てくれて、
ここのオケとも2000年の12月に再会を約束して、次の日に英国へ。
(次回は絶対ウィンドサーフィンをやるぞ!!)

         (続いて、マンチェスターの近況はこちら)



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