藤岡さん、7月30日付けのお返事有難うございました。早速ですが、
また私の意見を申し上げたいと思います。以前お送りしたメールと内
容が似ていますがご容赦ください。
私は子供のころからクラシック音楽が好きで、この音楽と共に育ち
ました。しかし、近年、クラシック音楽はかなり低迷しているよう
に思います。残念至極です。藤岡さんのような情熱溢れる音楽家ば
かりならいいのですが、クラシック界から少々離れたところから見
ている私にとっては、どうもクラシックというのは斜陽の時代に入
ってしまったように思えます。その最大の理由は無調性音楽の台
頭にあると思います。「これが新しい音楽だ。さあ、聴け。」と
言って一般聴衆に向かって発信しても、聴衆は敬遠するに決まって
います。ついこの前まで、現代における調性音楽は「お偉い先生
方」からの非難の的でした。最近ようなく「調性解禁」の兆しが見
えますが、それでもまだ、新作の分野に関しては全然活気がないと
思います。現在でも評価の高い作曲家はいますし、新作も発表され
てはいます。しかし、ならば、ポピュラー音楽界と比較してみてく
ださい。発表される新作の数、それらへの期待、活力そのもの等々
クラシック界は全然太刀打ちできません。確かにクラシック音楽
(今年作曲されたものを古典と呼ぶのは変かもしれませんが)の作
曲にかかる労力はポピュラーのそれよりはるかに大きいことでしょ
う。しかし、そういった作曲上の条件を差し引いたとしても、あま
りにも活気がないと思います。あまりにも過去の作品への依存が大
きすぎます。確かに、それだけ過去の作品が偉大であると言えるの
も事実ですが、今の状態のままではクラシックは窒息してしまうと
思います。何か事あるごとに「お偉い先生による権威賛美」の記事
が、雑誌などに掲載されていますが、「いつ見ても同じ」であっ
て、飽きてしまいました。とにかくクラシック界ほど新作に対する
待遇が悪い分野が他にあるでしょうか? 「埋もれた名曲の発掘」と
か「新作発表の促進」とかスローガンばかりは大きいのですが、現
実はかなり寒い状況のように思えます。そんな状況の中で、私は藤
岡さんに期待しているわけです。しかし、クラシック界の将来に関
しては、藤岡さんだけが頑張っても駄目です。全てのクラシック関
係者および聴衆の意識(姿勢)も変わっていかないと、本当にクラ
シック音楽は危機に陥ってしまうのではないかと、私は常々心配し
ております。心配であるがゆえ、素直でない意地悪な意見を申し上
げてしまったと思います。クラシック界にはもっと柔軟性と解放性
が早急に必要だと思います。藤岡さんへのメッセージという場を借
りて、全てのクラシック関係者にご意見申し上げたいのです。

             1999年7月31日  ぴょーとる
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