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「京都大学交響楽団第179回定期演奏会」
会場:2006年6月28日 京都コンサートホール
シベリウス/「フィンランディア」
シベリウス/交響曲第7番
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」
京都大学の交響楽団と慶應ボウイの藤岡さんの組み合わせなら早慶戦ならぬ何でしょうか? ともかく創立90年を迎えようという歴史ある楽団です。当たり前ですが関西フィルよりもずっと古いです。朝比奈隆(法学部卒昭和6年、文学部
(学士入学) 卒12年)がヴァイオリンを弾き、指揮者として活動、レコーディングも行ったというほどです。また、この楽団は(も)他大学からの参加は出来ます。さらに、京大内や周辺地域に演奏会の案内をするときは、学内の他のサークル等と同じくちょっと独自で、キャンパスを囲む石垣に大きなタテカン(立て看板)を出します。
学生オケということで、もしかすると京大だけかもしれませんが、ホールの外には団員が (鴨川のカップルくらいの?) 間隔を開けて並び、「ありがとうございます」を言ってくれます。帰りもそうでした。受付も熱気があり、就職活動の予行かしら?と思うほどです。他にもプロの楽団にはない特徴があり、受付用の机の後ろに並ぶやたらに多い差入、ひねくれて理屈っぽい妙なプログラム冊子などがありました。そういえばチューニングも長く、何だか理屈っぽかったです。場内はもちろん学生が多かったですが、もちろん教授陣も多く来ていたことは容易にわかります。その中には総長の尾池和夫先生のお姿も。開演前に交響楽団部長の西村周三先生(副学長・理事)から話があり、プログラム冊子用に藤岡さんのメッセージをもらった話もありましたが、最後には京大の商品の営業まで飛び出しました。国立大学も最近は商売をしないといけないので、京都大学も学外の人歓迎でこういう名物(細部は時々変わるようです)も出来ています。
話戻して。藤岡さんも気合い十分で、フィンランディアの前の気合いは特に大きい声でした。舞台上では例の鳥の様な動きもありましたが、いつもより指揮棒を横にして右腕が躰の前で上下する動きが多かったです。「1、2、1、2」とわかりやすく拍を見せている感じです。関西フィルを相手にしているよりも明らかに運動量は多かったです。フィンランディアはテンションも高かったですが、メラメラというよりも青く燃えている部分も多かったかもしれません。シベリウスの方の交響曲は藤岡さんの思い入れも十分ということで、練習も緻密だったのか、白眉の出来でした。事前に聴いた感じだと映画的な曲だと思ったのですが、豊潤に響いていい感じです。チャイコフスキーは最初に演奏が暴走気味で、ちょっとお目にかかれない勢いがありましたが、後の方は藤岡さんが手綱を取り直した感じです。第3楽章の後は本当に藤岡さんの動きに切れ目なく第4楽章に突入しました。熱くて、情念どろどろというよりクリアな感じでしたが、学生ですからこれでいいんじゃないでしょうか。
演奏はもちろん素人料理の部分も多いし、拍手が出たときのコンマスのマナー・周囲を読んでの指示の出し方には改善すべき点もありましたが、上手いオーケストラでした。
以上です。
2006年6月28日 Fu(ふ)
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