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「関西フィルハーモニー管弦楽団
門真演奏会」(仮)
会場:2006年3月11日 門真市民文化会館 ルミエールホール
指揮/藤岡幸夫(楽団正指揮者) (コンサートマスター/川島秀夫)
司会・ピアノ/羽田健太郎
ヴァイオリン/坂茉莉江
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲(O)
サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番 第3楽章(Vn+O)
モーツァルト/ヴァイオリンソナタ第25番 第3楽章(Vn+Pf)
モーツァルト/交響曲第35番「ハフナー」(O)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番(Pf+O)
ハーライン/星に願いを(Pf)
<注> Pf(羽田さん) Vn(坂さん) O(関西フィルと藤岡さん)
今回は「モーツァルト生誕250周年記念 羽田健太郎&藤岡幸夫 関西フィルコンサート〜出発…未来への架け橋〜」という長い名前のコンサートです。司会とピアノの羽田健太郎さんは言うまでもなく作曲家の池辺晋一郎さんと双璧(何の?(笑))
、坂茉莉江さんは全日本学生音楽コンクール大阪大会本選(ヴァイオリン・高校の部)で2位をとった高校1年生です。藤岡さんと関西フィルは翌日もコンサートで、毎度ハードなスケジュールです。
舞台では楽団の西濱局長ではなく羽田さんが司会です。トークは吉本で鍛えている「大阪のおばちゃん」(←抑揚に注意)も動かす爆笑ぶりでした。観客数3万7千人、演奏予定時間8時間という数字のインフレから、遅れて席に着いた客いじりまで駄洒落なしでも十分笑えました。駄洒落をメモはしたのですが、羽田さんのトークは私の記録からではどこがおもしろいのかわからなくなるほど「流れ」におもしろさがあり、その日の新聞記事なども活かしたものだったので惜しいですがカットします。羽田さんに言わせると駄洒落はパッと出てきたものが一番おもしろく、考えてきたものは意外にうまくいかない(現にアマデウスの子孫をめぐる壮大な駄洒落がこけたり…)ということ。この辺が駄洒落道の極意のようです。
少し抑えた感じの「フィガロの結婚」のあと、羽田さんの進行で坂さんが登場してサン=サーンスがはじまります。坂さんのドレスは桃色です。普通指揮者とコンサートマスターの間に空間を作ってそこにヴァイオリン独奏が入るような気がするのですが、指揮者とコンサートマスターの中間位置で客席側に一段出て独奏するので、藤岡さんが何度も振り返りながら指揮をしています。さすがに演奏後などまだ舞台上の振る舞いがぎこちない。次に藤岡さんと楽団は退場して坂さんは羽田さんと演奏。羽田さんの講評(!)は「豊かな音色が武器、技量も高い」。確かに楽々で弾いているし音も滔々だよなぁというのは私も聴いていて思ったことです。次に「ハフナー」について羽田さんと藤岡さんの打ち合わせなしだというトーク。ここで初めて(ここだけ)藤岡さんが喋ります。羽田さん「(藤岡さんはこの曲に)思い入れがあるそうで」、藤岡さん「好きだから」(場内笑)とはじまり、曲の解説を藤岡さんがしつつ「本当は(この曲の諸々の経緯を)知ってるんでしょ?」と羽田さんに突っ込みます。羽田さんは知りませんとごまかしますが、あとでこの曲の藤岡さんも知らなかった逸話を補足していました…が、開演からずっとジョークばかり出ていたトークなので信じていいのかはわかりません(笑)。藤岡さんのこの曲の印象は短いながらも「全く無駄がない」だそうです。さらに楽譜が読めない人にはさっぱりわからない思いきり専門的な話「も」飛び出しました。演奏ですが、陰影というより陰の部分が強調された少し孤高を湛えた演奏でした。
休憩をはさんだ後半はトークは全くなく、モーツァルトではなくベートーヴェンを普通に演奏です。藤岡さんと関西フィルは奇を衒わぬオーソドックスな演奏、羽田さんのピアノは洒落抜きで洒落て洒脱なもので、厳格さを求めたりする向きには不向き、楽しくないと音「楽」のplayではないという人には、良かったのではないかと思います。デフォルメを効かした弾きっぷりはある種明解です。アンコールはジャズ風で途中に「キラキラ星」を引用したものでした。
今回の客層はクラシック音楽に余り縁がない人が多かったようです。場内からは「大阪フィルとは音が全然違う」、「羽田さんはいつも駄洒落を考えているんやろね」「指揮者の人かっこいいやん」という声がきこえてきました。
注:トーク等の引用(正当な引用の範囲と認識しております)は往々にして不正確である場合があります。またこの稿では会場で聞こえた来場の方々の感想を引用している場合もありますが、演奏終了後しばらくは余韻に浸るなどの理由で他の方の感想を聞きたくないという方も来ていらっしゃいます。ご了承とご理解をお願いいたします。
2006年3月12日 Fu(ふ)
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