関西フィルハーモニー管弦楽団第159回定期演奏会
10月20日 ザ・シンフォニーホール
指揮:藤岡幸夫 (コンサートマスター:川島秀夫)
チェロ独奏:ピーター・ディクソン
吉松隆/チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」 (世界初演)
シベリウス/交響曲第2番

クラリネット奏者寺澤氏の急逝という悲しいニュースもありましたが、それを越えてNPOとして再出発した関西フィルの最初の定期演奏会。ステージには吉松作品の例にならってパーカッション多数。ほかにハープやピアノ、チェレスタなどが並んでいます。

「ケンタウルス・ユニット」
第1楽章冒頭は吉松開始(?)かと思いきや、数秒で和楽器(!)な音に。中盤から後半はボレロのような小太鼓などの響きと、一昔前のお笑い番組みたいな音が支配しました。静かなところもありいろいろな要素が詰め込まれています。
第2楽章は、もっと和楽器、もっとノヴェンバー・ステップス。メロディも崩れていて、フツーのゲンダイ音楽みたいで意外な感じです。独奏チェロも冒頭は弓を使わず、やはり和楽器的な音が出ています。その先は吉松的に緩やかな世界へ。
第3楽章は、交響曲第4番の第4楽章を思わせる吉松隆の勝利の方程式かも。もっと雄壮です。途中で女声スキャットみたいな音がしましたが、どういう楽器の使い方をしたのでしょう? (空耳だったりして)
ここぞというところで、ハープや木管など各楽器に和楽器的な効果を出させた曲でした。またチェロ独奏はオケの中の一員という感じだなと思いました。チェロ協奏曲であることをしばし忘れるくらいです(苦笑)。みどりの日コンサートでもそんな感じがしたので、藤岡さんの流儀なのでしょうか?
吉松隆さんはもちろん客席にいらして、演奏終了後舞台へ。またディクソンさんが、吉松さん、藤岡さん、川島さんの他にチェロの最前列お2人とも握手。初演は成功です。来年の定期は飯守さんが取り上げている貴志康一はないようだけれど、吉松さんの交響曲第3番は藤岡さんが関西初演をしてくれます。楽しみです。

シベリウス 交響曲第2番
多彩なパーカッションもなくなりシンプルになった舞台でのシベリウス。第1番を藤岡さんが指揮されてからもう2年たっています。オーソドックスな作りながらやわらかで詩情ある出来ではなかったかと思います。不安を暗示するあたりの凄みは少し薄かったかもしれませんが、秀演という言葉が似合うかも。ゆっくり堂々としたフィナーレで曲が終わり、拍手。
以上です。



          2003年10月20日  Fu(ふ)






本当にいつも克明なレポートありがとうございます。
おかげで今、この時のコンサー トを鮮明に思い出す事が
できました。
シベリウスの交響曲の2番は、8月に指揮することになっ
ていて、次回は暗い部分をもっと鮮明に表現したいと思
っていたところだったので、的を射た評をありがとうご
ざいます。
是非次のシベリウスの2番を楽しみにしていて下さいね。






藤岡幸夫

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