「関西フィル第157回定期演奏会」

 まず前回のお便りの補足から。「みどりの日コンサート」の時に藤岡さんから私の 手紙は、藤岡さんの指揮以外のコンサートのレポートも多い、という突っ込みを入れ られたのです。それに対する釈明(苦笑)ですが、藤岡さんは関フィルの演奏会で挨拶 されるときに「関フィルはあちこちでたくさん演奏会がありますので、どうぞよろし くお願いします」といった趣旨のことを言われます。そこで私は藤岡さんが指揮をし ないときでも、関フィルの演奏会をレポートして、1)藤岡さんに不在時の関フィルの 情況を客席からレポートする、2)藤岡さんからクラシック音楽の世界に入られた方が 、関フィルにも興味を示していただければ良いと考える、ということで拙文を書いて いる次第。

関西フィル第157回定期演奏会
5月23日 ザ・シンフォニーホール
指揮/ゲルハルト・ボッセ
ピアノ/野島稔
ベートーヴェン 歌劇「コリオラン」序曲
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番
ベートーヴェン 交響曲第7番

 今5月、関西フィルはゲルハルト・ボッセ、野島稔と名匠を迎えての定期演奏会で す。楽譜を読めない私が書くのも妙ではありますが、交響曲第7番がベーレンライタ ー版、他はヘンレ版とあります。2000年から2002年にかけて行われた飯守泰次郎さん (常任指揮者)とのベートーヴェン交響曲・協奏曲全曲演奏会と同じなのでしょう。ち なみに交響曲第7番は従来の版とベーレンライター版では違いはわずか3カ所程度だそ うです(高関健氏(前大阪センチュリー交響楽団常任指揮者)談)。オーケストラの配置 は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン…つまり通常配置ということで、ヴァイ オリンの対向配置になっているわけではありません。これは先述の全曲演奏会との相 違点。
 ボッセさんと野島さんのどちらも私は聴くのは初めて。ボッセさんは齢80を過ぎて いますが、足どりもしっかり大変に元気な登場です。膝のばねもなかなか効く指揮で す。総論から言うとみどりの日コンサートにも行かれた方は、関フィルの音の違いに 驚くと思います。最近の藤岡さんの場合は各パートが多少変になっても、全体の勢い を重視したような演奏で「何なんだ!この不思議な奔流はっ!」という味が多いと思う のですが、対して細部も全体もかっちりした丁寧な楷書体の演奏です。同じ楽譜でド イツの伝統を語っても、どこかモダンな飯守流でもなく古き佳き時代を思わせる感じ でしょうか。弦に管が押され気味という気もしましたが、座っていた席の関係もあり そうなので気のせいかもしれません。ピアノ協奏曲第4番は比較的ゆっくりしたテン ポの中ただ者ではないが奇をてらわないピアノの響きと意外にかそけき音が似合う管 弦楽。聴く方も背筋伸ばして襟を正してという感じです。演奏が終わって、今日のコ ンサートマスターのバブアゼさんがにっこり、一見無愛想な(失礼)野島さんも満足そ うに笑みを見せます。交響曲第7番は「正調」という言葉がまさに当てはまる演奏だ ったと思います。とはいえ第2楽章は優雅、哀愁、葬送、中にはパワフルなんていう いろいろな演奏が見えやすいと私は思っていますが、今回は甘美という感じでしょう か。以降だんだん速度が上がっていって(というよりこの曲を遅く遅く指揮する人は 少ないのでは)、まあまあの快速で終了。舞台の袖に退く度にボッセさんがバブアゼ さんと握手、最後にボッセさんが楽譜を閉じて頭の高さにかかげ、場内を埋めた聴衆 からかなり大きな笑いが漏れて終了。終演後の周りの声に対して地獄耳にしていると 「1曲だけでも十分元が取れる演奏だった」という声まで聞こえてきました(「コリオ ラン」序曲1曲だけで元が取れるとか?(^_^;))。
以上です。


            2003年5月25日  Fu(ふ)





こんにちは。いつもありがとうございます。
ボッセさんは素晴らしかったようですね。僕も本当はリハーサルから
見学したかったんですが日本にいませんでした。
ボッセさんは関西フィルと今度はベートーヴェンのミサ・ソレムニス
をいずみホールで演奏するはずです。お楽しみに!







藤岡幸夫

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