6月12日の、パウル=ザッヒャーの遺産を聴きに行きました。

 この日は席が前だったので、藤岡さんのコンサート中の表情をレポートしてみたいと思います。
 
 プレトークの藤岡さんは、目が少しきつい感じでステージに出てこられました。パウル=ザッヒャーの遺産の第1回ということでもあったからでしょうか。話をしながら、目をギョロギョロ360度回転させて、ぎっしり詰まった1階席やあちこちを見ておられる感じでした。
 そこへ、まさか作曲者の池辺さんご本人が出てこられるとは思ってもみませんでしたので、びっくりしました。5月19日に話された「現代曲の旋律と戦慄」のエピソードを再び話されていましたが、さすが池辺先生、そうかね、そんなことがあったかねと言われていたように思います。 

 1曲目のバルトークは、全身をバネにしたダイナミックな指揮で始まりました。あとでわかったのですが、この日は、普通この曲を演奏するより大編成だったということです。終わったあと、藤岡さんは神経を張り詰めていたのがホッとしたという感じに見えました。
  
 池辺さんのチェロ協奏曲は、古川さんのチェロ独奏に圧倒されました。力強く、豊かな音がホールにあふれ、しかもすごいテクニック。古川さんVS関フィルのチェロプレイヤーの対決はなかなかのものでした。
 藤岡さんは、フォルテシモでは、端正なお顔をものともせず、くちびるを突き出し、(この状態を、我が家では「たこ八ちゃん」になると言っています)ものすごいダイナミックな演奏でした。
 
 私は、曲が始まる直前の、水を打ったような緊張感のある静寂が好きですが、この曲の時は、ホール全体がまさにそのようになっていたと思います。ときおりまきおこる不協和音にとまどいながら聴いておりましたが、藤岡さんの指揮の特徴は、ある意味で現代曲にぴったりなのかもしれないと思いました。

 後半、シューマンの「春」の冒頭の旋律が流れてきて、ようやく自分の家に戻ってきたようにホッとしました。藤岡さんは、前半とは変わって、緊張感のあるダイナミックな指揮の中にも、バブアゼさんにニッコリ微笑んだりされていました。
 シューマンの交響曲を演奏するのは難しいと、プレトークで言われていました。シューマンのオーケストレーションは比較的簡単に作曲されていると聞いたことがありますが、シンフォニーの演奏効果をあげるためにはいろいろと苦心しないといけないことが多いでしょうから、指揮する方はたいへんなのではないかと思います。
   PS.16日の、関西フィルの「音楽の福袋」コンサートに家族で行ってきました。いつもは、席が前で管楽器の方々があまり見えなかったのですが、この日の管楽器ソロ紹介で、やっとわかりました。フルートの沼田さん、オーボエの朝倉さん、ファゴットの河渕さん、ホルンの中川さん、トランペットの堀川さん(堀川さんはコルネットで、ハープとのロビーコンサートも)、トロンボーンの平野さん達のソロと、やっぱり関西人のしゃべりがおもしろかったです。
 また、堀川さんの、ニニ=ロッソ風「夜空のトランペット」と、平野さんの、紙芝居付き「おばけのトロンボーン」が、すごく大受けでした。
 そしてこの日のメインの、「ピーターと狼」がとても楽しくてよかったのですが、なんといっても、「バブアゼさんの指揮」が非常に印象に残りました。コンサートマスターの柔らかく深みのある音が素晴らしいだけでなく、指揮でもあれだけの才能を示されるとは!
 バブアゼさんの指揮姿に、藤岡さんの指揮姿が重なったように思いましたが、カミさんも同じことを言っていました。終演後、バブアゼさんに指揮が素晴らしかったことを伝えたかったのですが、エレベーターホールで入れ違ってしまって残念でした。

              2002年6月20 日   奥村鋭行
           
                     




いつもありがとうございます。
古川君良かったですよね。また共演したいと思ってます。
シューマンは今回はほとんどオーケストレーションは
いじりませんでした。次回のメンデルスゾーンもお楽しみに!






藤岡幸夫

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