2001年コンサートベスト3
これを書いているのは大晦日、そして越年まで藤岡さん、関フィルの皆さんお疲れさまです。それからWebサイト管理人様もどうもお世話になりました。
私の方は一足早く年間コンサート予定、終えさせて頂きました。
2000年分も書きましたので、今年も書きたいと思います。
まず関フィル以外編から。分母は14になります。
第1位
朝比奈隆の軌跡2001 「ブルックナー後期交響曲選集」第1回
4月21日 ザ・シンフォニーホール
朝比奈隆/大阪フィルハーモニー交響楽団
ブルックナー/交響曲第5番(ハース版)
……そして私が今まで聴いた朝比奈隆さんの全ての演奏にも
こういう形で書かなければならないのは、たいへん悔しいことなのですが、朝比奈さんの訃報がなくても文句なしの第1位でした。
壮大なる音の大伽藍とか宇宙の鳴動といわれるブルックナーの世界をあますところな
く見せつけ、あらゆる方向から降り注ぐ音、そして床もうなるという演奏で、私のコ
ンサート歴でも空前絶後の名演でした。
私が朝比奈さんを聴いた最後は9月24日のブルックナー交響曲第9番ですが、傷はままありましたが今思えば立っているだけで音が変わると言われる朝比奈さんの真髄だっ
たと思います。
誤解を恐れずに書くと、一日でも長く一度でも多く指揮台に立て、という恩師メッテ ル氏の言葉に愚直に従い、生涯現役で大往生を遂げられた朝比奈隆さんを喝采と歓呼をもって、そして感謝をもって送りたいと思います。
第2位
10月24日 サントリーホール
サイモン・ラトル/ウィーン・フィルハーモニー他
ベートーヴェン/交響曲第8番 第9番
奇しくもこの日名古屋では朝比奈さんの最後の舞台があった日です。
東京出張の合間に聴くことが出来ました。1度は聴いておきたかったウィーン・フィ ルでしたし。サー・サイモンの棒が変幻自在で、軽妙に回る動きに完璧についてゆく超高水準の音と腕のオーケストラ。言うなれば舞の海の相撲でした。9番も良かった
ですが編成も軽かった分軽妙だった8番の方が数段良かったと思います。では何故2位 にしたのか(朝比奈さんの訃報がなくても甘くつけて1位と鼻の差の1'位でしょうね)
、それはホールの違い、というところもかなりあります。サントリーはこの日で2回 目だったのですが、綺麗かもしれませんが冷たい音で外から眺めている感じ、それに
対してシンフォニーは、暖かい音でいい演奏の時はホール自身が鳴動して聴衆を包み 込み、演奏に参加している感覚を与えると思っています。1位は場所、奏者、聴衆…
天地人全てが最高の邂逅だったのです。
第3位
ウラディーミル・フェドセーエフ/チャイコフスキー記念モスクワ放送交響楽団
7月7日 京都コンサートホール
チャイコフスキー/交響曲第4番 第5番
7月11日 愛知芸術劇場
チャイコフスキー/1812年 くるみ割り人形から ムソルグスキー(ラヴェル編)/展覧会の絵
年初予想ではこれが1位にいきそうだったのですが…、チャイコフスキーの5番は前回 1999年の来日が特に金管が破綻直前の爆演、スリリングさをもった陶然とする演奏で
、このラインを期待して行ったら金管控えめの安定路線だったので、客観的には良か ったものの「あれれ…」というところ。あと京都コンサートホールがこの曲にはちょ
っとつらかったです。名古屋は展覧会の絵が堂々たるもので特にティンパニは特記に 値するでしょう。アンコールはどちらもチャイコフスキー「雪娘」から道化師の踊り
、外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」の後半、爆演系で素晴らしかったです。
ただ両会場とも演奏中に携帯を鳴らす客がいて、マナーが悪かったのはいただけなかったですね。
同月関フィルでも西本智実さんの棒で展覧会の絵があり、これも堂々たる名演だった
そうで、行けば良かったと悔やむのでした。
次に関フィル編、分母は7でこちらはベスト1を。
2月4日 ベートーヴェン・ツィクルス
指揮:飯守泰次郎、ピアノ:小山実稚恵
「コリオラン」序曲、「ピアノ協奏曲第3番」、「交響曲第5番」
え? 吉松さんの4番初演は? ライスターさんは? という声が出そうですが、ベートー
ヴェンの原点はあんなにも未来的だったのだという衝撃と飯守さんの格の高さを採っ
てこれにします。何というか…ハイテクバイオ素材で出来たベートーヴェンみたいで
した。サイバーオーガニックとか呼びたい感じ。交響曲第5番は飯守さんの頭上に竜
巻が出来ているのではないかと思うくらい音が収斂してゆく感じでこれもすごかった
です。そういえば私、この時が飯守さん初めて聴いたなどと書いていましたが、実は
大阪センチュリーを指揮されていたのを聴きに行ったことがあるのでした。何で忘れ
ていたんだろ?
ということで、2002年も出来るだけ藤岡さん、そして関フィルの演奏に足を運びたい
と思います。
2002年も宜しくお願いいたします。
2001年12月31日 Fu(ふ)
いつもありがとうございます。
ラトルのベートーヴェンいいですよね。
彼は昔バーミンガムSOと契約するとき「自分のプログラム
にベートーヴェンを入れないこと」と条件をつけたんですよ。
今では考えられませんね。また今年もよろしく。
藤岡幸夫