このコーナーは本来「藤岡さんへの手紙」のはずですが、例によってこのウェブサ
イトを見に来た皆さんへの枝葉末節にこだわった報告になっております。しかし私が
書いていいのか、私吉松さんのCDは2枚しか持ってないのですが(おいおい)。書い
てますけれど。(笑)
5月29日 関西フィルハーモニー オーケストラへの招待シリーズ
プレトーク (吉松隆 藤岡幸夫 西濱秀樹(司会))
吉松 隆 交響曲第4番(世界公開初演)
チャイコフスキー 交響曲第4番
(アンコール)v
吉松 隆 交響曲第4番 第3楽章後半
開演前に恒例のプレトークから。
「現代音楽でこれだけ入ってくれると嬉しい」という吉松さん。確かに途中で客が
次々帰って最後は15人だけだったがその中に次の世代を担った若き日の大作曲家が
いた、という初演も(←何の曲の逸話でしょう?(^_^;))面白いかも知れませんが、そ
れはそれでね…(苦笑)。また「自分の曲(4番)が今ひとつわかっていない(場内笑)」
と言い出す吉松さん(分かる話ですね)、「一番わかっているのは関西フィルだ」とい
う藤岡さん、そして曲の解説を吉松さんから。他にも「吉松さんに人生の半分を賭け
てもいい、そんな(作曲家に入れ込む)指揮者はいない……この人(吉松さん)に全部は
コワイけど(場内爆笑)」という藤岡さんの熱弁が出ました(ただしあとの半分を何に
入れ込むかは追及をはぐらかしていたような(笑))。また藤岡さんからは今回のスポ
ンサーであるシャープ株式会社とサッカーのマンチェスター・ユナイテッドにまつわ
る思い出などが飛び出しました。
吉松 隆 交響曲第4番
「パストラル・トイ・シンフォニー」田園・おもちゃの交響曲、しかも4番という
ことで、最初は1900年に完成し、1901年に初演されたマーラーの4番を想起
しました。どうも少なくとも後半は全然違った感じではずれだった気がしますが
(^_^;)。非常にパーカッションセクションが多く、マリンバやピアノも並んでいまし
た。4月に京響の定期演奏会で聴きに行ったホルストの「惑星」よりは明らかに多い
です。
第1楽章 アレグロ
吉松さんのプレトークからどうやらおもちゃ箱を意識したような楽章に思いまし
た。ウィンドベルはないものの吉松開始(そんなのあったっけ?)かな…というはじま
りで途中の「ブリキの兵隊vsネズミ」(くるみ割り人形みたい)あたりはストラヴィン
スキーの「春の祭典」を思わせる感じでした。
第2楽章 ワルツ
実用性を無視したワルツの途中、馬の嘶きのような音が入り、ベルリオーズの幻想
交響曲第2楽章「舞踏会」のメロディに会場にんまりかも。ここからは曲当てクイズ
大会(笑)、いろいろな作曲家のワルツが飛び出してきます。意外に出てこない曲名。
どの作曲家の何という曲の引用かわかった方はどうかフォローアップしてください。
この辺りは吉松さんからオーケストラに出た注文は「ハズしてもいい」「チンドン屋
みたいに」というようなことだったそうです。
第3楽章 アダージェット
そう、アダージェットです。アダージェットだけで通じる曲はマーラーの5番、第
4楽章しかなかったわけですが、このアダージェットは偉大な先達を意識しつつもさ
らに研ぎ澄まされたかのような美しさです。聴いていて思ったのはもしや日本の唱歌
を取り入れた??ということで、夕焼け小焼けとかいった今は目にする機会が減った
原風景的な印象でした。ハープはありませんがピアノで奏でるオルゴールのメロディ
は対照的に畳敷きの部屋なんかないような洋館を思わせるロマンチックなメロディ
で、現代的なのか欧米的なのか…。結婚式で新婦から両親への手紙の朗読で使うと親
御さんは娘の子供時代を思い出して間違いなく泣き崩れそうな感じです。
ここまでは、過去の作曲家たちのコラージュ的な印象もかなりありました。
第4楽章 アレグロ・モルト
吉松節が明るく響くかなり堂々としたフィナーレ。盛り上がり、吉松ユニゾン(そ
んなのあったっけ?)で突っ走り最後は溶けるように消えていきました。
楽章が終わるたびに藤岡さんとコンサートマスターの川島さんが顔を見合わせて
「にこにこにんまり」としていたので、これはうまくいっているな、と思って見てい
たのですが、終わったあとはコールは4回だったかと。音楽史の本やCD(や後継の
別媒体)の解説には「藤岡幸夫の指揮、関西フィルハーモニー管弦楽団の演奏による
公開初演は、会場を埋めた聴衆から盛んな喝采を受け、大いなる成功であった」と書
かれるでしょう。
チャイコフスキー 交響曲第4番
実は私6月上旬、7月上旬にもロシアからのオケでこの4番を聴くというおそろし
い状態になっているのですが、3連荘の先鋒は「爆演志向」というべきなのかもしれ
ません。大阪大学創立70周年記念で第9を歌ったメンバーからは、あの時でもここ
までは激しくなかったという感想が来ております。藤岡さんがチョン・ミョンフン氏
の様に髪を振り乱して(生え際が全然違うので振り乱れ方はずっと小さかったです
が…小さいままでいてもらわないと(ヤバすぎ(笑)))タクトをさばいたフィナーレな
どは、うぁーという感じでした。さすがに関フィルはロシア人の体格ではないから音
圧が舞台の横や後ろの席にも直撃とまではいかなかったようですが、よくやりまし
た。終わった後の拍手も完全にフライングだった気がしますがこれくらいの方が合っ
ている感じでもありました。
いつも通り暫定ですが、以上です。
2001年5月31日 Fu(ふ)
いつもながらの詳細なレポートありがとうございます。
吉松さんの解説解りやすくていいですねー。
そう吉松さん基本的にハープを使わないんで独自の雰囲気を
創ります。3楽章は本当に美しい。
藤岡幸夫