先日、吉松さんの新CDを聴きました。個人的にはメモフローラを、無惨なまで
に美しく、はかなげな旋律に、こういうきれいな曲を書かれているのかという驚きと
新鮮さが相まって大切に聴かせていただいてるのですが、今回のCDも前回に増して
BBCフィルが弾きこなしているなあという感じがすごくあった。カムイ・チカプ第
3楽章のFIREはほんとまさにうなるような炎がイメージできます。うまいなあ。
反面、鳥と虹によせる雅歌は悲しみを昇華させるってことなのかな?原動力ってそれ
かもしれない。心のある曲そのものかな。
この夏は、誘われるまま奥志賀のサイトウキネンの前夜祭的なコンサートへ行き
ました。大江光さんとかもいらしてました。演奏がうまくいく、成功するって聴衆と
一体になれたときですね。以前、村治佳織ってかわいいなという理由でCDを買った
のですが、日本人の演奏ってほんとメリハリがあって、緩急自在でうまいですね。か
わいいだけじゃない。ギターの木村大は僕の高校の後輩なので、ご一緒されるときは
かわいがってあげてください。
先週末、和紙の旅をして、越前和紙の人間国宝の九代 岩野市兵衛さんにお会い
しました。「千年生きてください、この紙は千年保ちます」と目の前で落款を押して
いただいた越前生漉奉書をいただきました。何か、自分が忘れていたものを思い起こ
されたような気がしました。千年先をみて仕事をされていらっしゃる・・・。こうい
うすばらしい仕事をされている方に政府からサポートはないそうです。こういう紙で
吉松さんも楽譜を書かれたら、また面白いと思うんだけど。MACで作曲するのも粋
だけど、違ったインスピレーションが湧くと思うんだけどな。先細りの現代文明よ
り、古代文明の発想の焼き直しと見直しがこれから必ず必要になると思うんですけ
ど。伝統って全然古くない。もっともしたたかで効率的で、斬新だよな。理にかなっ
てるし。若者が三味線弾くとすっごく格好いいじゃないですか。ロックですよね。三
味線って。引き込まれる。
映画音楽大好きなんで、タイタニックとか戦メリっていいですね。チケット買い
ました。映像と結びつくと強いですね。来年も藤岡さんの熱い指揮を楽しみにしてい
ます。
平成12年11月01日
Yours faithfully 片山 卓
吉松さんのCD喜んでもらえて嬉しいです。
和紙の旅ですか? ロマンティックですね。
我が家には夏目漱石の自筆の手紙が沢山あって
(ぼくの曽祖父が国文学者で親友だったので)
その便箋がすっごくしゃれてて(色もショッキ
ングピンクだったりして)、日本の紙って味が
あっていいなァと、ぼくも前から感じてました。
藤岡幸夫