From Sachio
Updated 2004.6.5

みなさんこんにちは。
来週は関西フィルといずみホール定期第一回でシベリウスの五番をとりあげます。 この曲は僕が最も愛する交響曲だけどその思いが強すぎて今まで全く振った事がない。
シベリウスは前作の四番(これまた傑作)を作曲した時喉に腫瘍ができ癌と思われていた。余命わずかと信じていたシベリウスにとって完治後に書かれたこの五番は生きる喜び、自然への愛、母国への熱い想いに満ちている。僕の恩師渡邉暁雄先生が癌とわかった時、入院前に翌年の日フィル定期に四番五番というプログラムを組んだ。先生のお宅で「いいプログラムだろ…」と遠くを見つめながら話されたときの先生の表情が今でも目に焼き付いてる。
結局先生はこのプログラムを振る事ができなかった。
今までこの曲をちょっとでも耳にするたびに込み上げる特別な想いと、その曲の美しさに涙腺が緩んでしまいとても指揮できなかった。
でも関西フィルと仕事をするようになっていつか五番をとりあげようと思うようになった。
一楽章は春の訪れで始まる。北欧の青空。鳥達が歌う。不安が襲ってくる。始まろうとする世界大戦の暗い影、治ったはずのの病気への恐怖、魂が歌う。光が見える。テンポが上がり、喜びがよみがえり沸き上がる。
二楽章は故郷の自然。澄んだ空気、透き通った水それにシベリウスの優しさ。
終楽章は生きることへの熱い想い、祖国への強い愛情に満ちている。山を連想させるそのメロディは雄大で美しい。
終結部はあらゆる想いが大きな力となって激しく高揚する。最後はまるで大自然にこだますような和音の連続で終る。前半のショスタコーヴィッチでは関西フィルが泣き、叫び、歌います。プロコフィエフの二村英仁君も楽しみ。
6月10日、いずみホール。お待ちしてます!
    藤岡幸夫

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